プロローグ
調子が良かったので投稿です。新章突入です。ちなみに魔法のようなモノが出ます。
森を出て、ついに街道にでた俺だったが早速ピンチに陥った。
「クソッ、なんだよあれは!」
そう悪態をつきたくなるくらいピンチだった。なぜなら……
ブモォォォ!
──真っ赤な牛の群れに追いかけられていたから──
「ええい、何で街道に出て歩いていたら後ろから牛の群れが走ってくるんだ!ここは普通、この世界の住人と遭遇するのが王道だろうがー!」
そんな事を言っていながらも牛たちはどんどん迫ってくる。バットの身体能力強化が無ければとっくに追いつかれていただろう。
「どうする、戦うべきか……?でもこの量で同時に相手するのは不可能だし……!」
少し前に戦った熊だが、あれは相手が一体だったからどうにか立ち回れたのだ。今追いかけてきている牛の様に群れで来られたら勝ち目は無い。かといってこのままではいずれ追いつかれる。
ブモォォォ!
「うわ、追いつかれる!」
牛たちが更にスピードを上げてきた。これではもう……!
「(シルバ、ごめん……俺はどうやら牛にやられてしまうようだよ……チクショウ、牛にやられるなんて最悪だ!!」
俺はそう諦めかけた。その時……
「〈Alum・Irow〉!」
謎の言葉により叫びと共に何処からか氷の槍のようなモノが飛んできて、牛の群れの中に突っ込んだ──
☆
他の街への出張依頼があった時は正直面倒だったがこれも仕事なので割り切り、さっさとその街へ行き、仕事終わらせ、元の街への帰路を急いでいた。
「(ああクソ、思ったより時間がかかったなもう)」
そう思いながらも相棒から手は離さずにいた。
「グルッ?」
「ん?どうしたんだロー?」
相棒である〈氷狼〉のローの背中に乗っていた俺はローがある方角を見つめだした事に気づいた。
「あの方角になんかあるのか?」
「グルッ!」
「帰りを急いでいるのになあ……でもローの野生の勘に助けられてきたことも多いし、少しだけ見に行くか……」
そう思った俺はローが気になる方向へ向かう事にした。
●
「おいおい、なんだありゃ……」
俺が見た先には大量の〈赤炎牛〉に追いかけられている男がいた。〈赤炎牛〉はかなり早い魔獣のはずだがそれから逃げ続けているあの男も凄いな……
「やはり助けた方が良いかな?でもちょっと数が多いしな……」
良心に従うならここは助けるべきなんだろうがあれはちょっとキツイな。どうするかべきか。
「グルッ!」
「ロー?」
ローが俺のことを見つめてきた。まるで俺はお前が臆病者だとは思っていないぞと言っているかのような目だ。
「ああもう、分かったよ。助けりゃいいんだろ、助けりゃ」
仕方ない、ここは術の練習だと思ってやってみるか。では……
「〈Alum・Irow〉!」
☆
俺の目の前で牛たちに氷の槍のようなものがどんどん突き刺さっていく。なんだ、何が起きている!
俺が混乱していると、俺の横に銀色の狼の背に乗った青年が現れた。
彼が助けてくれたのか……?
そう戸惑っている内にも赤い牛たちはさっきの攻撃で怒ったのか、口から炎を発射してきた。ゲッ!丸焼きにされちまう!
「〈Alum・Ix・Powl〉!」
そんな中、青年がまた何かを唱えた。すると……
ズゴゴゴッ!
なんと俺たちの前に氷で出来た壁が出来た!
その壁は牛たちの炎を防いでいる。普通、氷は熱に弱いはずだが、この壁をよく見ると、確かに炎に触れた部分が溶け始めてはいるのだが、それを上回る速度で再び凍っていっている。すげえ……!
炎が効かないことでヤケになったのか牛たちが氷の壁に突進してきたりしている。しかし、びくともしない。そんな中、青年は何かを待っているかのように牛たちを見つめていた。そしてあるタイミングで──
「〈Iban〉」
そう唱えた次の瞬間──
ガッシャーン!!
巨大な氷の壁が一気に外側へ向けて崩れ、牛たちは次々と落ちてくる氷の破片の下敷きになっていく。
そうしてしばらくしたころには牛たちは皆死亡していた。そんな中、青年は悠然としていた。
す、凄い……なんか、格が違うって感じだ……
そう思っている内に、青年は俺の方を向き、
「qwryいy?」
何かを言った。な、なんだ?何を言っているんだ?
そこで俺は肝心なことに気づいた。ここは異世界なんだから言葉が通じない可能性があったことを╾╾
魔法のようなモノについての説明はまた今度です。
追記
最後の方の氷を崩壊させた術の呪文を変更しました。あれも意味的にはさほど違ってはいないのですが、しっくりこなかったので変えました。