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Episode16 夢魔

★今回初めて登場する怪物★

サキュバス

夢魔。黄昏の四天王で、悪魔(デビル)の頂点に立つ女王的存在でもある。何故か「淫夢」と言う別名を持つが、そんな夢を見せるのは、ごくまれである。正体は人間で、胸元の赤い核(コア)が弱点である。

 しばらくマリアを安静にした後、僕たちは、車に乗って、レイカーの町の近くまでいった。そして、透明化と無音の魔法をかけて、あの時のように、扉の近くまで強行突破した。その途中、タイプⅠとタイプⅡの大群に会ったが、何とか倒しきった。

 それから、僕たちは、車から出る。すると、

スパッ!

天井に空いた隙間からギロチンが落ちてきたのだ。

 「固有魔法『モールディング』っ!」

まさに、危機一髪。僕は、そう唱えて、ギロチンの真ん中をくり貫いて、僕たちは死なずにすんだ。

「みんな、大丈夫か!?」

それを確認した後、僕はみんなに聞く。

「あぁ。」

「はぁ...。死ぬかと思ったー。」

「ふぅ...。」

「おかげさまで大丈夫。」

みんな、無傷だったようだ。良かった。僕は一安心し、今度は、扉をくり貫いて、1人ずつその中へと入り、町中へと出た。

 すると、そこにはエリーナさんがいた。ん?何か黒い剣のような物を持っているぞ?

「お姉ちゃーん!」

テーラが彼女に近寄る。すると、彼女はテーラに向かって剣を振ったのだ。

「お...姉ちゃん?」

僕は、彼女が切り裂く前に、テーラを「ドローイング」でこっちに引き寄せた。

 「それで、エリーナさんで間違いないんだな?ニコラス!」

「はい。あの人です。」

僕が聞くと、ニコラスはそう答えた。

「ドュンケル様の邪魔はさせないわよ。」

エリーナさんはそう言って、無詠唱で闇の針や、闇の刃をたくさん放ってきた。僕は、

「プロテクト!」

と唱えて、それを防いだ。

 それを見たエリーナさんは、

「手間かけさせないでよねっ!固有魔法『フォービット』っ!」

と唱えた。「フォービット」って、機械サソリを倒す時に使った、禁止魔法だよな。って、ことは?僕は、

「シャイニング・ボール!」

と唱えた。しかし、魔法は発動しなかった。クソッ!これじゃ、魔法が使えない!ん?でも、待てよ?確か「フォービット」は、術者を中心とした一定領域内の魔法を禁ずる固有魔法だったはずだ。つまり、彼女も魔法を使えないはずだ。

 テーラの前だし、エリーナさんを傷つけるとのは気が引けるが、いたしかたあるまい。僕は、ロンギヌスを抜き、斬りかかった。

 キィィィン!

「なっ!?」

僕のロンギヌスはエリーナさんに跳ね返された。彼女の片手にはさっきの黒い剣があった。

キン!カキン!キィィィン!カキン!

しかも、彼女は僕の斬撃を的確にさばいてくる。クソッ!ステータスが大幅に上がってやがる!しかし、これはどうだ!

 「I.D.T.Y.M.I.D.!」

僕はそう唱える。これは、「アクロニムスコード」と言う、言語を使った、魔力を使わない詠唱である。もちろん、魔法では無いため、「フォービット」に引っ掛からない。この言語は、英語の頭文字をとるもので、今回は、その内の「It dictates that your magic is disturbed.(汝の魔法の乱れを命ずる)」を使った。

 その気になれば、自分でオリジナルの「アクロニムスコード」を作ることが可能で、今、館の本棚に置いてある、「無魔力詠唱入門」という本に書いてあった。基本的な無魔力詠唱でありながら、需要があるため、多く人々に使われている。それに、対象の魔法の構築を理解出来れば、魔力が無くても使用できるので、極めれば無魔力詠唱とはかなりの武器となるのだ。

 「クッ!『アクロニムスコード』ね!でも、それがどうしたの!?さような...」

「遅い!」

僕は、即座に「魔力開放」をし、エリーナさんを吹っ飛ばした。

 「全く『魔力開放』ごときで、この威力なんて...!一体、アンタは何者よ!」

エリーナさんは聞いてくる。

「さぁ?僕にはわかんないや。」

僕は首をかしげる。

「そう。まぁ、良いわ。これは油断していた私が悪いんだから。アンタを倒すには、私も本気出さなくちゃね!」

彼女は、そう言って、右手に出来た擦り傷から染み出る血を、左手の指ですくった。

 「フフフフフ...。みんな、仲良く終わらせてあげるわ!」

エリーナさんはほくそ笑みながら、すくった血で右の掌に何かを描き、天に掲げた。その瞬間、彼女に向かって黒い柱が落ちてくる。これは、凶虫(ブルータル)が現れる時と同じ柱だ。僕は、今までの経験上、これは危険信号であることがわかっていので、瞬間移動で退避した。

 ドーン!

その直後、その柱はエリーナさんのいる所に落ち、その周辺には黒い霧が分散した。その時、嫌な感じの強風が波紋のやうに吹き、僕たちは服をたなびかせながら、手で体を守り、何とか耐えることが出来た。

 そして、柱は消え去り、その瞬間、風も吹かなくなった。見ると、体中に張り巡らされた黒い蔦のような物と、胸元の赤い宝石のような物。高めの露出度に、真っ黒な翼。間違いない。そこにいたのは、子供にはあまりオススメ出来ないちょっとアレなおとぎ話(それが、わかるのはちょっと気になって、そう言う本を読んでしまったことがあるからだ)によく出てくる、夢魔・サキュバスとなった、エリーナさんであった。

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