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廃屋に潜む、闇の中  作者: 秋原かざや
第1部 本編
3/11

怖くて死にそうです!!

 ひょんなことから、私は廃屋に来ました。

 最初は私を含めて5人だったのに、何時の間にか1人になっちゃいました……って、マジですかっ!?


 うううう、廃屋内が非常にリアルで迫力アップしてるんですがっ!!

 しかもね、壁の落書きの文面もなんだか……。


『おいで』

『早く早く』

『あそぼ、あそぼ』

『赤城参上!』

『すぐそば』

『好き、だから』


『一緒に死んで』


 ひーーーーーっ!!!

 ま、ままま、まだ、まだ死なないですからっ!!


 と、とにかく、早く皆を見つけよう!

 なのに、歩いた形跡が見当たらないし!!

 廊下が少し土に埋まってるから、足跡が見えると思うんだけど、それが分からない。

 ふみふみしてみると……意外とこの土、固いんだ。

 ……ふえー、もしかして、本格的に迷ってるっ!?

 あ、また部屋発見。

 ……いや、私、入らないし。

 そう思って、通り過ぎたときだった。


「くすくすくすっ」


 わ、笑い声!? も、もしかして、皆、ここに隠れて私を驚かそうって魂胆かっ!!

 なら、開けてしんぜよう。一人っきりの怖さを教えてあげるっ!!

 えいやっと、勇ましく雄々しく勢い良く扉をがちゃりと開けた。


「……あ、あれ?」

 誰もいない……。だって、さっき笑い声が……。

「くすくすくすっ」

「そこっ!!」

 とライトを声の聞こえるところにかざした、そのとき。


「そんなんじゃ、足りないよ?」

 目の前に、すぐ目の前にドアップで、おかっぱ頭の女の子が出てきたっ!?

「ひっ!!」

「くすくすくすっ」

 しかも小さい子供なのに、背が高い……違う、浮いてるんだっ!!

 体も透けてて、後ろの背景も見える……。

「ゆ、幽霊っ!? きやああああああああ!!!」

 びっくりして、急いでその部屋を飛び出した。

「くすくすくすっ」

「ひーーーっ!!」

 走って走って、階段を駆け上がる。

「はあ、はあ……」

 なんとか、幽霊を撒いたみたい……。


 私は1階から2階に来ていた。

 だんだん、涼しいから寒いって感じになってる。

 パーカー着てるのに寒いってどういうこと?

 ぶるりと震えながら、頼みの懐中電灯を通路へと向けた。


 カシャン。

「へっ?」

 誰かいるの?

 そう思った。

 カシャン、カシャン。

 また、音が鳴った。

 まるで、金属と金属がぶつかったような、そんな音。

 きっと、誰かいるんだ。

 ハルカ達だっ!!

「ハルカ、ユキ、カズ君? トール君!?」

 音の聞こえたところに私は駆け出した。

 近づくのは一人の影。

 え? 一人?

 だって、私以外は4人いるはずで……え?


 カシャン。

 何か大きな荷物を背負っていた。

 カシャン。

 どこかで見たことのある軍服。

 カシャン、カシャン。

 それが近づいてくる。

 あれって、確か銃剣とかいう……銃剣っ!?

「きやあああああ!!」

 たたたた、確か、トール言っていなかったっけ?

「兵士の幽霊が出るってぇええええっ!?」

 こっちに向かってくるっ!! 来るよーっ!!

 撃ってこないことを見ると、あれには弾が入っていないのね!?

 って、分析してる場合じゃないっ!!

 急いで走って逃げる。

 カシャン、カシャン。

 近づいてくる音から離れるように、もう全速力で!!

 階段を上がると……兵士はやってこなかった。


 もしかして……階ごとに居る幽霊が違うってこと?

 ってことは……や、やっぱり、ここにも幽霊が……?

「ふえええ、もう止めてよぉ~」

 帰りたいけど、皆が居ないなら、帰れないよ?


 ぴちゃん。

「きゅあああああ!!」

 せ、背中に水、いや、雫が落ちたっ!!

 っていうか、なんで雨漏りしてんの、ココ!!

 思わず、また走って逃げちゃったじゃないの!!

「び、びっくりさせないでよねっ!!」

 ぷんすかと、思わず地団駄を踏んだそのときだった。


 べきっという音と共に、ふわりと浮く感覚があって。

「えっ?」

 思わず下を見てしまった。

 見てはいけなかったのかもしれない。

 深い深い暗い闇。

 私はそんな穴に……落ちていってっ!!

「きゃあああああっ!!」

 急いでさっき来た廊下をつかもうとして、遅かったことに絶望する。

「だ、誰か助けてぇ~~!!」

 吸い込まれるように、私は……穴の中に落ちていった。

 もちろん、懐中電灯はしっかり離さずに。

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