episode:81
次の日、僕達は僕の実家であるスーザンの町へと向かう。
勿論転移魔法でだ。町の近くのサンザの森の中に転移する予定だ。
初めて僕が魔物退治をした思い出深い場所、とても懐かしい。
マーニに頼んだ、料理を持ち皆んな揃った所で転移した。
「ここがルイフ君の実家の町?森に見えるけど…」
「田舎とは聞いてたけど、森じゃない…」
「町…に見えない」
「違うよ…近くの森に転移しただけだよ。転移魔法がバレたら困るからさ」
「そもそも、馬車がないのもおかしいわよ?」
確かに…馬車がないのはおかしい、それに森は王都とは真逆だ、あったとしてもおかしい事この上ない。
とりあえず…乗せてきてもらった事にしよう。
「町の外まで乗せてきて貰って近くから歩いてきた事にしようか。王都とは逆の門なんだけど」
「ルイフ君、それなら王都側に近いどこか見えない所に転移したら良いんじゃない?」
「サーナの言う通りよ。そうしましょ」
うん、僕も途中からそう思ってはいたんだ。
でも、最初にこっちの森に転移してしまったから言い出しづらかったのだ。
「うん…そうするね」
僕達は再び転移した。門からは見えず、町に近い位置の森の中だ。
門へ向けて歩く。
10分程で門に到着した。
「ルイフ様、お久しぶりです。夏頃お帰りになられると聞いていましたが、帰って来られなかったので皆心配しておりました」
「ちょっと忙しくてね。ネッパもパナップもいつもご苦労様」
「とんでも御座いません。お屋敷の方へ案内させて頂きます。そちらのお綺麗な方々は…ルイフ様の婚約者の方でしょうか?」
「そうだよ。今から父様と母様に報告に行く所なんだ」
「それはおめでとう御座います。町総出でお祝いさせて頂きましょう、知らせて参ります」
「ちょっと…いいって」
二人は急ぎ足で行ってしまった。
「まだ内緒なんだけどな…」
「凄い嬉しそうだったね」
「うん、小さい町だからみんな家族みたいなものなんだよ」
門に入り、屋敷の方へと向かう。
何もない、農地が広がるだけの風景だ。
「ここがルイフ様の育った町、いい所ですね」
「空気が美味しいわね」
「自然が豊かなだけで他には何もないよ」
嫁達は綺麗で目立つ。
歩いていると、町の人の視線は僕達…と言うよりも嫁達に集中している。
レイ、ララ、サーナ、セイラ、ネピリア、アミ。
6人も美少女が歩いていれば誰もが振り返るのも当然だろう。
それもこんな田舎の町を歩いているのだから…
屋敷の前へと到着する。
王都の屋敷、僕の新しい街の屋敷、それと比べるととても小さい屋敷だ。
「ここがルイフの家?」
「そうだよ。小さくてびっくりしたでしょ」
屋敷の敷地内へと入ると、トマがこちらに気付き近づいてきた。
「ルイフ様…お久しぶりで御座います。お越しだとは聞いていなかったのでびっくりしました。すぐにセレナ様に伝えて参ります。中に入ってお待ちください」
「うん、お願い」
扉を開けてもらいみんなで中に入る。
「お兄ちゃんー」
アカが飛びついてきた。
「アカ、久しぶりだね。元気にしてた?」
「こら、アカ。ルイフ様でしょう。すみません、ルイフ様」
「いいよ、アオも久しぶり。ここでの暮らしはどう?」
「はい、皆さん優しくしてくれてとても充実しています」
「うん、アカ。メイドになったんだよー」
二人ともあの時と比べると見違えるくらいに、健康的になっている。
コケていた顔も元に戻り、元気そうだ。
アカを撫でていると、母様の姿が見えた。
「ルイフ」
「母様、お久しぶりで…うっ」
勢いよく、抱きしめられ僕は大ダメージを…食らったりはしないが。
心配させていたのだろう。
「なんで連絡もしないのよ。心配したじゃない。夏には帰るって約束だったわよね?母様の事はどうでも良くなってしまったのかしら」
「いえ、母様。そんな事はないです。本当は会いに帰りたかったのですが、学園での生活が忙しく、アリオス家の者として恥じないよう努めていたのです」
「そ、そうなのね。会いにきてくれたから、許します。これからはちゃんと帰ってくるのよ?それにノンだって会いたがって居たわよ?」
「はい、母様。ノンも久しぶりだね、大きくなったね」
「お兄たま、お久しぶりでつ」
母様に半分隠れて顔を出しながら、ノンが僕を見ている。
久々に会ったからどう接していいかわからないのだろうか?それとも怖がられている……?
