第41話 パパとルシェル
「そうか、そんな事があったのか。う〜ん。そうか。ファルエルがな〜」
「私も最初はどうかと思ったんだけど、ファルエルちゃんの考えを聞いたらね」
「本当はファルエルではなく僕がやるべき事なんだけどね。分かってはいたんだけど、今まで対処出来なかった。それがファルエルは、外に出た初日に対処してしまった。しかもそれだけの思いを持って対処したとは、さすがはファルエルだな。とてもじゃないが僕達が断れる事ではないよね」
「そうね。あの子は本当に怒っていたわ。あんな境遇の子を認める事は出来ない、自分の全てをかけて救って見せるって。やっぱりあの子は領主、いえ間違いなくそれ以上の器だと思うの。4歳で他の者の為にあれ程の決意を持てる子供なんか他にいないわ」
「うんそうだね。ファルエルは普通の子供とは明らかに違うね。僕が子供の時とも、全く比較にならない。あの子はただの領主で収まる子ではないよね。自分の子供とは思えないほどに素晴らしいし優しい。あの子の治める地の領民は本当に幸せになれるんじゃないかな。本当に将来が楽しみだね」
「パパ、今大丈夫?ママにはお願いしたんだけど、この子を家に置いて欲しいんだ。お願いします」
「失礼します。ファルエル様のお父様。私がルシェルです。本当にこれからお世話になってもいいんでしょうか」
「うん、話は聞いているよ。これからよろしく頼むよ」
「はい、よろしくお願いします」
「パパありがとう」
さすがパパだ。何も言わずに分かってくれた。
ルシェルを我が家に迎え入れる事を了承してもらって一安心だ。
「ママ、あの子がルシェルちゃんか。すごく可愛い子だね。シルフィールも将来あんな感じになるのかな」
「でもね、パパ、ファルエルちゃんはルシェルちゃんが女の子とは思わずに連れてきたみたい」
「えっ?そんな事ある?どこからどうみても凄く可愛い女の子だけど」
「う〜ん。ファルエルちゃんは今まで外に出る機会もなかったし、同じくらいの歳の子供とも遊んだ事がなかったから、そう言う事に疎いのかもしれないわね」
「ママ、それはちょっと不味くないかい?僕も子供の時はいろんな女の子に興味を持っていたものだよ」
「それは自慢にならないと思うんだけど。そうね、だからって訳でもないけどルシェルちゃんはいい機会だと思うの。ファルエルの友達になってくれるといいなと思うの」
「そうだね。あれだけ可愛い子だから、ファルエルもすぐにメロメロになるかもしれないね」
「パパ!ファルエルちゃんはそんな子じゃありません」
「ははっ、ごめんごめん。でもファルエルは間違いなくモテると思うんだよ。何しろ僕とママの子供だからね」
「そうかもしれないわね。ファルエルちゃんだものね。今回も無意識の内に凄く可愛い女の子を連れて来ちゃったし、これからもそう言う事があるかもしれないわね」
「それにしてもルシェルちゃんは孤児にしては教養がある感じだったけど」
「そうね。多分ご両親がしっかり教育されてたんじゃないかしら。あの容姿ですもの裕福な家庭で育ったのかもしれませんね。それだけに孤児としての生活は辛いものだったでしょうね」
「それは僕の責任でもあるからね。出来る限りこの家で楽しく過ごせる様にしてあげたいものだね」
「まあファルエルちゃんがいるんだから心配ないと思いますよ。それに、そのうちシルフィールも大きくなったら一緒に遊んだりできるかもしれないし」
「そうだね。そうなったら嬉しいね。シルフィール早く大きくなってパパとも遊んでくれるのを楽しみにしてるよ。ああ、僕の愛しのシルフィール」
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