プロローグ 強制転生
勇者の家系で勇者の子孫として僕は生まれた。
私は勇者ではなく、ただ魔法使いだった。
俺は、勇者になるために教育され、強制的に勇者にさせられた。
——そして、魔王をたおして、■■■■。
***
目を瞑っていても聞こえる波の音。
ザッパーンと心地の良い音だ。
魔王を倒して、魔王城が落下してからの記憶がないが、どこかに流れ着いたのだろうか。
目を開ければ空とは思えない色に染まっている。
「よぉ、勇者セピア・ロペス」
声が聞こえたと同時に痩せこけた青年の顔が視界の端から覗く。
「うわっ」
「あっちゃぁ……動けちゃうんだ……へぇ」
俺は驚きのあまり飛び起き、剣の柄を持って二歩三歩と青年から遠ざかった。
青年は口の端を吊り上げて、俺の頭からつま先からつうっと見下ろした。
「なぁ勇者……転生って信じるか?」
「は? 信じるも何も……輪廻転生はこの国を生きる人間なら誰だって……」
「じゃあ、俺でも分からなかった世界の謎を解いてくれ。転生をして……な?」
その言葉が聞こえた瞬間だった——
「っ……くっ……ゔっ」
痛いの一言で済ませるには惜しい痛みが全身を襲う。
まるで全身に張り巡らされた血管を引き裂かれているような、心臓を握りつぶされているような、そんな感覚だ。
徐々に痛みが強くなり、身体は硬直し、食道を伝って胃液が口から溢れ出す。
——これは、ヤバい。死……ぬ……。
そう思った数秒後、目の前が真っ暗になり、最後に聞こえたのは波の音と——
ジョーテルジョーカーという言葉だった。




