表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/103

#93

「(ははは~~~w)ササラ―――? 今のあんたの“アレ”……って。」


「はいっ☆ 今のが『天使言語術(エンジェル・ロア)』になりますッ☆」(ムヒ)


「(……)うん、今ほどあんたが味方で良かった―――と、つくづく……しみぢみ思うよ。」





魔界侵略軍本陣までにはだかる関門の一つを越え、また一つここに撃退の為の橋頭保を確保した魔界軍。

一方の侵略軍は、これ以上の本陣への侵蝕を望まないからか、今回の侵略軍総大将の懐刀達を、第二・第三の関門へと配置させたのです。





「グモモモ……ここまで我らを押し込めるとは。   その匹夫の勇、少しばかり誉めてやろう……だがここは、そう易々と通れるものと思うな!」





身の丈10mを超す巨体を揺らし、これまた天を覆うかのような醜悪なる者―――『キュクレウス』。

彼の存在もまた、彼の存在が元いた次元(せかい)では、それなりに知られていた猛者の一人ではありましたが……





「なんだあ? あのザコ臭プンプン臭う奴―――」


「(……)あれはキュクレウス―――なるほどな、今回侵略軍を率いてきたのは、“ヤツ”で間違いなさそうだな。」


「あーーーっそ、まあなんやかんや小うっさいし、取り敢えずやっつけとこう。」


〖弓引く者よ、限りなく引き絞られたる弓勢(ゆんぜい)よ、的を砕き穿(うが)て〗―――〖アナイアレイト・シューター〗





敵の陣容を好く知る者は、以前その者も同じ陣営に属していた事から(つまび)らかに出来ました。

しかしシェラザードにして見れば、別の次元(せかい)で猛威は奮えても、こちらにはそれを上回る実力を保有する方々を知っているだけに、目障り耳障りでしかなかった……。

だから以前、披露してみせた事がある様に、その弓の“弦”や“矢”を、光属性の魔法を付与させ、キュクレウスとその配下を―――諸共(もろとも)殲滅させたのです。



         * * * * * * * * * * * *



そして、また更に前線を押し上げ、敵本陣へと続く第三の関門―――





「フム……キュクレウスを倒したか。  だが、我輩が彼奴(きゃつ)如きの軟弱とは、努々(ゆめゆめ)め思うなよ?」


「だ~れ? あいつ―――……」


「『フォルネウス』……水を操るにかけては、ヤツの右に出る者などいなかったが―――」


「ふぅ~~ん……て事でりゅうきちぃ、出番だよッw」


「あのねえ~~そんな呼び方しないで頂戴―――とは言え、奴と私との実力は拮抗……と言う事で、協力をお願いするわね、ウリエル。」


「2対1……で、よもや卑怯―――などと言うまいよなあ? これは元々、お前達が仕掛けてきた戦争なのだ……それに、私達の事を卑怯だと言うのならば、宣戦の布告すらしないで侵略してきたお前達はどうなのだ? 言えるわけがないだろう? それにお前達が魔界各地で展開させた戦線も、今や徐々に収まりつつある……。   お前達は敗北(まけ)たのだ……『魔界の軍及び武力(ブリキ)は、遥かに我らより劣る』と言う、間違った報告を受け入れたお前達の首脳の無能を思い知るがいい!」



                 ≪盤古幡≫


          ≪雷帝の(トォール・)進撃(アクセラレイター)聖雷衝神鎚(ヴォルテックス)




“地”の熾天使のその一言により、自分達が(おび)き出されてしまった事を(つい)ぞ知る『フォルネウス』。

しかし、そう……今ウリエルが表現した『間違った報告』の出所(でどころ)こそ、最初の侵略に失敗し、この地で果てたと思われたニュクスからのものだった―――


けれど―――今……息も絶え絶えのフォルネウスの網膜に焼き付けられていたのは……姿形(すがたかたち)は違えど、ニュクスそのもの……だっ―――た??



おのれい……この女―――我輩達を(たばか)(おおせ)たな!!



その“後悔”―――今や遅し……

同じ水を操るにかけては同等の実力を有している竜吉公主の、もう一つの切り札……重力磁場を操る(すべ)によって身動(みじろ)ぎ一つ出来ないようにさせられ、そこへもう一つ―――雷を纏ったウリエルが携える『神鎗ロンギヌス』の突進攻撃により、原子の塵と化してしまったのです。



        * * * * * * * * * * * *



そして―――最後に残る関門の前で、行く手を阻みたるは……





「そう言う事であったか―――ニュクス。   貴様が生きていようなどとは……な。」


「―――……。」


「(あ……あれ?)―――どうしたの? クシ……ナダ…………」




嗤ってる―――?

しかし、この嗤い方尋常じゃない……

これまで()()()が嗤う処を何度か目にしたことがあったけど……

こんなにも気色の悪い……嫌な嗤い方なんて、目にしてこなかったのに―――!!?



