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第28話:古い遺跡の灯りと、静かに交わした言葉

古い灯台遺跡の石段を登る途中、アレン・ヴォルドは軽く息を整えていた。

二十八日目。無頼の牙パーティーは今日、「古の灯台遺跡」の調査クエストを受けていた。

ここ数日、回復魔法を連発する機会が続き、体に蓄積した疲労が少しずつ重くなっていることを、アレンは自分でもはっきりと感じていた。

頭の奥が鈍く痛み、朝の目覚めが重く感じる日が増えていた。


ガルドが大剣を肩に担いだまま、赤毛を風に揺らしながら元気よく言った。

「よし、今日は遺跡の中だ! 古い灯台の守護者が出るらしいぜ。アレン、回復頼むな! お前がいなきゃ俺、暗闇で迷子になってただろうな」


レオンが銀髪を軽くかき上げながら、皮肉っぽく笑った。

「ははっ、ガルド、お前はいつも同じセリフだな。アレン、顔色があまり良くないぞ。昨日もかなり連発してただろ? 無理してないか?」


バーンは無精髭を撫でながら、のんびりとした足取りで盾を担いでいた。

「アレン、今日は肉を多めに持ってきてくれたか? 遺跡の中は冷えるからな。戦いが終わったら温かい飯にしようぜ」


アレンは少し微笑んで答えた。

「みんな、遺跡の中は暗くて視界が悪いそうです。回復をこまめにかけながら、慎重に進みましょう。……少し負担が大きいかもしれませんが、頑張ります」


ガルドが豪快に笑った。

「慎重はいいけどな! 無頼の牙は勢いだ! お前がいるからこそ、俺たちは無茶できるんだぜ」


四人が遺跡の奥に進むと、古い灯台の守護者である石像の騎士たちが動き出した。

暗闇の中で青白い光を放ち、剣を振り上げて襲いかかってきた。


「よし、来い!」


ガルドが大剣を振り回して突進した。

石像騎士の剣がガルドの腕を切り裂き、冷たい痛みが走る。

暗闇と石の埃が混じり、回復魔法の光がやや散らされる。


「アレン、傷が痛え! 癒してくれ!」


アレンはすぐに回復魔法を唱えた。

しかし、遺跡の冷たい空気と埃が光を弱め、効果が少し遅れる。

ガルドの傷がなかなか塞がらず、血が滴り落ちる。


「ガルドさん、暗くて視界が悪いです! 声で位置を伝え合いながら……」


「そんな悠長なこと言ってる場合じゃねえ! 無頼の牙は勢いでぶち破る!」


レオンが後方から風の刃を連発し、石像騎士の動きを乱した。

「おいおい、暗闇が邪魔だぞ! アレン、強化も頼む!」


バーンが盾で剣攻撃を受け止め、斧で石像騎士の脚を狙った。

「アレン、こっちも来てるぞ!」


アレンは汗を浮かべ、精神力を振り絞って回復魔法を懸命に連発した。

頭の奥がずきずきと痛み、視界が少し狭くなってきたが、必死に光を維持し続けた。


戦闘は暗い遺跡の中で長引いた。

石像騎士の群れが次々と現れ、ガルドとバーンが何度も傷を負う。

アレンは息を荒げながら、回復と支援を交互に繰り返した。

限界を感じる中でも、仲間たちの傷を一つずつ癒し続けた。


ようやく親騎士を倒した時、アレンは壁に手をついて大きく息を吐いた。


ガルドが息を荒げながら笑った。

「ははっ……勝ったな。アレン、今日はお前もかなりキツそうだったぜ」


レオンがアレンの背中を軽く支えながら言った。

「ふっ、暗闇と埃が魔法の邪魔をしてたな。アレン、よく持ちこたえた」


バーンがのんびりとした声で言った。

「アレン、今日は少し休め。飯は俺が多めに作るから」


遺跡から出て馬車に戻る道中、ガルドが珍しく声を落として言った。

「アレン、お前が倒れたら俺たち終わりだぞ。無理すんなよ」


レオンが静かに続けた。

「ははっ、認めるのは癪だが……お前がいなかったら、今頃俺たちはもっと苦労してただろうな」


バーンがのんびり言う。

「アレン、感謝してるぜ。これからもよろしくな」


アレンは小さく微笑んだ。

「みんな……ありがとうございます」


ギルドに戻ると、ミリアがカウンターから少し心配そうな顔で声をかけてきた。

「無頼の牙のみなさん、おかえりなさい! ……アレンさん、顔色が悪いですよ。大丈夫ですか?」


アレンが報告を終えると、ミリアは優しく言った。

「古い遺跡は暗くて冷たいですよね。無理はしないでくださいね。このパーティー、どんどん目立ってほしいんですけど……みんなが元気でいてくれるのが一番です」


その夜、『鉄の杯』では四人がいつものテーブルに座っていた。

今日は遺跡の冷たい空気の疲れが残る中、静かに酒を飲んでいた。

ガルドがジョッキを掲げたが、トーンは少し低めだった。

「無頼の牙に乾杯……今日はみんな、お疲れ」


レオンがワインを注ぎながらアレンを見た。

「アレン、今日は特に負担が大きかったな。少しペースを落としてもいいんじゃないか?」


バーンが肉を焼きながらのんびり言う。

「アレン、今日はゆっくり休め。俺が飯を多めに作ったから、たくさん食え」


アレンはジョッキを手に、静かに言った。

「みんな、ありがとうございます。まだ大丈夫です。でも、気遣ってくれて嬉しいです」


四人は静かに酒を飲み、今日の戦いの話を少しずつ交わした。

暗い遺跡での苦戦。

回復を連発する日々の積み重ね。

そして、仲間たちが自分を気遣ってくれる温かさ。


アレンは麦酒を一口飲み、胸の奥が少し軽くなるのを感じた。


追放されてから二十八日。

無頼の牙での日々は、試練を増やしつつ、確実に「仲間」というものを教えてくれていた。

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