第51話 微笑み
「メルエ、さっきのでゴブリン2匹退治だよね。完全に消えてしまったけど、ゴブリンは素材とかにはならないよね」
「はい。大丈夫です。さすがにゴブリンを素材にする事はありません。消滅しても問題ありませんよ」
「それじゃあ今ので家を買えたりはしないかな」
「ファルエル様、ゴブリン2匹で家が買えたりはしませんよ。ゴブリン2匹で50ガル程度ですよ」
「2匹で50ガルにしかならないんだね。それじゃあ家を買うまでに800匹も倒さないといけないのか。先は遠いなぁ」
「ファルエル様、さすがにゴブリンだけで家を買うのは難しいと思います。ゴブリンの棲家をいくつか潰す必要があります。それにもっと上位のモンスターであれば高額になりますので、出来る事ならそちらを狙っていく方が良いと思います」
「それじゃあ、メルエはもっと上位のモンスターの居場所を知ってるんだね」
「いえ、それは探索して見つける以外にはないと思います」
「そうか。まあ、今日始まったばかりだからね。どんどん倒せる様に頑張って行こう」
天索者補助として初めてのゴブリン退治は問題なく成功したが1匹25ガルにしかならないらしい。魔法一発で稼げたと思えば悪くないが、目標とする金額にはあまりにも遠い。
もっと頑張らないといけないが、やっぱりモンスターを倒すのは楽しいな。これからどんどん倒していきたい。どうやら悪魔の時の破壊的衝動が少し残っている様で、モンスターを倒す事に喜びに似た感情を覚えてしまう。早く次のモンスターを倒したくてウズウズする。
俺達は次のモンスターを見つけるために再び歩き始めた。
「メルエさん。魔法って普通あんな感じなんですか?」
「ルシェル、あれは普通ではないです。あれを普通だと思うと大変なことになりますよ」
「それと、ファルエル様が魔法を使っている時なんですけど、笑っていますよね」
「そういえばそうですね。普段それほど笑っているのを見たことがないけど、魔法を使っている時は笑顔だった気がしますね」
「やっぱりファルエル様でも、魔法を使うのが楽しいんでしょうか?」
「そうかもしれませんね。余り笑いながら魔法を使っている人を見た事はありませんが」
「でも、ファルエル様の笑顔も素敵ですね」
「そうね。真剣な顔も可愛いですが、笑っていると太陽の様ですね」
俺がモンスターを探索している横でこんな会話が繰り広げられていた様だが俺には知る由もない。
モンスターを探して歩いているが、やっぱりなかなか遭遇しない。
「ルシェル、魔力操作だけど右回りのをやってみてる?」
「はい。歩きながらずっとやろうとしています。だけどなかなか上手くできません。重い感じでなかなか動いてくれません」
「まあ、1日で出来る様なものでもないだろうから、ゆっくりでいいよ」
「ファルエル様はいつ頃から始めてどのぐらいで出来たんですか?」
「僕はね〜聖翔の儀の次の日だから1歳になったばっかりで始めたんだけど、初日には出来ちゃったんだよ。でも僕は特殊だと思うから、ルシェルはゆっくりでいいんだよ」
「ファルエル様はやっぱりすごいです。私も追いつける様にがんばります」
ルシェルが張り切ってくれるのはいい事だが、俺の場合本当に特殊だから参考にならないと思うので無理せずゆっくりやってほしい。
「メルエさん。ファルエル様は1歳の練習初日で魔力操作が出来たと言われていましたが、そう言うものなのですか?」
「いえ、ルシェル、ファルエル様は特別です。私も結構色々な武人を見た事はありますが、そんな話聞いた事がありません。ファルエル様を普通だと思ったら大変な事になります。ルシェルは自分のペースでやっていけばいいのですよ」
「はい。わたしも、少しでもファルエル様のみたいになれるようにがんばります」
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