#87
「あ……あのぅ~~リリア様? ナニしてんです?」
「ゴメンナサイ―――スミマセンデシタ……」
「(えええええ~~)いきなり土下座で謝られても―――」
「シェラ? こちらの方と何があったのですか?」
「知らないよお~! だってリリア様、私を見るなり急に謝って来るんだよ?? そんな原因知りもしないし、私なんかが判るわけないジャ~~ン!」
「(じーーー)何かありました?」(ムヒョw)
「サ……ササラぁ~~お前の、その一点の曇りなき純粋な眼で見つめてくんなって!」
「(じーーーーー)もしかして、先程の“光線”の様なモノと、関わりありますぅ?」(ムヒョヒョww)
「(うぐぅ……)た―――多少は……」
(ムヒ☆)「なあるほど、判りました。」
「ササラ様は、先程の『光線の様なモノ』がナニか、心当たりがあるのですか?」
「まあ―――大体は」(ムヒ☆)
「えっ? じゃあ……リリア様が私に頭を下げている理由も?」
「そこの処はですねえ―――……」
* * * * * * * *
事態がこうなる、ほんの数分前の出来事―――
「(じー)」
「(じーー)」
「な、なんなんだよ! そんな眼で見る事ァないだろがあ?」
「いや、と言うよりあなた―――さっきの言葉、覚えてます?」
「は? “さっき”……の?」
「ヤレヤレ……ノエルさんや、どうやら清廉の騎士どのは耄碌し始めたようですぞ?」
「な……? お―――おい……」
「確かあの時、あなた……『今のアイツに声かけれる勇者おったら、一生下僕として仕えてやるわ!!』て、言ってたんですよ。」
「う……ぐっ―――」
「今の……あのエルフの王女様、声かけてしまいましたなあ~~? リリアさんや……」
* * * * * * * *
「―――ぐらいのことは、あったんではなかろうかと……」
「あ゛~~~(そりゃまた、居た堪れませんなあ)」
「ちょっとそれは―――(キツイわねぇ……)」
「ま―――まあ、何はともあれですね?」
「シルフィ君……君ってさあ、その優しさ―――たまあ~~に残酷なとこあるよ?」
「ええ~~……」
「まあ―――大体の事情判りましたから、もうそこまでされなくても大丈夫ですよ、リリア様……。」
流石のシェラザードでも腰が引けていたのは、自分も憧憬れる英雄様達が、自分も理由が判らないまま頭を下げて陳謝をしてきた事であり、しかしまたその理由となったところが判ったところで、責められもしない―――況してや居た堪れなくなってきた……と、言う処で、そんなに気にするような事ではない―――としたのです。
「(……)案外―――あなたって人が出来てるのね。」
「はあ? ナンナンダヨ―――“案外”って! あんた一言ヨケー……て言うより、私は人が出来てんの! そういう風に躾けられてきたの!!」
「(え゛え゛~~)そんな……“人が出来た”人が、私を強制的に“身代わり”ぃ……」
「シルフィ君? ちょいちょい横槍入れてくんの―――そろそろヤメにしとこうかあ?」(イラッ~)
「とは言え―――リリア様が言っていた事も、判らなくもないのですよね……。 私の母様、人形の様に無表情に見えて、“キレ”易いですから……」
「よく似てんな―――さっすが母娘だわw」
「今何か言いました?」
「よく似てんなあ―――ってw いやあ~~実際、スオウで扱かれた時、ホホヅキ様のがいっちゃんキツかったんだわあ~~w ――――って、顔が近いって……顔が! 息が吹きかかってんダヨ!!」
「ああ云う処……って、さすがによく似ますよね、母娘だからw」(ムヒ☆)
「ササラ様―――聞こえ……てますよ?」
“母娘”―――だからか、その性格から特性まで、よく“遺伝”されていますようで。
今、不適切な発言をして詰め寄る姿も、“母”のそれとそう違わない“娘”に、何やら苦言は呈されたようです。
* * * * * * * *
一方―――大本営よりは離れているものの、立地的には最終防衛線の拠点であるマナカクリムの門を守護していた者達は……
「あの“光線は”―――剣閃?」
「その様ですね。」
「これほどの剣閃を放てる者とは……まさか?!」
「しかし考えられませんな……なぜ『神威』が、今件の総司令官として収まっている大天使長ミカエルがいる大本営から―――?」
自分達の遥か頭上で迸しった剣閃―――それを竜吉公主にウリエルは、瞬時に誰が放ったモノかは判りました。
判りました―――が……なぜ放たれた場所が、大本営であるかが判らない……
判らない―――からこそ、原因を突き止めるべく、持ち場を他の者に託し、大本営へと赴いてみれば……
「こっ―――これは……何事?!」
「この斬撃の痕跡……『神威』のモノですね。」
「なにを考えているんだか―――……」
「まあ、それも偏えには、一途に敬愛している者を傷付けられた……からに外ならないだろう。」
「しかし―――……」
「それに今の剣閃で、いい意味での向こうさんへの牽制に成ったようだ。」
『防衛戦総司令』に収まったミカエルが控える場所で、その所々に見られた斬撃―――
それを見て程度の狼藉があった事が伺わされた……の、でしたが。
それもこれも、敬愛して已まぬ者が負傷を負わされた事に端を発していたことに外ならなかった―――とは言え、その行為自体はとても許容出来るものではなかったのでしたが、一時期例のPTに身を寄せていた者にしてみれば、仲間内のそうしたところも良く判っていたが為“不問”としたのです。
そして―――やがてその怒りの矛先は、本来の“敵”に向けられた……
そうした意味での、あの剣閃―――
それが理由で、敵側の最前線が崩壊した事が判ってきたのでしたが……
#87;表面化してくる異変
「ふむ―――では、また新たなる増援が……」
「その事について―――なのだが……どうやらその“見込み”が、ない―――」
「(―――)は? 何を言っているのですか、ミカエル。 この魔界を侵そうとしている者共が、そんな初期の手際を怠ることなど……」
「なにかご存知であると?」
「“存じて”……までではないが、前線が崩壊してしまっているのだ、早急な増援はして然るべきだろう……が、今の処その気配は全く感じられない。 これは余程、今回の侵略担当が無能であるのか……は、さておくとしても、“もう一つの可能性”も考慮すべきだ―――と、私はそう見ている。」
「つまり……最前線の後方に控える『中陣』に、何かあった……と?」
この時―――この時点―――では、彼らは敵の中陣で何が起きたか知らない……
況してや、自分達の本拠で、何が起こっていたかさえも……
だとて、この不可解に過ぎる事実を払拭させる為、ある“手”を講じたのです。
「ふむ……やはりここは危険だが、ウリエル―――君に高高度での偵察を依頼しよう。」
「“高高度”―――ですか……承りました。」
「あの……ミカエル殿、口を差し挟むようですが―――」
「判っている……。 だがこの原因が何であるか判らなければ、次の戦略が立てられない。 危険なのは承知の上―――それに、これは前の戦争に於いて君達『聖霊』に負担をさせた、この私なりの謝罪の意―――と、そう受け止めてもらいたいのだよ。」
つづく




