↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
11/16

塗(マミレル)

30000PV&6000ユニーク突破いたしました。

皆様のご来訪に、心から感謝申し上げます。


贅沢言えば同時に投稿したかった、前とあまり切りたくなかったところです。

身内の都合って、ホント参っちゃいますよね。家族好きですが。

今朝からどうもPCをやりすぎ他らしく、頭痛が痛く(笑)なりながら、せっせと書きいそしんでおりました。

自分乙。


戦闘シーンは書きなれない、短すぎた気がします。

この山を早く進めたくて、気持ち焦りすぎたのかもしれません。

お気に召していただければ幸い、頑張っちゃったんだよな11話目、始まります。


それとこの回より、複線(を張っていたつもり)の設定が登場しましたので、キーワードを触りたいと思います。


次回、ただいま絶賛書き途中なのですが、無駄に長くなるという私の持病が発動してしまいました。

ご注意ください(何をだ)






「今すぐその手を離せカリン!!」


 群がるフロストスコルピの大群を吹き飛ばすルゥさんだけど、数が数だけあってなかなかこっちには来られないみたいだ。

 大丈夫だって、そんな叫ばなくっても、これが案外持ちそうなんだよ、本当に。


「やめろ止めろヤメロお前ら下がれよ向こう行けよちくしょおっ……ルゥッ、今行くから! カリンッ! そんなことやめて早くこっち戻って来てよ!!」

「ニナ下がってください! いけませんっ、カリンおやめ下さい私がエミーに援護をっ、…っ!? ルゥ!」


 ニナちゃんもめちゃくちゃに鞭を振り続けている。

 群れに沈んでしまいそうなルゥさんが心配なんだろうな、パーティだもんね。

 オレの名前も呼んでくれているみたいだけど、オレよりもルゥさんに集中してあげてよ。

 ほら、サリーさんも心配してる…って、あなたまでオレを気づかってくれるの? いいってば。

 ルゥさんだって危なそうなんだから、彼女を助けてあげて、ね?

 それにそこからじゃ、エミーさんの援護は無理だと思うんだ。近くにいるオレがやらないと。


「私などよい! エミーが、カリンが…っ、くそう! これでは回復もしてやれぬ…っ、エミー! 何をしておる! 受けた依頼は必ずだ、カリンを守れ! 我らヴァルキリアスに二言は許されぬぞ!」

「ルゥはまずご自身を守ってください! ニナ! 頭を下げてください当たりますっ…氷柱の大瀑布、《アイス・レイン》!!」

「サリーお願い! さっ、きからっ、ずっとっ、喚びっ、たいっ、のにっ! もう!! 邪魔だって言ってるじゃんかさっさと消えろよお!」


 だからいいんだってルゥさん。

 危ないよ、命の危険だってあるんだよ、サリーさんの言うとおりに自分のことを守ってあげてよ…って、もしかして依頼があるから?

 こんな状況なんだ、女将さんだってきっと怒ったりしないさ。オレも一緒に謝るから。

 って言うか何より、オレが原因なんだけどね。ごめんなさい。


「ルゥはもういいからこっち来てっ、合流して自分を回復して! エミー!! 無理だってわかってるけどお願い! お願いだからカリンを助けてあげて! 自分のことも守ってあげて! お願いだから助けてあげてよぉお!!」


 ニナちゃん、あんまり叫ぶとのどがかれちゃうよ。せっかく可愛い声なのに、もったいないよ。


「ニナとルゥは私の後ろへ、もう一度数を減らします! 氷柱の大瀑布、《アイス・レイン》、《アイス・レイン》、《アイス・レイン》、《アイス・レイン》、《アイス・…っレイン》!!」


 上級魔法を広域で、それもそんなに連発して、ダメだよサリーさん、倒れちゃうよ。


「サリー! MPが尽きるっ、ここで倒れては2人を助けられぬのだぞ!? お前がそれでどうするのだ!」


 あのねルゥさん、いいこと言ってるようだけどさ、それはまさしくルゥさんに言えた義理じゃないってやつなんだよ。


「………何であんたが隣にいんのよ、バカ……………!!!」

「あはっ、ごめ、なさい。でも、オレ、助け、たくて」


 見過ごしていたよりも、ずっとずっといいと本気で思っているんだ。

 たとえどれだけ、傷を負ってしまったとしても。

 それでも。






 すべては瞬きほどの短い出来事。

 エミーさんが踏み荒らした足跡の1つが、蟻地獄に似た逆さ円錐状に砂を吸いこんで行くのが見えて、オレは声をかけようとしたんだ。

 だけどその前に、生まれた蟻地獄の中心から針みたいな、棘みたいな、小さな突起がのぞいているのに気づいて、オレは直感的に彼女の本へ飛び出した。

 隣や後ろで戦っていた3人がオレの行動に気づくより、エミーさんが振り返るより早く、オレは彼女の背中に飛びついてお腹に腕を回し、勢いのまま倒れこむようにその場を離れた。

