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第十八章『いないはずのヒト』

 僕と本山さんは二人で午後の炎天下のなかをだらだらと歩いていた。外を歩く人はおらず、セミの鳴き声さえも聞こえない。そのせいか、あたりは驚くほど静かだった。

 その静けさには清潔感が漂い、まるで生活感を感じない。いや、そもそもこの村に生活感なんてあっただろうか。僕は大事なものを見落としているような気がした。

「それで、これからどこへ行くんですか?」

「うん。ちょっと丘の方へ行こうかなと思ってるんだ」

「丘、ですか?」

「ちょっと、気になることがあってさ。本山さんはどうする? 強制はしないけど」

 本来なら断るところなのだろうが、今日の彼女は神経過敏になっているのもあって、不承不承ながら僕に「ついて行く」といってきた。

 そんな道すがらである。いるはずのない彼をこの村で見かけたのは。



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