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第6章 魔法学校の章 第76話 王都で大発見した

「駄目です」


 ラムからの報告は芳しくなかった。どうも進展しないらしい。手を変え品を変え口説いてみるが何一つ進展がないのだ。


「何だか逆にこちらが手玉に取られている感じがする」


「そうなのか?相手は早熟ではあるが15歳の世間知らずだぞ?」


「それが時々15歳には見えない時があるんだよね」


「ただのガキだったけどな」


 それから暫らくしても何の進展も無かった。もう無理かと諦めかけていたが、とりあえずエル・ドアンを王都に足止めさえできれば問題は無い。


 キサラも防御魔法や隠蔽魔法を極めつつある。探知魔法はやはりレアのようでキサラは一行に習得できなかった。


 エル・ドアンはオールマイティだ。どの系統の魔法も一流だった。というか超一流か。俺の魔法とは比べ物にならない。俺が唯一勝てるのはマナの量くらいだが、それはまあ反則みたいなもんなので結局全敗で間違いない。


「どうかしましたか?」


 俺が少しだけ途方に暮れているとエル・ドアンが声を掛けてきた。


「浮かない顔ですね」


「ああ、まあちょっと思い通りに行かないことがあってね」


「そうですか。視点を変えてみると何か新しい発見があるかも知れませんよ」


「視点か、まあアリガチだが、それも真理かも知れないな」


「ところで、思い通りに行かないことって何ですか?」


「えっ」


 その質問は想定してなかった。確かに普通は聞くか。


「ああ、キサラが探知魔法を全然覚えられない、っとことだよ」


「探知魔法ですか。一応レアですからね」


「でもドアンは得意じゃないか」


 最近はドアンと呼んでいる。呼び捨てだ。


「僕は全ての魔法が得意ですから」


「なるほど、そりゃそうだ」


「まあ気にしないことです、なんとかなりますよ」


「なんとかなるといいな」


 エル・ドアンは俺を置いて行ってしまった。


「コ-タロー様」


「キサラか」


「どうなさいましたか?」


「うん、エル・ドアンと少し話していた。何だか少し引っかかることが有ったんだ」


「引っかかることですか?」


「そう。彼から視点を変えてみれば何か新しい発見があるかも知れない、と言われて、そこで何か引っかかるものを感じたんだ」


「それは一体なんなのですか?」


「判らない。まだ判らない。何かを見落としているのかも知れない」


「見落としている事、ですか?」


「それが何なのか判ったら、この引っかかりの正体も判るだろうな」


「それは大切な事なのですね」


「多分な。悪巧みもどうも失敗したようだし、他には何もやり様がない今、この引っかかりの正体を見付けるしかない」


 取り留めのない話ではあったが、今出来ることをするしかなかった。


「悪巧みは失敗だったんですね。じゃあもう『黒蝶の館』へは行かれないんですね」


「えっ」


 キサラは俺が『黒蝶の館』に出入りしていることを知っていたらしい。


「ああ、まあ、もう用はないかな」


 悪巧みとしてはもう用はないんだが、でもまあ、あれだ、折角知り合いになったんだからラムには会いに、うむ、行かないか。ちょっともったいない気もするが。


 しかしラムの誘惑を断り続ける15歳ってどうもピンとこないな。俺であれば見た目は二十歳だが中身は還暦なのだから、まあそれでも自信がない。


 ん?


 見た目は二十歳で中身は還暦?


 それはそうだ、ナーザレスに若返りの魔法を掛けてもらったんだからな。ナーザレス?ナーザレスと話をしたことで、何か朧げにも思い出しそうだ。


 何だ?何が引っかかっている?


 誰かと会った?誰だ。そうだ、ジョン・ドゥだ。ナーザレスはジョン・ドゥに会ったと言っていた。


 まさかな。でもそれしか考えられないか。確か俺以外には二人しか他帰りの魔法は掛けたことが無い、と言っていた筈だ。二人とはヴァルドア師匠とルナだ。ナーザレスが掛けたのではない?


 若返りの魔法は魔法自体の難しさよりはマナの量が圧倒的に足りない魔法だ。逆に言うとマナの量が十分であれば掛けることは難しくはないのだ。


 ジョン・ドゥのマナの量はもしかして俺とナーザレスを併せたよりも多い?


 もしそうだとして、自らの素性を隠してエル・ドアン(多分偽名だ)は何を考えて、何を企んでいる?


 これは確かめてみる価値があると思った。

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