第52話 問題
ゴブリンを倒してから一向にモンスターに出会わない。
やっぱりこのエリアでは個体数が少ないのかもしれない。あんまり多すぎても街が襲われそうで怖いので、このぐらいでちょうどいいのかもしれないが、物足りないしお金も足りない。
「メルエ、もっと他のエリアに行った方がいいんじゃないかな。全然モンスターに出会わないんだけど」
「ファルエル様、そんなに簡単にモンスターに出会っていたら大変な事になりますよ。まあ、明日以降違うエリアも順番に行ってみましょう」
「うん、わかった。それじゃあ今日はこの辺りをまわろうか」
それからしばらく歩いていると、目の前をウサギが横切った。
「メルエ、ウサギとかを捕獲してもいいんだよね」
「もちろんです。素材や食料として売れる場合もありますし、自分達で食べるのも有りです」
「そうか。じゃあ、あのウサギを捕まえてみるよ」
「はい、お願いします」
先程、横切ったウサギを探すとすぐに見つかった。草の影に隠れている。
俺はウサギに狙いを定めて
「ブラックバースト」
ウサギを中心に光が集約して大爆発を起こした。
「あっ!」
「ファルエル様……」
爆発が収まった後には、ウサギの影も形もなかった。
よく考えると当たり前だが、ゴブリンでさえ完全に消滅してしまったのにウサギが姿そのままで残っているはずが無い。
やりすぎてしまった。まだ慣れていないせいで、魔法の出力が把握できていなかった。
今度は俺の最小魔法でやってみることにしよう。
「ファルエル様、ちょっとよろしいでしょうか?流石にウサギ相手にあの魔法は無いのでは無いでしょうか?どんなに弱い敵にも、全力を尽くすと言うのも勿論あると思いますが、それにしても度を越しているかと。あの攻撃であればドラゴンでも倒せるかと思ってしまいます」
「うん。ちょっとやりすぎたね。次から気をつけるよ」
やはりメルエから見てもやりすぎだったらしい。
反省しながら探索を続けると、しばらくして鳥が木に留まっているのを発見した。
「メルエ、鳥でもいいんだよね」
「もちろんです。食材として重宝されると思いますよ」
「それじゃあ、やってみるよ」
俺の使える最小の魔法は『グラビティバレット』だ。
発動速度重視の魔法で威力がよわいので、悪魔の時には、ほとんど使用しなかった魔法だ。
「グラビティバレット」
本来の『グラビティバレット』は重力の弾を撃ち出す魔法で、術者の能力と意思で弾の数は増やすことができるのだが、今回発動した魔法は燃え盛る炎の弾が撃ち出された。
弾と言うか、巨大な炎の塊。以前見たママの『ホーリーボール』数倍はある炎の塊が鳥を目掛けて飛んでいって爆発した。
「ドガァ〜ン」
鳥に命中したのは間違いないが、鳥の姿は跡形もなく消えてしまい、鳥が留まっていた木も根元から完全に焼失してしまっていた。
「う〜ん……」
「ファルエル様………」
「ファルエル様、すごいです」
やり過ぎたと言うより、俺なりに最大限抑えて魔法を発動したつもりだ。しかも俺が使える1番最小の初歩魔法『グラビティバレット』を使用したにも関わらず、鳥だけで無く木まで消し飛んでしまった。
これでは、素材を手に入れることなど不可能では無いか。
鳥やウサギの肉が手に入れば、将来孤児達の血肉となるかもしれない。
これは由々しき事態ではないか。
悪魔の時のは、どうにかして強力な魔法を使おうと努力していたものだが、これからはどうにかして威力の小さな魔法を使う努力をしなければならないらしい。
しかし、どう努力すれば魔法の威力を抑える事が出来るのか思いもつかない。
この作品は皆様のブックマークとポイント評価で支えられています。
興味を持たれた方は是非ブックマークと下にスクロールしていただき広告の下部からのポイント評価ボタンで評価をお願いします。
よければhjネット大賞受賞作 モブから始まる探索英雄譚 https://ncode.syosetu.com/n8930fk/
もよろしくお願いします。