 その瞬間。


ズシャアアアァァ


≪上手 ク 逃 ゲタナ≫


カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ


 砂を噴水のように吹き上げて、大きな、大きな影が地中から現れた。

 怖気立つ声でその影は笑い、ゆっくりと砂を這い出る。と、残された大きなくぼみから次々と蠍が湧き出して来た。

 よく見ればただの蠍ではなくて……夜行性モンスター、フロストスコルピの大群だった。

 だとすると、この影の正体は、


「そんな………何故、こやつが、かような場所に」

「…うそ、嘘だ。何でだって、こいつ」

「逃避していられる状況ではないようですよ。目をそらしてはなりません」


 黄昏砂漠ボスモンスター、


「…っ、カリン、離れて。“これ”は、さっきまでのようにはいかない」

≪虫 ガ 集 ッテイルナ 、先 ニ 片 ヅケルカ≫


 王蠍の剣闘士(おうかつのけんとうし)、スコルピオグラド。




「命つなぐ燈火、《ライフ・ライツ》!」


 ルゥさんの補助スキルによって、その場から上空10m辺りに小さな疑似太陽が生まれる。

 救命弾の役割が多いスキルだけれど、この場合ルゥさんの判断は冒険者としてさすがのものだった。

 モンスターの誘引を防ぐための松明も、これだけの相手と数に取り囲まれた状況では今更で、むしろ、光量が足りないことで相手の動きが把握しきれず後手に回る、不利を招く一因にしかならない。

 《ライフ・ライツ》によってずっと明るく照らし出されたオレたちの周囲一帯は、明るくなったはずなのに黒く、蠢くフロストスコルピの大群によって黒い湖のように染められてしまっていた。

 目算で、およそ1000体。バカみたいな数。

 分断されたオレたちは、後方に黒い湖の外にサリーさんとニナちゃん、黒い湖に囲まれてルゥさんが1人、そしてオレとエミーさんがスコルピオグラドの前にそれぞれいた。

 4人とモンスター一群は緊張の沈黙をたたえ、ついに。


「! でやああああ!!」


 迫る黒波に反応したルゥさんの叫声によってナイトフィールド第2戦の幕が落とされた。

 オレたちとの合流をもくろむルゥさん、サリーさん、ニナちゃんの3人は、眼前に迫るフロストスコルピの群れを殴り、貫き、叩き、1体でも多くを倒さんと武器を振るっている。

 サリーさんの魔法スキルやルゥさんの多数を巻き込んだ大ぶりの攻撃によって、何体ものフロストスコルピが打ち倒されているにも関わらず、どれだけ倒しても、戦況には微塵の変化も感じられない。