侵略軍本陣へと続く(みち)に、最後に立ちはだかった者こそ『アウナス』……。

それにこの人物は、ニュクスとは浅からぬ因縁と言うモノがありました。


そう―――そもそもの事の成り立ち、ニュクスやアウナス達のいた元の次元(せかい)で、“あのお話し”の(もと)ともなった『ある出来事』……。





「ク・ク・ク―――久しいな、アウナス……。  “わたくし”は、お前の面だけは決して忘れはせぬぞ。   お前達が“神”と崇めた邪神の命により、この“わたくし”の領域を侵略(おか)した(けだもの)よ!!」





そう……ニュクスは、忘れなかった―――忘れ()()()()()()……。


あの『出来事』さえなければ……多くの同胞(はらから)達が邪神の甘言に惑わされる事がなかったら。

数多くの苦しみを―――数多くの哀しみを―――産むことなどなかったのに……

ゆえにこそ、その怨恨(うらみ)(つい)ぞ極まりて、ある(かたち)を為して現出する―――……





「貴様など……この世に存在の一片すら遺さず、消滅させてくれる!!」


                  ≪終極(インファナル)無限(・アフェア)





その大意を、『果てなく続く永遠の地獄』と伝わるその権限(チカラ)こそ、ニュクスを一世一代にまで伸し上げた唯一無二……無比の強力な御業といえました。


けれど―――……





「フッ―――フフフ……効かぬなあ? その(わざ)は。   それにそのことは、貴様とて先刻承知ではないか。」


「(くぅ……っ)ええい―――まだ、まだぁ!」


           ≪終極(インファナル)無限(・アフェア)≫!


          ≪終極(インファナル)無限(・アフェア)≫!!


          ≪終極(インファナル)無限(・アフェア)≫!!!




それまでは、常に冷静で状況判断・分析に於いても他の追随を許さなかった者が……無駄だと判っていても連発してしまうと言う取り乱し様に、心配になってきた―――



                『苦しい―――……』



えっ―――……



               『苦し……い―――』



ふと、聞こえてきた……聞こえてきてしまった……。

ニュクスの(なか)で苦しみ藻掻(もが)いている、悪友(よきとも)の声―――



苦しんでる……? クシナダが??





クシナダは、巫女でありながら呪力を基とする『鬼道』を修めていました。

だからこそ、誰よりも“呪い”への耐性はあったはず―――なのに……

その彼女が、自身の耐性をも上回る怨恨(うらみ)を持つ者に(とら)われ、取り込まれてしまった事により、次第に『クシナダ』と言う存在意義が薄まって行くような感じがしてしまった―――


クシナダ―――クシナダ―――クシナダぁ!!



このまま何もせず、手を(こまね)いたままでは、彼女はもう二度と戻っては来ない―――そう感じてしまった……

最初に出会った頃には、一人の異性を巡り何かと衝突を繰り(火花を散ら)返していた(し合っていた)……だからこその“悪友”。


“幼馴染”だから……“王室では禁じられていた事”だったから……

{*『『王室で禁じられていた事』と言うのは、王家やそれに連なる貴族の家同士で血縁関係を結び、そこには容易に庶民の血を入れてはならない―――そうした穿(うが)った見解の下に、王女シェラザードも自由な恋愛は禁じられていたのです。}


そんな中―――“出奔”を機にマナカクリムへと赴いた時、ふと見知らぬ男性から腕を掴まれた……

その時に“動悸”や“発汗”を自覚するのでしたが、シェラザード自身極秘(ないしょ)で城から出奔してきているのに、もう既に追手がこの街まで来ていたのかと思い―――


『……誰だ? お前―――』


違っていた……エルフとは―――しかしよく見ると“イイ男”ではあったようで、途端に心奪われるのでしたが。


その男性についていた女性もこれまた……しかもこの女性も、どうやらこの男性を狙っている様だった―――



クシナダ―――クシナダ―――クシナダぁ!!!



そこから始まる、この男性……ヒヒイロカネを巡る、クシナダとの“争奪戦(熱いバトル)”。


時には本気で掴みあい、時には本気で殴り合い、時には本気で罵り合い―――……だにしても。

自分の“本質(ほんとうのすがた)”を見せた時、本音を打ち明けられたのは、たった一人だけ……



クシナダ―――クシナダ―――クシナダぁあ!!!!



そして、『夜の世界を統べし女王(ニュクス)』に囚われてしまった時、真っ先に気付いたのは、彼女(王女)だけ―――



クシナダ―――クシナダ―――クシナダぁああ!!!!!



彼女(王女)は、有らん限りの声量を振り絞り、何度となくその名を()ぶ。


『果てなく続く永遠の地獄』―――等と言う、強い呪力の籠った業を連発している最中(さなか)に、術者の近く―――況してや術者自身にしがみ付くなど、無謀の極みと言えました。


けれど彼女……王女は、そうせずにはおれなかった―――……


“悪友”とは言え、その存在こそは、自分が唯一心赦せた“真友”でもあるのだから。








#93;君の名前を叫ぶよ、何度でも……





つづく





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