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転生少女は愛されている  作者: 海雪
第1章 少女と魔法
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土下座



 教室から、場面は変わり学園長室に私達はいた。




「ほっほっほ、んっ?どうしたんじゃ、玲夏ちゃんが何かしちゃったのかのぅ?」



「もしそうだったら、おじいちゃんは重症だよ?」




 私達、とゆうよりは二人の人物が土下座を決め込んでいて額を床に擦り付けている。



 見ているだけで、これでもかといわんばかりに申し訳なさを(かも)しだしていた。その内の一人であるエリー先生は口を開き謝罪の言葉を述べた。




「申し訳ありませんでした!学園から預かっていた魔道具を壊してしまいました。(ゆる)して下さい、お願いします!」



「すいませんでした!」



「………まぁ、いつかは壊れてしまうものじゃからな問題ないぞ、顔を上げてくれぬか?」




 学園長のその言葉に二人は顔を見合わせ恐る恐る面を上げた。



 言わずもがな一人はエリー先生、彼女は魔道具の使用者であり責任のある身の為にこうして頭を下げて謝っていた。



 そしてもう一人の彼女の名は、エリス・T(ティング)・トゥインクルと言う名の女子生徒だ。



 彼女こそが今回の原因を生み出してしまった張本人だ。



 なぜこうなったかは数時間前に(さかのぼ)った。










「先ずは、詩音さんから」



「あっ、はい!」




 先生は詩音を指名した。彼女は「行ってきます」と一言残し、魔道具が置かれた教卓の前まで歩いていくと………



 詩音は前に行なっていた生徒を見本に、魔力を水晶に送ると同時に変化が起こった。



 その水晶の輝きに、二度目の騒めきが教室を支配していくが一番影響を受けていたのは先生だ。




「えっ、こ、これは⁉︎………」 

 



 先生は明らかに驚愕(きょうがく)の表情を浮かべていた。本来であればあり得る事がない、二回目の現象に先生はそのまま口を(ひら)けずにいた。




「………」



「せっ、先生?………」



「………正直、私も今回のことには動揺を隠せませんよ。なにせ珍しいとはいえ持っている人はほぼいません、ハァー、まさか水と風の二つを引き当てるなんて」




 魔道具の輝きには、二つの色が混ざって見えた。水属性の青い輝きと緑色の輝き、つまり風属性の二つが交ざりつつも別々に存在していた。



 頭を抱えた先生は、委員長の時と同じように生徒に忠告した。




「この事も他言無用でお願いしますよ」




 先生には悪いが、驚くことはまだほかにも存在している、それは彼女だ。




「それでは、次はエリスさん。前に」




 エリスと呼ばれた女子生徒、彼女は森人族(エルフ)だ。顔立ちは整っていて誰もが美少女だといえた。



 夕日の色に染まったオレンジの髪に、エルフとしての特徴的な耳、だが彼女の耳はとんがってこそはいたが思ったよりも短かった。



 先生に呼ばれたエリスは立ち上がり、前へと歩いて行くがその顔は不機嫌そうに見えた。彼女のつり上がった目がそう思わせたが、そこが私には魅力的に映っていたのだ。



 彼女、エリスをジッと見ていると詩音は私のことが気になったのか声を掛けてきた。




「玲夏さん………エリスさんのことが気になるんですか?」



「えっ?、あー、まあね」



「ふ〜ん、そうですか………」




 何故か?むっ⁉︎としだした詩音は頬を膨らませては機嫌を悪そうにしていたが、私がエリスを観ていたのには理由があった。



 彼女、エリスには委員長に負けず劣らずの魔力量を体内に保有していた。いくらエルフという存在でも限りがあったし、卒業するころには二人がとんでもない魔法師に成長していることは確かだ。



 委員長の持つ白い魔力の性質は、回復や治癒もしくは支援と言ったものだろう。光ではない、何故ならば黄色の輝きが光であり、そして対となる属性の闇は紫色に輝くはずだ。



 魔道具の作成に(たずさ)わった事がある私がいる以上、間違いないはずだ。それに白い魔力を持った人物はもうひとり、この学園にいた。




 だがその時、耳を(つんざ)くような音に驚き振り向いた。



 原因は彼女、エリスだった。教卓の上には魔道具の残骸があり、破片らしきガラスが所々に落ちていた。



 魔道具が壊れたのは仕方ない、エリスの持つ魔力量に耐えきれなかったのだろう。私も予想出来なかった。



 エリスが持つ魔力には、見覚えがなかった。それに加えて魔眼には詳しい情報すらも映らなかったのだ。



 今まで、私の魔眼には起こり得なかったことだが彼女の魔力で分かったことは一つだけある、それは魔力の色が夜のような"黒色"だったということだ。












「なるほどのぅ〜、そういう事じゃったか!儂はてっきり玲夏ちゃんが何かやったのかと思ったわい。ほっほっほー」



「ハァー」




 自分自身がやった事ならまだしも、記憶になかったり罪もないことをしたと言われたら怒ってしまうだろう。私は溜息を吐き出したあと、端末をスカートのポケットから取りだした。



 もう関わりたくないと言う態度を行動で示した私は、手元にある端末を操作しては文字を入力して、検索をかけていったが良さそうなものはなかった。



 怒らせてしまったのに気付いたのか近づいてきて謝りだした。




「すまんかった、玲夏ちゃん。この通りじゃ!」



「分かった、良いよ、怒ってないから許してあげる」



「そうか⁉︎許してもらえたのじゃな、良かったのじゃ〜」




 そのように喜び出した祖父、学園長は操作していた端末が気になったのか覗いてきた。




「ふむふむ、なるほどのぅ〜温泉に、豪華な食事そしてシアタールームまで、至れり尽せりじゃな………なんじゃ⁉︎医療体制までバッチリじゃと?玲夏ちゃん?此処はどこなんじゃ?」




 人の端末を覗き、プライバシーを侵害してはこの場所がどこか聞いてきた。



 どうやら本人はものすごく気になっているようなので言ってやった。




「老人ホーム」



「やっぱり怒っておった!すまんかった、赦しておくれええぇぇぇぇーーーー」

 



 学園長室に響きわたる悲痛な叫び声、だが私は怒っていなかった。



 ただ単純に学園長という職業は辛いものだ。もし、やめるのであればそういった施設に入るのも手の一つだった。



 秘書であるセイラさんがいるとはいえ確実ではない、残りの一生を過ごすのであれば安心出来る場所に預けたかった。



 それは誰にとっても同じのはずだ。






 

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