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転生少女は愛されている  作者: 海雪
第2章 魔王襲来
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魔法と秘密



「すいません、ちょっといいですか?」



「なんだ?委員長、あたしに何か用事か?」




 廊下を歩いていた彼女、エリスに声をかけてきたのは一年B組のクラス委員長だった。



 彼女を呼び止めた委員長は人の良い顔をして近づいていく。




「エリスさん。何か悩みがあるなら聞きますよ?」



「はっ?悩みなんてある訳ないだろ」



「本当にそうですか」




 委員長のその言葉に、少しずつ顔を強張らせていくエリスに、彼女は人を安心させるような笑顔で言った。




「………一人でいる時間が多いですよね?小鳥遊さんや雨宮さんと度々お話ししているとはいえ」



「何が言いたい?」




 エリスは彼女を睨みつけて、話しの趣旨を説明するように視線で訴えた。その視線の意味を理解したのか、委員長は顔を彼女の耳元に近づけてある言葉を放った。




「エリスさん。私はあなたの秘密を知ってるんです」















『安心して下さい、言いふらしたりはしませんから。それではエリスさん。何かあったら私に相談して下さいね』




 彼女、委員長はそんな言葉を最後に去っていった。




「………………」



「エリス?大丈夫?」



「………」



「エリス!」



「えっ⁉︎ な、なんだ?」




 彼女は辺りを見回し始めた。先程からずっとボーッとして心此処に有らずといった雰囲気だった。



 魔法演習の授業中だと気づいたエリスは、私たちに謝ってきた。




「………すまん、ボーッとしてた、話し聞いてなかった!」



「いや、話ししてないからいいんだけど?どうかした?」



「な、なんでもない!」




 エリスはこの場から逃げ出すかのように、走り去っていった。何かあると言ってるような物だが、さすがに聞き出せないだろう。



 詩音もエリスの事が心配なのだろう、不安そうな顔をしていた。だがそれと同時にもう一つ心配した方が良さそうな事があった。



 委員長だ。私たちの視線の先にいる彼女は、今にも死にそうだった。



 魔法演習の最初に行なったのは、演習場のトラックを走る事だった。だが問題が起こったのはそこからだ。



 委員長は走って早々に体力が切れてしまった。周りの生徒たちも、彼女を見ては心配そうにしていた。




「………だ、大丈夫ですかね?委員長は」



「大丈夫じゃないでしょ、あれは………」




 何とか足を、一歩一歩前へと踏み出している、額からは大量の玉の滴を流しながら走っていた。



 そんな委員長の隣で走っていた先生がいた。天頭先生だ、彼女の走っているペースに合わせて必死に声をかけていた。



 もちろん応援の声かけが通常だと思うだろうが違った。




「なあ、宝仙さん。もう辞めないか?見てるこっちが辛いんだが?」



「………せ、先生……わ、わたし、は………だいじょ………ぶ、で、ですから………」




 どこからどう見ても大丈夫には見えないんだが。



 いつか残っている体力が尽きて倒れるんじゃないかと思っていると、すぐにその瞬間が来てしまった。




「………あっ、倒れました」




 詩音が言った通りに倒れた委員長。前のめりにドサッという音を立てて倒れると同時に、周りの生徒たちが助けに入った。




「滴⁉︎ 大丈夫⁉︎ いま保健室に連れて行くから!」



「あっ⁉︎ あたし飲み物買って来る!」




 委員長は先生に背負われて、保健室に連れて行かれた。少し顔が赤くなっていたから、当分の間は動けそうになさそうだ。



 あそこまで頑張っていれば、こうなるのは当然と言えたが。彼女自身が倒れでもしなければ止める事は難しかった筈だ。



 委員長が倒れた事で戸惑っている生徒たちが出たが、先生の一言によって落ち着いた。




「皆さんも休んでください」



「次はちょっとした試験もしますから」



「試験?」




 その言葉に不思議そうにしている詩音。大抵の試験の場合は、魔法の試し打ちが多い。



 演習場ではその為の施設として、魔法に対する備えがしっかりと施されていた。その他にもたくさんの魔道具が設置されているために、模擬戦を出来る様にもなっていた。



 それから十分後の休憩の後、演習場の別エリアへと私たちは向かった。そこでは等間隔に的が配置されていた。どうやら魔法を試し打ちするようだ。




「順番は誰からでもいいので。あの的に向かって、魔法を放ってください。魔法は何でもいいですよ」




 線が引かれた場所から、的まで約三十メートル程離れている。魔法であれば当たるか当たらない程度の距離だ。弓使いの者でも外してしまう可能性のある距離であった。



 一人ずつ前に出ると、貸し出された杖を使用しては魔法を的に目掛けて発動していた。




炎球(ファイアーボール)



水弾(ウォーターショット)



岩連弾(ロックバレット)




 杖の先端辺りから炎が出現し、球のように形成されている。その魔法は勢いよく的へと向かっていった。的に当たった直後、魔法は消えたが何事も無く立っていた。



 やはり魔法に対する処理がしっかりとされているみたいだ。もしそうじゃなかったらとっくに魔法によって被害が出ていたはずだ。




「そろそろやりますか?玲夏さん」



「そうだね、エリスはどうするの?」



「………えっ⁉︎ あ〜あたしは最後でいいや」




 エリスは最後に行う予定らしい、彼女の魔法を見てみたかったがしょうがない。私たちは前へと出て魔法を行使した。


 

 






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