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バラ園を出てから、石の階段の途中で座ってみた。ロゼ姉は一番頼れそうだたんだけど。
あまり悩んでいないうちに後ろから声がした。
「ロイウェルさん、お悩みのようですね」
振り返ってみると、エルちゃんが心配そうにこちらをみていた。
「エルちゃんは悩んでいる人にどう接すればいいと思う?」
「まずはどんな悩みなのかを伺うでしょう」
「色が無くて困ってるって言われたら?」
「姫様がそうおっしゃているんですか?」
さすがエルちゃん、察しがいい。なにかいい答えを教えてくれるかな。そう思ってたんだけど、返事は心無いものだった。
「お言葉ですが、おやめになったほうがよろしいかと」
「それはどういうこと?」
「そのままです。ロイウェルさんが悩むことではないでしょう」
まさかの言葉。アクロちゃんが落ち込んでいるのを助けてあげようとしてて、それをやめたほうがいい、他人のことだからって。そんなのひどいよ。
「エルちゃん、冷たすぎるよ」
「さらに言わせていただきますが、無駄なことだと思います」
「どうして!辛そうなんだよ!私たちのお姫様なんだよ!私たちが助けてあげなくちゃ、だれが助けるの!」
つい立ちあがってしまった。いてもたってもいられなくて、エルちゃんにとびかかるようにして迫った。それでもエルちゃんは動じなくて、顔色も変えず冷たい言葉を放った。
「ないものはないのです。私はこの色。ロイウェルさんはこの色。アクロ姫には色がない。これが事実なんです」
「だから!その色が無くて、仲間外れだって、そう思うんでしょ!」
「ないものはないのです」
「もういいよ!」
エルちゃんを突き離して、そっぽむいた。憎らしいくらい空が青い。
「色がないことがそれほどダメなことでしょうか」
聞こえないふりをした。
「ロイウェルさんは、その色であることで、いつもいつも幸せですか」
そんなことない。黄の色は幸せを与える色だからって、みんな期待する。そればっかり求めて、その仕事だけさせるの。それに、ほかのことはさせてもらえない。願ったってかなわない。黄は赤でも緑でもないし、二度と変わることはないの。返事はしなかったけど、エルちゃんの言いたいことはわかる。
「色があることが正しいことではないでしょう」
エルちゃんは後ろから優しく抱きしめてくれて、
「それをお伝えして、それでも何も変わらないなら、あきらめましょう」と言った。
「あきらめたくない」
「やり方を間違えるときらわれてしまいますよ」
さようなら、と言ってエルちゃんはロイから離れた。すぐに振り向いたけど、もうどこかへ行ってしまっていた。