 1000と言う思わず笑いたくなるような数が状況を圧倒していた。

 個々の力に優れていても、数の利がすべてを呑みこんでしまう。


「やあっ! てえい!!」

「せいっ、は! 《アクア・ボール》!」


 絶望してもおかしくはなかった、それでも、彼女たちは気丈に戦い続けていた。

 ここを乗り越えた先に、彼女たちのリーダーが戦っているのだから。

 3人から12mは離れた場所で、がちゃがちゃと鋏を鳴らすフロストスコルピに取り囲まれて、エミーさんとスコルピオグラドは向かい合う。

 さながら、蠍と少女、2人だけのコロセウムの如く。

 エミーさんに庇われたオレは黒い囲いの外に押し出され、へたりこんで彼女を見守っていた。

 それしか、できなかった。


「よくぞまあ、こんな辺鄙な所へわざわざ、とでも言うべきかしら?」

≪虫 ニ 用 ハナイ≫

「はん! 虫はそっちの方だと思うわよ? …ずいぶん図体はでかいみたいですけど、ねえ!!」


ギャリィィインッ


 エミーさんの頭を軽く超えた上方から、硬質なキチン質の鋏が振り下ろされる。

 軌道を見切ったっ彼女は槍の腹で豪速の刃を受け流すと、グラドのがら空きの懐に飛び込み、手首を支点に穂先を回して救い上げるように心臓を狙う。

 しかしエミーさんの動きを読んでいたグラドは、1つ1つが人間の頭ほどもある節が連なる太く長い尾を彼女の右脇腹めがけて突き入れようとする。

 彼女もそれは想定ずみらしく、石突きで弾くように毒針を払いのける。


ガギンッ


 グラドはエミーさんが毒針を払うタイミングに合わせて、上と左の両方向から同時に鋏を突き立てた。

 上下左右に逃げ場を失ったと気づいた彼女は刹那に後方へ視線を投げるが、そこには大量のフロストスコルピが鋏を振って威嚇している。

 小さく舌を鳴らしたエミーさんは身をかがめ、柄の握りを穂に近づけて両手で握り、鋏を逃れるついでにグラドのがら空きの懐に鋭く穂先を沈める。

 人ならざる肌色に銀の先端が沈む、かと思われた。


ギャアアアアンンッ


「なっ、ぁぐっ!? うぅ、うぐ、く、ぁああ!!」

「エミーさん!?」

≪虫1匹 デ 倒 セルト 思 ッタカ 、愚 カ 、愚 カ !≫


 弾かれてだらりと伸びていたグラドの尾が跳ね上がり、エミーさんの槍を弾き飛ばして、そのまま彼女をぐるりと絡み取り締め上げた。

 エルフのシルクのような柔らかな肌を、岩のような甲殻が歪ませて締めつける。

 飛ばされた彼女の槍は宙を舞い、砂をかいて突き立つ。

 捕えれた、武器を失った彼女は今無防備だ。

 グラドは締めつける力を強くすると、彼女の顔のすぐ近くで恐ろしい毒針を揺らし、さも楽し気に悩んで見せた。


≪ハラワタ 吐 カセテ 潰 スノト 、毒 ニ 内 カラ 溶 カスノト 、 ドチラニスルカナ≫

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」


 また、オレの知ってる誰かが死ぬの?


