episode:85
移民到着当日…
到着した者達は街に入りすぐの大広場に集められた。
ここで僕が挨拶や説明をするのだ。
ステージのような物を予め用意していたので僕はステージに上がる。
出て来たのが小さな子供で、皆不安そうな目で僕を見ている。
貴族でもない人が僕自身の見た目や特徴など知る訳が無い。
もしかすると名前すら知らないかも知れない。
婚約者達は出席しない案内人として控えて貰っている。成人までは秘密なのでこのタイミングでの紹介はまずいのだ。
街の人達には身分は特に伝えず街では過ごして貰う事になる。
王女様が普通に街を歩いていたりしたらびっくりしてしまうだろう。
ただのレイとして接してもらう。
ララは領主の秘書的な感じだろうか。
不安に思っている人達をこれ以上不安にさせないため僕は話を始める。
「僕がこの街を治める領主ルイフ・シャルムです。まずは遠い道のりの中この街を目指し来てくださった皆さんお疲れ様でした。この街の住人第1号は貴方方です。そしてこの街の発展の為に来てくださった、職人や働き手の皆さんよろしくお願いします。
移民の方には住居とこの先ずっと続けていける仕事を提供します。
仕事がなくなる不安に怯える心配はありません。
職人の皆さん、この街はまだ出来たばかりです。
建物も殆どありません。仕事は山程ありますし、給金も通常より高く設定しています。この街が気に入ったのならそのまま永住して欲しいとも思っています。
当面の間は炊き出しを行い食事を提供しようと思いますので安心してください。衣食住を僕は保証します。
この街で過ごす事に後悔はさせません、僕に付いてきてくれますか?」
わあああああああああ
ルイフ様万歳
おおおおおおおおおお
衣食住の保証の話をした途端、不安そうだった人達の曇りが晴れ、
僕の呼びかけに応えてくれた。
「そして今日この街に名前を付けたいと思う。竜騎士の街シャルルム。今日からこの街の名前はシャルルムです」
シャルルム万歳ー
竜騎士の街だー
おおおおおおおおおお
街の名前が決まった事でさらなる一体感が出た。
全く考えていなかったのだが、もっと一体感を出すにはどうすればいい?そう考えた時に、街の名前を決めようと思ったのだ。
安易だが家名から取った名前だ。響き的には悪くないと思う。
「では、皆さんこれからもよろしく頼む。それぞれ案内に従ってそれぞれ移動を開始して欲しい」
ちょっと偉そうに言ってみた。
そこからはみんなに任せっきりだ。
移民の人達は雑貨屋や衣類を受け取り割り当てられた自分の家へと移動する。
職人達には明日から仕事に入って貰う事を伝え、一般客用に作っていた、宿へと案内する。本当に寝るだけの部屋といった感じの宿だ。綺麗で寝心地はいいが6畳程の広さしかない。
安いビジネスホテルのような感じだ。
僕は屋敷に先に戻り報告を待つ。
手伝いたいがあまり領主が案内人などをしていると舐められてしまう。なので、僕はお留守番するよう言われたのだ。
数時間後、みんなが戻って来た。
「無事に終わったわよ。名前と部屋の割り振りのメモよ。ルイフが言った通り、年齢と出身地もメモしてあるわ」
「大変だったんだからねー。ルイフ君もう私疲れたよー」
みんなの頑張りもあり、戸籍のようなものを作る事が出来そうだ。
「ありがとう、もう少ししたら炊き出しの準備もあるけど。みんな頼むね」
「ルイフ様、問題ありません。奥様方は私達に任せてお休み下さい」
「マーニ、私達も手伝うわ。人も多いし、これから私達の民になる人達。知っておいた方がいいと思うの」
「セイラ様、ではお手伝いお願いします」
「私達もいくわよ」
「僕も…」
「ルイフは、いいのよ。みんな領主がいたら気を使うでしょ?」
「はい…」
また仲間外れだ。
こんな事で拗ねる程子供じゃないが、少し寂しさを覚える。
僕は寝室でこれからの事を考えながらみんなの帰りを待っていた。
炊き出しは無事に終わり、みんな美味しい食事に大満足だったらしい。明日からは仕事を覚えてもらう。
各自経験を活かした仕事をする事になるので大丈夫だろう。




