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クロスオーバー作品 ライエル・アレイスト・ポン助

クロスオーバー作品になります。

登場作品は、自分の作品からになりますね。

作品のイメージが壊れるかも知れません。

苦手、そして嫌いな方は読まないことを“強く”お勧めします。


※そして、今月末はセブンス五巻の発売日となっております。予約は開始しているので、是非購入していただければ、と。

 ライエルは嬉しかった。


 選ばれし者たちが集まるその場所には、一つ分だけ多く席が用意されている。


 祝いの宴の準備は出来ており、ライエルは新しい“仲間”を迎える準備が出来ていた。


 大きなクラッカーを持ち、やってくるだろうオークを待っていた。


「いや~、嬉しいよね。まさか俺以上に不幸な奴が来るなんて楽しみで仕方がないよ」


 本音を隠そうともしない青髪の男ライエルは、二十五人の妻を持つ男だった。


「アレイスト先輩も楽しみですよね!」


 金髪にオッドアイの美形であるアレイストは、そんなライエルをドン引きしてみていた。


 そんなアレイスト――女性関係で付き合ったのは三桁を超えて四桁になっていた。


 かつて自分が望んだチートによって引き寄せられた女性たちは、最終的に四桁に届く。


「……君、酷くない?」


 ライエルは笑顔だ。


 これでもかという程に笑顔だった。


「酷い!? どうしてヒドインですか――じゃなかった、酷いんですか! 俺は純粋にポン助君の結婚を祝っているんですよ! 今はまだ少ないですが、きっと彼ならやってくれますよ! 俺以上のハーレムを築いてくれますよ!」


 狂気染みたライエルの笑い声に、アレイストは両手で顔を覆った。


「どうしてこんなになるまで放っておいたんだ。酷い。あんまりだ! こんなの、僕たちの望んだハーレムじゃないよ!」


 二人が揃っている理由は、結婚式を挙げてしまったポン助を祝うため。


 人生の墓場に片足を突っ込んでしまった憐れなオークを笑うためだ。


 もちろん、アレイストは笑わない。


 むしろ笑えなかった。


 ライエルはアレイストに憧れの視線を向けている。


「それにしても、アレイスト先輩はマジパナイっすね! いったいどうすればそれだけのハーレムを維持できるんですか? チートっすか? やっぱり無敵のチートっすか!」


「お前ウゼェよ」


 アレイストのハーレムが、数重視の大規模ハーレムならば、ライエルのハーレムは個性豊かな二十五人の女性が揃っているハーレムだ。


 どちらが良いのか?


 いや、どちらがマシなのか?


 すっかり歴代当主たちに染められたライエルは、可愛気もなくアレイストを煽ってくる。


「あ~あ、それよりポン助君来ないかな~。明人君でも良いんですよね。どっちも劇物みたいなヒドインがハーレムメンバーってだけで笑えますよ」


 アレイストが冷静に言い返した。


「鏡見てくれば? 君のハーレムも相当酷いよね」


 誰とは言わないが。


 一番の人とか、二番争いをしている人とか。


 アレイストは溜息を吐く。


「それにしても遅いよね」


 ライエルは酒瓶を開け、勝手に酒盛りを始めてしまっていた。


 弱い酒を更に薄めているのに、もう顔が赤くなっている。


「実は刺されていたりして。最終章前に主人公不在から始まる新展開とか予想してみます」


 アレイストは笑えなかった。


「ありそうだから言わないでよ。というか、本当に大丈夫かな? 彼のハーレムってアレだよね。全部爆弾みたいな女の子たちだよね?」


 ライエルはテーブルに顔を突っ伏していた。


「……みんなハーレムになってしまえば良いんだ」


 夢のような楽園が待っている、などとこの場にいる二人は思ってもいなかった。


 アレイストが椅子に座って周囲を見る。


 三人だけが集まるにしては豪華過ぎる飾り付けがされた宴会場。


 なんというか、とても寂しく感じてしまう。


 ライエルが顔を上げた。


「それより、ポン助がこのままハーレムをどれだけ増やすか賭けませんか? 俺、二十六人以上になって欲しいです!」


 自分より酷い目に遭って欲しい。


(こいつ本当に最悪だな)