「やめろ!!!」


 後先を考えている余裕はなかった。

 オレはがむしゃらに、エミーさんに巻きつくグラドの尾の、毒針の根元にしがみついた。


「エミーさん、を、放せ、え!」

≪オマエハ≫

「あ゛ぁ゛、ガリ゛、ン゛、逃げ、あ゛あ゛あ゛!」


 両腕でしっかりと毒針を抱えこむと、巻きついている尾を足場にとにかく夢中で引っ張った。


≪放 セ≫


ガツン


 グラドの鋏が、オレの後頭部を殴る。背中を殴る。腕を殴る。足を殴る。

 服が破れて肌が削れる。

 骨が悲鳴を上げて神経を電気信号が駆けめぐる。

 額から頬を伝って、首筋に生ぬるいものがしたたり落ちる。

 それでも、手は離さない。


≪退 ケ≫

「ぃや、だ、あ゛ぅ!」


ガツン


 遠くで3人が叫んでいるのが聞こえた。

 エミーさんを、オレを助けようと必死にこちらに向かっているのも分かっていた。

 エミーさんを助けたい気持ちでいっぱいだったオレは、彼女たちの様子に目と耳を塞いで、ひたすら足を踏ん張っていた。


「こ、のおっ」

≪イイ 加減 ニシロ≫


 早く助けないと、尾を解いて硬い毒針を彼女から遠ざけないと。

 死んじゃう。

 また、死んじゃう。


「放、せ、ええ!!」

≪オマエハ 後 ダ 、余計 ナ 虫 ヲ 片 ヅケル 、邪魔 ダ≫

「ガリ゛ン゛、あ゛う、ぅ」

「え、取れ……が、は!」


ズダンッ


 グラドの尾が緩み、隙間からエミーさんが力なく地面に落ちた。

 驚いて宙ぶらりんにぶら下がっていたオレは、グラドがゆるりと尾を掲げたのに気づかず、そのまま思い切り地面に叩きつけられた。

 砂地でも衝撃を吸収しきれない威力で尾を振り下ろされて、体中を打ちつけた。

 地面と毒針に挟まれたオレは、背骨がきしみ、心臓が一瞬鼓動を止めたのを感じた。

 いたい。

 いたい、けど、えみーさんは。


「ぁ……ぅ…」

「がっ、かはっ。カリ、ン!」


 顔を真っ青にさせたエミーさんが、這うようにしてオレの隣までにじりよる。

 震える手でオレの頬をなぞる、指先が赤く染まっていて、オレは自分の出血が思ったよりひどいことを知った。


「逃げろって、言った…! 助けるのは私の役目! カリンがすることじゃないのよ…」

「うん、ごめん。ごめん、ね、オレ」

「謝らないでよ! こっちが、」

「オレ、悪い、と思っ、て、ない、から、ごめん」

「!!! っ………バカリン」


 少女の細い腕が、血と砂に塗れたオレの背中を支える。

 勇ましかった戦女神も、ただ1人の少女でしかないのだ。


≪別 レハスンダカ≫

「しまっ、」


 いつの間に、いいや、最初からすぐ傍でオレたちを観察していたのだろう。

 グラドは、強者の余裕でもってひ弱な生き物のやり取りを眺めていた。

 そして飽きて、目的のために行動に移した。

 たったそれだけのこと。


≪何度 モ 言 ワセルナ 、虫 ニ 用 ハナイ≫

「あが、」

「エミー、さっ」


ドゴッ


 グラドは鋏を振り、弱っていたエミーさんをフロストスコルピの囲いの向こうに吹き飛ばした。

 追いかけたくても、これ以上走る力もなければ、立ち上がる力さえ残ってはいない。

 オレはぼろぼろの体を引きずったまま、何の守りもなく、黄昏砂漠のボスモンスターと対峙した。


≪オマエニ 猊下 ガゴ 関心 デイラッシャッタ≫


 1歩、2歩、大きな体躯を揺らして、グラドはオレの前へと立ちふさがる。

 足を折って身を屈め、倍近くは高い位置の頭をぐっと寄せて覗きこまれれば、自然とオレも上向いてグラドの顔を間近に見上げる。

 上空の《ライフ・ライツ》で逆光になる中でも、グラドの表情は薄ぼんやりと窺える。

 オレは何故か、グラドと目が合っていると理解した。


≪オマエニ 何 ガアル ?≫


 頭の血が下がる気配がしたのに、こめかみ辺りの血管だけがどくどくとうるさい。

 世界の輪郭がにじんで、目の前のモンスターだけがくっきりと浮かんで見える。

 周りの音も景色も何もかもが遠くなって、暗い夜の闇色の呑まれていく。

 今この瞬間も、3人がオレを助けようと戦っているはずなのに。

 冷たい砂の上に、エミーさんが横たわっているはずなのに。


≪……… 違 ウナ 、臭 イガスルゾ≫


 すんと鼻を鳴らす音がして、おぞましい口元がにんまりとつり上がる。

 鈍く重い耳障りながらがら声、毒々しい紫の血管が透ける青い指、魔性にのみ現れる黒白逆転の眼球。

 すべてが、オレを、指して、言う。


≪オマエノ “中” ニ 何 ガ “イ” ル ?≫


 耳から入った音が、脳で処理され、言葉を理解した、瞬間に。

 ちぎれる音がした。











              「    『

                だ    ダ


                ま    マ


                れ    レ


                よ    よ

                  」    』










ポーン


___ オリジナルスキル「双極の双識者」獲得条件を達成しました、スキルを獲得しますか? ___


___          →YES   NO          ___


___ オリジナルスキル「双極の双識者」獲得しました、スキルスロットに強制装着します ___


___ なおこのスキルは、











「オレ以外が勝手が“コイツ”に関わるな!!!!!」

『コイツ以外が勝手に“オレ”に関わんじゃねぇよ、天地両断の栄光《ザ・ブライトネス》』










以後スキルスロットから外すことはできません ___






 砂に突き立ったままだったエミーの槍を後ろ手に抜き取ると、眼前のモンスターを下から上へ薙ぎあげた。

 闇夜に沈む黄昏砂漠、《ライフ・ライツ》で照らされたその一角に、天と地を切り開く白銀の道が駆け抜ける。




 オレだけの、オレだけが知るオレの家族。






ご指摘、ご感想、お待ちしております。



今回で他者視点による番外についてのアンケートを終了いたします。

ご協力いただけましたお2人には、心から感謝申し上げます。

今後、章が1つ落ち着くごとに他者視点の番外編を挿入したいと思います。



つきましては、ご協力いただけた人数が少ないようでしたので、ご意見をいただいたお2人だけに、リクエストをお受けしようと思います。

お2人にもしもご希望の他者視点がございましたら、人物名だけで構いませんので感想やメッセージからお送りくださいませ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。