Episode13 洗脳
◆今回初めて登場する人物◆
ファスター(41)
ベルゼブル族の男族長。男のわりには器用で、かなり綺麗好きで、上品な言葉遣いをするので、「クイーン」と呼ぶ人も少なくない。
●今回初めて登場するアイテム●
記憶保管機
黄昏界の技術で作られた、記憶をそのまま、インプット出来るSDカード。記憶を保管できる固有魔法「メモリー・ストレージ」を必要としない。
「クリス様。ベルゼブル族長のファスターでございます。」
ファスター族長が名乗のる。
「どうした。」
その彼に、クリスが聞いた。
すると、ファスターは、
「さっき、連絡があったのですが、陰の館の分霊の書...つまり、『天空の遺跡』が破壊されたようです。」
と説明した。
「何!?それは、何人だ!?」
クリスはそう聞いた。族長は、
「こちらの記憶保管機に、それを見た物の記憶を入れて参りました。」
と言って、その機械を渡した。
それを見終わるなり、クリスは
「クソッ!またアイツらか!それに、逃げ出したあの男もいやがる!」
と言って、怒りのあまり、手に力が入ってしまった。そのため、薄っぺらい記憶保管機はいとも簡単に折れてしまった。ファスターは、
「アイツらと言いますと、お知り合いでございますか?」
と、彼に聞く。彼は、
「あぁ。あいにくとな。ったく、これが腐れ縁って奴か?」
と答えて、舌打ちをした。
そして、クリスは、
「おい!洗脳!あのエリーナとか言う女を洗脳してこい。」
と、とある女に向かって、そう命令した。その女は、
「承知しました。」
と言って、魔法で作られた、牢屋に向かって走っていった。
「エ・リ・ー・ナ・さ・ん♥」
女は、檻の中のエリーナを見つけるなり、愛くるしい笑顔で彼女の警戒心を弱めてから、
「久しぶりですね。」
と、挨拶をした。
「あなたも、ここにいたのね。」
エリーナも挨拶を返す。女は、
「えぇ。」
と答え、
「ねぇ、洗脳って知ってます?」
と問いかけた。
「どうしたの。いきなり...。」
エリーナは女に聞く。
「『洗脳』って意味なんですけどね、実際は洗脳とかじゃないんですよ。」
そんなことを言う女に、エリーナは酷く困惑していた。
「な...何の話をしてるの?」
「それでは、突然ですが質問。今、あなたの中にある、自分の物ではない邪力は何でしょう?」
女は聞く。エリーナさんは、
「だ...誰のって...。あなたの...?」
と答えた。
「だーいせーいかーかーい!そう、その邪力は私の物です。さらに、もう1つ。闇の魔法を正しく扱うことが出来るのは、魔力と邪力のバランスが保たれているから。では、そのバランスが崩れ、邪力の割合を大きくなってしまったらどうなるでしょうかー?」
女は、さらに質問をする。
「そっ...そんなの、邪力が魔力を侵食して、一つの巨大な邪力となって、術士の理性が失われるに決まってるわ。」
彼女はそう答えた。
そして、エリーナは気づく。
「まさか、あなたっ...そのために!」
女は、ほくそ笑み、
「あらあら、またまたまた、だーいせーいかーい!」
と言った。エリーナは必死で魔力を凝縮する。
「魔力を一度、縮めて、元に戻ったときの反動で、つまり、魔弾性を使って、邪力の勢いを止める気ね。でも、無駄よ。」
女はさらに邪力を注入し、反動が起こる前に、彼女の魔力を完全に侵食した。
その瞬間、エリーナはうつむき、病んだように、
「何でもお申し付けください。」
と暗い声で呟いた。
「じゃぁ、アンタの大事な大事な妹とその仲間を殺しなさい。」
女は命令する。すると、彼女は
「仰せのままに。」
と承諾した。女は、ほくそ笑みながら、魔法の檻を壊し、クリスの元へと連れていった。
それから、クリスと女は会話をしながら、ドュンケルの仮の姿・ユンケルの元へとエリーナを連れていった。
「それでね、コイツに闇の魔法使いの邪力と魔力のバランスがどうなのって言う話をしてやったの。」
「まぁ、邪力を混入するだけだから洗脳は誰にでも使えるがな!」
「光の魔法使い相手だと難しく、闇の魔法使い相手だと簡単ってい差はうるけど...。まぁ、そうね...。」
しかし、女には気がかりがあった。それは、ある男相手に邪力を忍び込ませることさえ許されなかったということ。アイツは一帯...?彼女はその後、その原因を探り始めた。




