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廃屋に潜む、闇の中  作者: 秋原かざや
第1部 本編
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穴に落ちて……あなたは、誰?

 ひゅううううっと、吸い込まれるように私は落ちていった。

「だ、誰か、助けてぇえええええ!!」

 もう一度、声を張り上げる。

 もちろん、助ける者など……とそのとき、ふわりと、何かが横切った。

 とん、という音と共に、私は着地した。

 ううん、私じゃない。

「大丈夫?」

「ふ、ふええ?」

 ちょっと跳ねた茶髪に黒縁眼鏡をつけた……い、イケメンっ!?

 彼がにこっと笑って。

「怪我はない?」

 私はその素敵な笑顔にやられて、答える代わりに首を横に振った。

「よかった」

「え、えっと……そ、その、下ろして……くれませんか?」

「あ、ごめん。つい」

 ちょっと待って、つい、何ですか?

 突っ込む前に彼はすとんと、私を地面に立たせてくれました。

 ついでにいうと、さっきまでお姫様だっこされてました。ええ。

 うう、思い出すだけで、顔が火照る……。

「どうして、君はここにいるの?」

 彼が尋ねてきました。

「え、えっと、友達と肝試しに来てて」

「関心しないな。こういう場所に興味本位で来るなんて、それこそ呪ってくださいって言ってるようなもんだよ?」

「で、でも……多数決でこうなっちゃったんです……」

 改めてみると、背も私より高め。あ、でもカズ君よりはやや低いのかな? うん、トール君と同じくらい。

「他の皆は?」

「その、途中ではぐれちゃって……」

 ふうっとため息のように息をつくと、彼は。

「じゃあ、一緒に探してあげる」

「ほ、ホントっ!?」

 思わず嬉しそうな声を上げちゃいました。

「うん、君と一緒に居たいし」

 いや、その台詞を今、ここで言うんですか?

 誤解されても知りませんよ?

「た、助かります、はい……あ、名前! その前に、あなたは幽霊じゃないですよねっ!?」

 重要なことなので確認する。

 彼はくすすと笑って。

「幽霊じゃないよ。僕は浅樹ラナ。列記とした青陵大学の学生です」

「青陵……大学?」

 確かそこって、電子工学に力を入れてて、並みの偏差値じゃ入れないっていう……。

「君は?」

「あ、私は柊サナって言います。葉月短大のデザイン学科に所属してます」

「葉月短大? 僕の大学の近くだったよね?」

「え、ああそういえば……」

 いわれて気づいた。

 確か、一駅分離れてるんじゃなかったっけ?

「じゃあ、遊びに行こうとしたら、すぐにでも行けるってことか」

 ちょっと嬉しそうなのは、気のせいですか?

 いや、それよりも……生きた人に出会えてホッとしたら……。

「あ、あの……」

「あ、タメ口で構わないよ。で、どうぞ?」

「い、一緒にトイレ、行きませんかっ!!」

 仕方ないじゃないっ!!

 急に行きたくなっちゃったんだものっ!!

 くすっと笑って彼……ううん、ラナさんは。

「いいよ。確かこの先にあったはずだから」

「あ、ありがとうございますっ!!」

「だから、タメ口でいいよ?」

「あ、ありがと……」

 こうして、私はラナさんという心強い味方を手に入れたのでした。

 いえ、味方と合流を果たしたのでした。

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