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Episode41 追尾する恐竜

 エフィストが落ちた後からしばしの時が経つ。やっと、罪悪感から立ち直った僕は、テーラたちに連られ、共に車に乗った。

 車にエンジンがかかる。続いて、アクセルが踏み込まれると、車は出発した。

ブロロロロロ...

そんなエンジン音を響かせながら、車は陥没した場所の淵を走り、茂みの中を進んだ。そして、やがて元の道へ。僕たちはその時ついた草やら芝やらを払い落としていた。

 次なる目的地は陽の森の中央にある陽の館だ。その館もかなり古く、聞いた話ではまだこの島に国が合った時に建てられと言う。古い館だから。陽の館に決めた理由はそれだけではない。

 陽の森とはとても明るい森である。だから、"陽"の森と言い、反対に暗いあっちの森を"陰"の森と言う。ジョブの1つ・陰陽師はこの2つの森を制すとも言われる。と、余談はここまでにして、本題に入る。

 改めて言うが、陽の森は明るい森である。それなのに、光が苦手なはずの邪悪な怪物が結構居る。例えば、ベビートロールやトロール、さらには、最近、ユーベルゴーレムなどと言う凶暴なゴーレムもここで発見された。そんな生物たちが、森の明るさに耐えられるのは、「分霊の書」から発せられる邪気のおかげでは無いのだろうかと。

 と、このような理由で僕たちはついに陽の森に辿り着いた。

「リドナーって本当に推理力に優れているわね。」

マリアに言われて、僕は

「ありがとう。でも、そんなこと無いよ。」

と言った。すると、

「それは推理力の無い人に対する嫌味じゃない?私、謙遜し過ぎるのは時に嫌いだわ。」

ああ、そうかよ。僕は心の中で喧嘩腰にそう言った。

 ドシンッ!ドシンッ!ドシンッ!

と、森をしばらく進んでいるとそんな音がした。地面はそれに合わせて振動し、木が大きく音も聞こえる。

「ちょっと待って...。この音と地響き...。」

マリアがハンドルを持ちながら震える。僕も真剣な表情で、

「近付いてくるぞ。」

「ちょっと待って...。唸り声みたいなのも聞こえない。」

とテーラ。

 グルルル...

確かに唸り声が聞こえる。この音、地面の揺れ。僕たちには心当たりがあった。ニコラス以外の4人が唾を呑んだ。だか、ニコラスだけはどうやら知らないらしく、驚いてはいるが、恐怖は無い様子だ。僕は彼に、

「ニコラス。取り合えず、後ろに銃を構えておけ。ヤバい奴が現れたら迷わず撃つんだ。」

僕の予想が正しければ、ヤツらは動く物に興味を示すはず。ただ、森に邪気が漂うこの状態だ。もしかしたら、凶暴化して動か無くても襲って来るかもしれない。

 なら方法は1つである。ニコラスの銃で牽制しつつ、陽の館まで走り抜け、車に乗ったまま、中へ突入。ヤツは大き過ぎて中には入ってこない。この作戦をマリアに伝えると

「了解よ。」

と頷いてくれた。

 そして、ソイツは現れた。予想はドンピシャ当たっていた。

 グォォォォォン!

T-レックスによる威嚇の咆哮。その瞬間、マリアはアクセルを思いきり踏み込んだ。車は一気に加速し、ヤツとの距離を伸ばす。ヤツは足で地面を抉り、胴で木々を倒して追い掛けてくる。

ズドドドドド...!

それをニコラスが正確に狙う。だが、そんな物はお構い無しに追いかけてくる。

 車は地を進み、ヤツは車を追いかけ、銃はヤツを狙う。その末、ついに陽の館は見えて来た。マリアがブレーキを掛ける。この時、ヤツとの距離が少し縮まる。その一方、僕は館の大きな扉に手を翳し、

「オープン!」

と、唱える。すると、扉は軋むような音を立てて、両開きした。

 車はその下を通過。その瞬間、僕はまた扉に手を翳し、

「クローズ!」

今度は扉が閉まり、鍵が掛かった。

 ドゴォォォォォッッッッッン!

そして、ヤツの足が扉を蹴り飛ばした。それはこちらに向かってくる。僕は

「プロテクト!ロングリーチ!」

と唱えた、巨大な障壁を生み出し、それを跳ね返した。

 ドォォォッッッン!

その扉は上部分は奥に倒れ、床にたまった埃を高く巻き上げ、やがて落ちてきた。その頃にはもうT-レックスは消えていた。

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