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Episode19 神宿し

 つい先ほど、オーロラさんと僕たちの対決が始まった。と、思われたのだが...。

 「ったく、あんたたちはせっかちなのねぇ。人の話を最後まで聞きなさいよ!固有魔法『デジネーション』っ!全員を対象に『フリーズ』。」

オーロラさんはそう唱える。すると、僕たちの体は動かすことが出来なくなった。

「まだ、話の続きなの。最後まで聞いてくれるかしら?」

僕たちは、うなずく以外、出来なかった。

 「ねぇ、リドナーさん。私がアンタを洗脳しようとしてたこと覚えてる?」

オーロラさんは僕に聞いてくる。

「洗脳って...あの、目が赤くなったヤツですか?」

僕は聞き返す。

「えぇ、そうよ。洗脳ブレイン・ウォッシュってのは、名前だけで、実は邪力を生み出して、相手の体内に注入し、魔力を侵食させて、理性を失わせる能力なの。その時、どういう原理がわからないんだけど、目が赤くなるの。洗脳が完了すれば、相手も赤くなるはずなんだけど、リドナーさんは赤くならなかった。つまり、洗脳が失敗したってことよ。何で失敗したか、分かるかしら?」

彼女はさらに、聞き返してくる。

「そんなの、僕に洗脳が効かないほどの意思があったからとしか考えられませんよ。」

僕は答える。

「そうね。私も最初はそう思ってた。でも、それは間違っていたの。ねぇ、神宿しゴッド・ドウェルって言葉知ってる?」

 「神宿しゴッド・ドウェル?」

僕は相づちを打った。

「えぇ。私も最近知ったんだけどさ、昔から強い力を誇る血筋の者の魂に、神が宿ることがあるらしいの。それが、神宿しゴッド・ドウェル。神を宿した本人を指すこともあるわ。まぁ、神と言っても、ずっと子供だから、神宿しゴッド・ドウェルで完全な神になることは出来ないわ。死んだ後、半神英雄ワルキューレに生まれ変わることもあるらしいけど。」

オーロラさんがそう説明した。

「で、その神宿しゴッド・ドウェルがどうかしたんですか?」

僕は、聞く。

「察しが悪いわねぇ。私は、それが、アンタって言ってんのよ!」

彼女は、そう答えて、僕を指差してくる。

「え?」

 たしかに、僕の血筋は強い人ばっかりだ。例えば、父さん。父さんもかなりの魔力を持っていて、マルムンというドラゴンの亡霊を倒したらしい。父から教わった話と、『魔術入門』にか書かれていたことをまとめると、そのマルムンが闇の魔法使いの手違いで亡霊として復活し、多くの被害が出たから、亡霊魔法は、"禁じられた魔法"になった。

 また、約300年前のご先祖・ルチャルもその代表的な例だろう。彼は、魔法剣士の中でも3本の指に入るほどだったようで、当時の島の長・オスカーが、大量発生したトロールの討伐のために結成したバルッツア戦団に参加した。そこで、彼は「ハイエスト」と「フライト」を組み合わせて、7賢者並みの兵力を誇ったと言う。

 「たしかに、僕の血筋は強い人ばっかりだけど、だからって、僕が神宿しゴッド・ドウェルたって証拠にはならないんじゃ...。」

僕は、オーロラさんに言う。

「本当に、アンタは察しが悪いわねぇ。」

彼女はそう言って、説明を始めた。

 「『魔力解放』ごときで、あれだけの威力を出せるなんておかしいと思わなかったの?」

「思いました。」

「いくら、遺伝だからって、こんなに魔力があるのはおかしいとは?」

「同じく。」

「そもそも、適応力を調べる時に、ある薬を使ったはずよ。その時、反応がすごかったんじゃない?凄く輝いたんじゃないの?」

「全くもって、その通りです。なんで、変だと思わなかったんだろ。」

僕は、自分の察しの悪さを心から恨んだ。

 「あっ、でも、邪力を注入するだけなんでよね?じゃあ、神宿しゴッド・ドウェルだろうと何だろうと、関係ないじゃないですか?」

僕は、気になったことを聞いた。

「本当に察しが悪いわね。もう、うんざりよ。」

オーロラさんは疎ましく思っている様子だ。

「ごめんなさい。」

僕は、とりあえず謝った。

「だからね、それが出来なかったっことよ!ただでさえ、光の魔法使いに対しての洗脳は難しいのに、光の神宿しゴッド・ドウェルなんて、泣きっ面に蜂じゃないの!」

彼女は勝手に逆ギレしてくる。え~?ていうかっ!

 「話したいことはそれだけですか?」

僕は聞く。

「えぇ。本番はこれからよ。皆殺しにしてあげる。」

オーロラさんはほくそ笑んだ。なら、遠慮なく!先手は取らせて貰う!

「I.D.T.Y.M.I.D.!」

僕は、そう言って、強制的に『フリーズ』を終わらせて、剣を抜き、「モーメント」で一気に距離を詰めた。

 こうして、今度こそ、僕たちの対決が始まった。しかし、「アクロニムスコード」の後、また「フリーズ」を掛けられてしまう。僕は、硬直魔法対策として魔力を集中させていたので、聞かなかった。結局、一騎討ちになってしまったが、僕に魔法が掛かっていないことを悟った彼女は少し動揺している様子だった。

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