 アレイストは指でヒロイン候補を数えながら。


「でも、このままだとあと二人?」


「いや、中学生組の三人がいます」


「……一人男だよ」


「男でも良いんだよ! 俺よりも不幸になってくれるなら、俺は全力で応援するって決めているんだ!」


 今日は普段よりも酷いライエルの話をアレイストは聞くのだった。


「……何かあったの?」


「……ぐす。俺だってこんな事はしたくないんです。でも……でも! 俺の気持ちを分かってくれる人がいないとやっていられませんよ!」


 アレイストはライエルの気持ちが痛いほどによく分かる。


 ハーレムなど画面の向こうにあるから幸せなのだ。


 それをアレイストも理解していた。


「ポン助君が来たら慰めて上げよう」


 アレイストの優しい声に、ライエルが涙を流しながら頷くのだった。


「……はい」


 きっとハーレムについて悩んでいるだろう、ポン助を慰めるための集まり。


 ――だったのだが。


「お待たせしました。いや~、なんだか道に迷ってしまって」


 笑顔で現われたオークが、頭をかきながら照れている。


 物凄く嬉しそうだ。


 自身にどんな事が起きているのか、全く理解していない顔をしていた。


「ど、どうしたんですか!」


 ライエルが泣いているのに気が付いたのか、ポン助はオロオロとしていた。凶悪そうなオークがオロオロしている姿は、なんだか愛嬌があった。


 アレイストが首を横に振る。


「なんでもないよ。それより……最近、どう?」


 曖昧な質問をしたことで、ポン助は首を傾げていた。


 ライエルが赤くなった顔で問い詰めた。


「ハーレムだよ! お前、結婚式まで挙げただろうが!」


 しかし、ポン助は笑顔だった。


「その事ですか? アレは式場の撮影とか練習ですよ。僕、初めてでしたけどなんだか緊張しました。あ、料理がおいしかったです。凄いんですよ。ゲームと同じ指輪まで用意して交換もしたんです」


 何も知らないポン助の笑顔を前に、煽ろうと思っていたライエルも口元を手で押さえて涙を堪えていた。


 アレイストは涙を拭う。


「そ、そうなんだ」


 ポン助は椅子に座る。


 オークが座ると、大きなテーブルも椅子も小さく見えた。


「あの後からみんな気を使ってくれて、アパートに夕飯の残りとか持ってきてくれるんです。この前は部屋で料理を作ってくれました」


 ライエルは堪えきれず涙が溢れた。


「外堀を埋められているよ! もっとガードしなよ!」


「――え?」


 ポン助が首を傾げていると、アレイストが「なんでもない」と言って話を聞くのだった。


「みんな優しくて、逆に申し訳ないんですよね。だから、僕に出来る事があったら何でもいってくれ、って言いました」


 アレイストが椅子から立ち上がった。勢い余って、椅子が床に転がる。


「言っちゃったの! それを言っちゃったの!?」


 ポン助は指先で鼻の頭をかく。


「い、いや、だってそれくらいしか出来ませんし」


 ライエルは泣くのを止め、そしてアレイストにヒソヒソと話しかける。


「このオーク、もう童貞じゃない可能性が出て来ましたね」


「止めてよ! 知らない間にそんな事になっていたとか可哀想すぎるよ!」


 アレイストが気になるが、でも聞きたくないような態度で。


「と、ところで……食事後に眠くなったとかあるのかな?」


 ポン助は天井を見上げ。


「そう言えば、前にお昼をご馳走になった時に――」


 ライエルが叫んだ。


「いやぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁああああぁぁぁ!!」


 アレイストが叫んでいるライエルを押さえつけた。


「はい、止め! この話は駄目! さぁ、次の話題に行ってみようか!」


 こうして、三人の宴は続いていく。


九月三十日はセブンス五巻の発売日!

予約受付中!


以上、宣伝でした!

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