Episode14 地に眠る魔剣
●今回初めて登場するアイテム●
ロンギヌス
神話にも登場する伝説の魔剣。エクスカリバー、レーバテインに並ぶ、バッファル3大伝説剣の1つ。時が来るまで、誰にも抜くことが出来ない。しかし、時が来れば、選ばれし者のみがこの剣を抜くことが出来る。
僕たちは、アレクと別れを告げ、森を出た。すると、すでに夜になっていたので、とりあえず野宿して、明日、出発することにした。
「で、ニコラスはどこから逃げてきたの?」
僕は聞く。すると、ニコラスは、
「レイカーの町の地下です。そこに、彼女もいました。」
と答えた。ヤツら、たくさんの人がいたあの地下をそのまま、拠点としたのか。と、思っていると、彼は
「あと、みんな、奴隷のように働かされていました。私はそれを逃れたくて、脱出を図ったんです。それに、人々を閉じ込めているのが地下ってだけで、地上もヤツらの拠点の一部となってしまっているんです。だから、簡単には入れてくれないでしょうね。」
と言った。なるほど、地上も占領されているのか...。それはマズいな。あそこには、山麓の図書館という、もう使われていない古い図書館があって、そこに分霊の書があるかもしれないのに...。
「まぁ、考えても仕方ないか...。」
僕はそう言って、テントの入った超小型収納箱を貰い、立てたテントに透明化魔法「インビジブル」(「クリアボディー」と違って、「インビジブル」は対象を透明化させる)をかけて、見えなくした。また、陰所設定魔法「ハイド・ポイント」で何も寄せ付けなくしてから、みんなでその中に入り、全員で眠りについた。
「リドナーよ。選ばれし者・リドナーよ。」
寝ている途中、頭に直接、そんな声が飛んできた。僕は、起き上がり、杖を抜く。僕は、あの地獄龍の時に学習した。こういった、テレパシーを信用してはならないと。しかし、好奇心には負ける。僕は、警戒しながらも、声のした方へ歩いていった。
そして、そこには割れた転移鏡が落ちてあったのだ。しかも、額縁から僕が買ったものだと断言できる。何でこんなところに?ますます、怪しくなった。僕は、とりあえず、
「フィックス!」
と唱える。すると、ひびは全てなくなり、まだ使える状態に戻った。僕は、よりいっそう、警戒しながらも、その中へと入っていった。
僕が出たのは、かなり開けた草原。中央には綺麗なサークルがあり、その回りには6本の柱があった。
「リドナーよ。その6の柱に魔力を流すのだ。」
また、あの声がした。
僕は、杖を握り、言われた通り、それらの柱に魔力を流していった。思っていたより広く、6本全てに魔力を流すのに5分もかかった。
「で?何が起こるんだ?」
僕は首をかしげる。
と、サークルの中に六芒星が現れた。かと思うと、サークルの中の地面が消えていき、そこに巨大な穴が出来た。かなり、深いが、底は見える。バッファル崩落の日に落ちてきた隕石に良く似た色と形をした巨石。その上に刺さる剣。その横には、ラーセットのオニキス。声の主はオニキスだったのだ。
「さぁ、こちらへ来るのだ。リドナーよ。」
ラーセットにそう言われ、僕は「モールド」で石をを階段に変えながら、10分程かけて、底へたどり着いた。
「オニキス。君だったのか。何の用?」
僕は聞く。すると、
「これを見よ。魔剣・ロンギヌスだ。」
と答えた。確か、それって、神話にあった...僕は「キーピング」を唱えて、ゲートから『バッファルの書徹底解説』を取り出し、ロンギヌスに関する記述を見つけた。
魔剣・ロンギヌス。邪神の落とした巨石に怪物を封印するために作られた。宇宙の大結界の核でもある。時が来るまでは、誰にも抜くことが出来ない。時が来ても、選ばれし者以外は抜くことが出来ない剣。なるぼど、このタイミングでラーセットが呼んだと言うことは、その時が来たと言うことだ。
「で、僕にどうしろと?」
僕は聞く。
「その剣を抜くのだ。」
オニキスは言う。
「でも、選ばれし者じゃないと抜けないんじゃ?」
僕は再度、聞く。
「だから、お前が選ばれし者なのだ。」
オニキスに即答される。
僕は仕方なく剣の柄を掴む。
「そしたら、その魔剣と契約をかわすのだ!『我と汝、ここに契りを結びたもう』と言ってな。」
オニキスがそう言ったので、
「我と汝、ここに契りを結びたもう。」
と、そっくりそのまま、真似をした。すると、剣からOKと伝えるように、眩しい光が放たれた。
それから、僕はゆっくりゆっくりとその剣を抜いた。魔剣・ロンギヌス。それは、聖なる力を帯び、青白く輝いていた。