第40話 誰?
俺はルシェルを呼んでくるために、風呂場の方に向かった。
「メルエ〜。ルシェル〜」
呼びかけると返事が返って来た。
「は〜い」
声の方に向かっていくとそこにはメルエと僕の服を着た女の子がいた。
「え〜と誰?」
「ルシェルです。ファルエル様」
「ルシェル?」
おかしい。俺の助けたルシェルはもっと汚れていて、男の子か女の子かもよくわからない子供だったはず。
それが目の前にいる子供はどこからどう見ても女の子にしか見えない。
さらさらの長い栗色の髪、抜けるような白い肌、一体これは誰だ?
「誰?」
「えっ、さっき助けていただいたルシェルです」
「ああ、ルシェル、ルシェルね」
なんだ?異常に汚れていたのがお風呂で取れて綺麗になったと言うことか?
お風呂ってすごい。
定期的に入らないと別人になってしまうのか。これは間違いなくすれ違っても気づかない。
「ルシェル、ママが呼んでるから一緒に行こう」
「え・・・ファルエル様のお母さん」
「大丈夫だよ。もう話は通してあるから」
「はい。わかりました」
それから2人でママのところへ向かうことにした。
「ママ、連れて来たよ」
「まあ、その子が・・・ファルエルちゃん、ファルエルちゃんの服を着ているようだけど、どこからどう見ても可愛い女の子じゃない」
「うん・・・・そうだね。女の子だね」
「ファルエル様のお母様。私はルシェルと言います」
「あら、礼儀正しいのね。事情はファルエルから聞いています。あなたは、本当にここに住みたいと思ってるの?」
「ファルエル様に親切にしてもらって、ついて来てしまいました。迷惑でしたら帰ります。すいませんでした」
「ううん、そうじゃないの。あなたがどう思ってるか聞きたかっただけなの。あなたは本当にここにいたいの?」
「はい。迷惑でなかったら、ここにいたいです・・・」
「そう。わかったわ。今日からあなたも、この家に住んで働いてもらいますね」
「あ、ありがとうございます」
「その前にルシェルちゃんの事を聞かせてもらっていいかしら」
「はい」
そこからは、街で俺が聞いたのと同じ話をルシェルがママに話し、ママはじっとその話を聞いていた。
「ルシェルちゃん。よくがんばったわね。ごめんね。今まで力になってあげられなくて」
そう言ってママはルシェルをギュッと抱きしめた。
「ううぅぅえぇん〜」
我慢していたものが一気に吹き出したのかルシェルはママの胸で激しく泣いていた。
ルシェルが落ち着いてからママが
「それじゃあ、しばらくの間ルシェルちゃんには、家のお掃除と、ファルエルちゃんと一緒にシルフィールのお世話をしてもらおうかしら。ファルエルも、お世話の仕方を教えてあげてね。あと、一緒にいる時間で文字の読み書きを教えてあげてね」
「うん、わかった。ママありがとう」
「ありがとうを言うのはママの方よ。ファルエル本当にありがとう。あなたを誇りに思うわ。それとルシェルちゃんには空いてる部屋に住んでもらうのと、ご飯は私たちと一緒に食べるようにしましょうね」
「本当にいいんですか?わたし汚いです。迷惑じゃないですか?」
「ルシェルちゃん、あなたは全然汚くなんかないわ。本当に可愛らしいわよ。きっとお母様もお綺麗な方だったのね。ファルエルちゃん、明日にでも、ルシェルちゃんの服を買いに行ってね。男の子の服じゃかわいそうだから、うんと可愛い服をお願いね」
「ママ、僕に女の子の服を選ぶのは難しいと思うんだけど」
「わかってるわよ。メルエと一緒に選んできてね。ファルエルちゃんも連れて行ってあげてね」
「うんわかったよ」
その日から我が家にはルシェルが一緒に住む事となった。
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