「母様、今日来たのには訳がありまして……」
「お初にお目にかかります。レイナード・ルーンステラです。ララ・フェニアスです。サーナス・アルテナです。セイラ・フェデル・リオです。ネピリア・ファスティオンです。アミュート・アルテミスです」
上手いタイミングでみんなが挨拶を始めてくれた。
「あら、これはご丁寧にありがとう御座います。ルイフの母、セレナ・アリオスで御座います。レイナード王女様にお越し頂けるとは思わず、このような格好で申し訳ございません。すぐに夫を呼んで参ります」
「畏まらなくて良いのです。私はルイフの妻になります。あなたはルイフの母。私の義母となるのですから、親しみを込めてレイとお呼びください」
「私もララとお呼びください」
「私はサーナで」
「セイラで」
「ネピリアで」
「アミでお願いします」
「えっとレイちゃん、ララちゃん、サーナちゃん、セイラちゃん、ネピリアちゃん、アミちゃんね。レイちゃんとルイフが結婚?どう言う事なのルイフ」
僕は説明をした。
5人と婚約してる事、一緒に住んでいる事…
新しい街で一緒に暮らす事。
「何が何だかわからないわ。ルイフは昔から何でもできちゃう子だったけど…王女に、皇女、そして宰相の娘に子爵家の娘、エルフの族長の娘さん、聖女様と婚約って。でもそれって、私を放っておいて、女の子達と楽しく過ごしてたって事よね?」
「母様アミは一緒に暮らしてるだけで婚約者じゃないです」
「そんな事はいいの。私に会いに来ないで、楽しく過ごしてた。これよ、今話してるのは」
なぜそこなんだよ、母様。
どうやって言えばいいのだろう。
忘れていたのは事実だ。しかし頑張ってたし、忙しかったのも本当だ。何を言っても言い訳になってしまう。
「お義母様、ルイフは遊んでなど居ませんよ。皇女を助け、エルフ族を救い、聖女様まで助け。そして誰も開拓出来ないと言われている。ゲンコウ湿地の西。セイラルの森がある大草原を開拓して街を作っているのです。並大抵の努力ではありません」
「私ったらごめんなさいね。ルイフ、あなたが頑張っていた事はわかったわ。でも、開拓ってあなた何をしているの?」
バタンっ
「セレナ、ルイフがルイフが」
父様が突然、屋敷の中に飛び込んできた。
「どうしたのよ?ルイフならここに居るわよ」
「ル、ルイフ。ひ、久しぶりだな」
「はい、父様お久しぶりです。顔を出せずすみません」
「ってそんな事よりも、ルイフ。伯爵位を貰ったと知らせが届いたんだが」
「本当なの?ルイフ」
「はい、父様、母様。伯爵位を国王様から頂きました」
あの父様と母様が呆然としている。
「まあ、ルイフですものね」
「そうだな、ルイフだもんな、今更驚くことでもないか。それにしても伯爵とは大出世だな。ルイフ様って呼ぶか?」
「いえ、父様からかわないでください」
「冗談だ」
そして再びみんなが父様に挨拶をし、一度父様は仕事に戻っていった。夜にみんなでご飯を食べる予定だ。ご飯はマーニに作って貰った美味しい料理を食べて貰いたいと思っている。
その間、母様とみんなは一緒に話をするらしく僕はその間にパモスさんの所へと向かう。そして井戸の組み上げポンプの量産にかかって貰う話を進める。素材は僕が用意し大量に置いておいた。
僕の街のように水道設備を作るのもいいのだがそれをするには時間も必要だし、浸透させるのも大変だ。とりあえずは、井戸のポンプをまずスーザンの町から広げていこうと思う。
そして少しだけ領地を広げるお手伝いをしたいと思っている。
開拓が進んでいない森を少し開拓し、木で出来た2m程の低い外壁を硬い石で出来た5m程の外壁に変えたいと思っている。
勿論、父様に相談を済ませてからだ。
続いて僕は騎士団の訓練所に顔を出す。
「ルイフ様、お久しぶりですね。伯爵位おめでとうございます」
