花見 1
閑話その2です。
入学式からしばらくして。
この町にも桜の季節がやってきた。
桜と言えば花見。ということで我が家の伝統行事となった花見をすることになった。
というのも、我が柏家の庭には一本の桜の木があるのだ。親父がこの家を建てたときに一緒に植えたらしい。その木もすっかり成長して、今では立派に花を咲かせるようになった。
それから、我が家では自分の敷地で花見をすることが通例の行事になった。
「愛姉ちゃん」
俺はリビングで寛いでいる姉ちゃんに声をかける。
「…どうしたの?」
「今年の花見だけどいつやる?」
「そうね。桜も咲いたし今週の日曜でいいんじゃないかしら?」
「分かった。栞姉ちゃんと唯にも聞いてみる」
そのままリビングを出て、栞姉ちゃんの部屋に向かう。
――コンコン
「栞姉ちゃん?」
ドアをノックすると栞姉ちゃんが出てきた。
「…なに?」
ちょっと眠そうな顔。うたた寝でもしてたのだろうか。
「今年の花見だけど、日曜で問題ない?」
「…うん、大丈夫」
「分かった。起こしてゴメンね」
立ったまま寝そうな勢いの栞姉ちゃんと別れて、次は唯の部屋に向かう。
可愛いデザインの『YUI』と書かれたプレートのドアをノックする。間を置かず、『はーい』と声が聴こえて、ドアが開く。
「…あ、お兄ちゃん! どうしたの?」
俺の顔を見るなり、満面のスマイルを向ける唯。本日も可愛さMAXである。
「今年の花見だけどな、今週の日曜でも大丈夫かい?」
「日曜日? ちょっと待っててね?」
そう言うなり、部屋に一旦戻っていく。どうやら予定を確認しにいくみたいだ。
こういうしっかりしているところが唯の美点だ。却って栞姉ちゃんはズボラな気もするが…
間もなく唯が戻ってくる。
「うん! 大丈夫だったよ」
「分かった。じゃあ日曜で宜しくな」
そう言い残して、部屋を後にしようとするが、唯に呼び止められた。
「…あ、お兄ちゃん!」
「…ん?」
「あのね……今年の買い出し、どうするの?」
「…あ! やべ」
うっかりしてた。
当日の材料とかは持ち回りで行くことにしていた。必然と俺が荷物持ちになるため、誰がパートナーになるかを決めなくてはいけない。
迂闊にも愛姉ちゃんにも栞姉ちゃんにもまだ頼んでいなかった。
そして、暗黙の了解なのか、俺と買い出しに行けるのは一人のみらしい。
「…よかったら唯が付き合う……よ?」
上目遣いで俺を窺う。ヤバい、本当に可愛い。
妹に萌える兄。何かとダメな気がする…
「唯、お願いできるか?」
「うん! 任せて!」
ということで、今年の買い出しは俺と唯に決まる。買い出しは前日の夕方に行くとこで唯と同意して別れた。