「ありがとう。久しぶりだね、シャルルさん。」
「ガンツも会いたがっていたので、呼んできますね」
シャルルさんがガンツさんを呼びに言ってくれた。
「ルイフ様、伯爵位おめでとうございます。中々会えないもんで、ようやくって感じですよ」
なんか口調がぎこちない。
「ガンツさん、普通に喋ってくれていいよ?」
「いやー…団長がルイフ様が伯爵になったとか騒いでたものだから、どう話せばいいのかと思ってな。伯爵と言えばかなりの地位だ。普通に話していいものかと思うだろ?」
「うん、そうだけど。僕はガンツさんらしくしていてくれた方が親しみが持てて嬉しいかな」
「それはありがてえ。でも伯爵の位を貰ったんだ、それなりの振る舞いは必要だ。もうさんずけはしなくてもいい。周囲にカッコつかないだろ?」
「私も要りませんよ」
確かに…伯爵にもなってカッコつかないかー。
でも小さい頃から、さんずけをして、色々お世話になっている人達だ。中々呼び捨ても照れ臭いものがある。
「ガンツ、シャルル。これからも…よろしく」
これからも目上の人を呼び捨てにしないといけなくなる事も増えるだろう。これはその第一歩だ。
二人と色々とあった出来事を話し、僕は屋敷へと戻る。
屋敷に着くと楽しそうに、みんなが話していた。
いつの間に仲良くなったんだろう。ガールズトークに入っていけない。
「ちょっとルイフ。アミちゃんだけ婚約者にしないってどういう事なのよ?こんな良い子なのに可哀想よ」
えっ…僕?
「母様、アミの気持ちもありますから、僕がどうこういう事じゃ…」
「ダメよ。アミちゃんもルイフ、あなたのお嫁さんにするのよ」
アミは真っ赤な顔をしてこっちを見ている。
みんなも何も言わずに、こっちを見ている。
これはどう言う事だ…
公開プロポーズをしろと言う合図なのか…
でも、アミが僕の事を好きになるような要素がない。
会ってまだ間もないし、一緒には住んでるが特にこれといって言われたこともない。
「えっと、アミ。僕はアミの事綺麗だし、可愛いと思ってる。一緒にいれたら嬉しいとも思う。アミも同じ考えなら僕と婚約して欲しい」
恥ずかしい…これで何言ってるの?とかごめんなさいとか言われたら心が折れそうだ。5人の嫁の前で別の女性に告白し、振られるとか。
これが僕の勘違いならとても痛い男だ。
「あ、あの。私は…」
あれ、まさかの私は、あなたとは婚約する気はありません。
と言われてしまうのか。
「うん…?」
「聖女という立場上とてもご迷惑をかけてしまうと思いますが…。あなたはそれでも私を貰ってくださるのでしょうか?」
えっと…貰ってくださるのでしょうか。
という事はいいと言う事かな?
今更迷惑も何もない。
アミは僕だけでなく、みんなにとっても大切な存在だ。
必ず守に決まっている。
「僕が守るから大丈夫、アミ、これからもよろしくね」
「良かったわね、アミ」
「アミちゃん、これからも一緒だね」
「これで解決ね。ルイフ、もっと女心を学ばないとダメよ」
母様は、アミの気持ちを教えてくれるためにあんな事を言ったのか…
これで僕の嫁は6人だ…
養う力はある。守る力も…あると思っている。
しかし、平等な愛…
みんなを大切にするつもりでいるがどうしても考えてしまう。
誰かを優遇してしまえば、それが不満にならないか。
今は仲が良いがみんな、仲良くずっと居てくれるか。
一夫一婦制…ある意味とても楽な制度だ。
一人の人を愛し続ける。他に妻は作れないのだから平等な愛など考える必要もない。
不安もあるが、僕なりに頑張って…いくしかないか。
僕はアミにも皆と同じ婚約指輪を渡す。
「ありがとうございます」
嬉しそうに指輪を見ている。
喜んでくれて良かった。
ノンの存在が忘れられてたので修正しました。




