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10/16

臨(リンセン)

投稿予定が狂ってしまいました、家族のバカー! カラオケ満足ー!

叶えば、明日の深夜にも投稿したいと思っています。

本当を言うと、同時投稿したかった…家族のばk(


1つの山場を迎えようとしています。

彼(彼女)の選択と行動に注目、は次回なんだけどとりあえず10話目、始まります。






「ニナ、そっち行った!」

「はいはーい、よ、う、こ、そ、死地(らくえん)へ!」


 ずいぶん嬉しそうに頭を吹き飛ばすんですね、ニナちゃん。語尾にハートマークが聞こえたのはオレだけかな?


「ふはっ…ふははははは!! 見よサリー、こやつらまるで蟻のようにつぶされて行くぞ!」

「そうですね、醜いので洗い流しておきましょう。慈雨の一滴、《アクア・ボール》」

「慈雨、か。相変わらずサリーのセンスは冴え冴えしく私好みだ」


 相性がよさそうなのはいいことです。いいことですが、この背中が寒くなる感じはどうすれば。


「いい、何があってもカリンは絶対にサリーかニナの側にいること。2人は、常にカリンに気を配って同行すること。守れなかったらペナルティ出すからね、分かった?」

「もっち!」

「ろーんです」

「よろしい。カリンもよ?」

「りょ、了解でーす」


 とびかかって来るモンスターよりも、2人の少女の方が怖いって、絶対言っちゃいけないよね?






 オレたちは女将さんに拝借した松明を頼りに、昼間彼女たちと遭遇した村の中心を通り抜けて南門へと向かった。

 日中の熱気渦巻く商店や人波は、湿った夜の暗闇の中でひっそりと静まり返っている。

 思ったよりも静かなこと、暗いことを隣を歩くニナちゃんに尋ねてみたら、ランプの燃料代を節約するために、村人の多くは夕食を終えたら早々に眠ってしまうのだそうだ。

 そういえば確かにVOでは電気を動力に使う概念がなくて、建物の灯りは木材や油、ガス、魔法でまかなわれている設定だった。後になるほど高価になるらしい。

 納得がいったオレはニナちゃんにお礼を言って、オレたち唯一の灯りを掲げるエミーさんの背中を見やった。

 夜の黄昏を、松明1本で行くのかな?

 遺跡に潜れる4人からすれば、黄昏砂漠の夜なんてどれほどの問題もない場所なんだろうけれど、初めてのオレにはやっぱり心配だった。


「あの、ルゥさん」

「む、何用か?」

「見学、なんだよね?」

「そうだ」

「さすがに、奥まではいかない、よね?」

「ふむ、エミーの判断によるが…なあに、かように不安がらずとも、我らが必ずお前を守ろうぞ、カリン」

「……ありがとうございます」


 不安じゃなくて心配なんです、ちょっと違うんです。

 戦う能力を持たないオレにとって、守ってくれると言う4人の少女たちはとても心強いのだけど、彼女たちが強いこととオレが邪魔にならないことは同じじゃない。

 夜行見学ツアー?の趣旨は「オレが魔物の真の恐ろしさを知る」だから、オレがいなくちゃ始まらない。

 分かってるよ? 分かってるけど、オレ、やっぱ邪魔だよね、って思っちゃうんだよ。

 だってほら、オレ、Lv2だから。スキルに攻撃手段の一つもない無職(泣笑)だから。

 …ってあれ、今自分で言って気づいたんだけどオレ、本気で攻撃スキルない。

 ………なかった、よね?

 隣のニナちゃんや1歩前を行くルゥさんに気づかれないように、耳に髪をかける仕草でごまかして、持ち上げる指先でステータスボタンをなぞりスキル欄に触れ、下ろす手で画面を払った。


ピポン


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NAME:カリン(♀)

LEVEL:2  CLASS:人族

JOB:無  TITLE:異邦人

STP:5

--------------------

HP:600  MP:250  SP:700

--------------------

HACK:25  STAB:27  BEAT:19

DEF:15  MGAT:35  MGDF:28

AVD:31  DEX:32  LUCK:10

--------------------

EQUIP:女将のお古

SKILL:お茶の間のアイドル


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SKILL:お茶の間のアイドル


お茶の間のアイドル:(auto)愛され親しまれ可愛がられる、暮らしに身近なみんなの癒し系アイドル。

 LUCK+5 付加効果・周囲の対応が軟化する

スタンドマン:(actv)君は耐える、いつまでも。君は耐える、どこまでも。

 HP消費-1% SP消費-1% DEF+1 MGDF+1


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シュン


 む、無駄に高度な動きをした気がしたけれど、とにかく、思った通りのスキルのなさを確かめられた。

 VO(ここ)がゲームと同じ設定でできているのなら、スキルなしで攻撃をしても与ダメージは1にしかならない。

 木の枝でも鉄の棒でも握って振ろうが殴ろうが、すべては1。

 石でも樽でも持ち上げて投げようがぶつけようが、すべては1。

 ………恐ろしいな設定。

 自分の役立たずを再認識してへこみつつ、オレたちはようやくオルサン南門に到着した。


「番兵任務、お疲れ様」

「ハ! ありがとうございます! ヴァルキリアスの皆様は、これからのお出かけですか…?」

「ええ、彼女に魔物の特性を体験してもらおうと思って」

「ここ2、3日、魔物の動きに変化の兆候ありとの連絡が届いているのですが」

「聞いてるわ。でも、依頼を兼ねた大事な社会経験なの、許可もらえる? 1時間もしたら戻るから」

「なるほど、了解いたしました。依頼でもあるとのこと、あなた方の実力であればお止めするのも間違いでございましたね。おい、お前!」


 かがり火をたく門の両側に1人ずつ、軽量型の鎧をまとった番兵が見張りを務めていた。

 闇の中近づく松明に警戒していた番兵たちも、慣れた様子でエミーが労いの言葉をかけると驚きと喜びが混じった声で姿勢を正した。

 きっとヴァルキリアスの人気は高いのだろう、美少女で強くて優しいとなれば、誰だって憧れるに違いない。

 それでも、村の入退管理を任されている彼らは、相手が誰でもしっかりと自分たちの任務を務めあげていた。

 1人が外出の目的と夜間外出のLv制限を確認しもう片方に合図を送る。合図をもらった方は入退管理表に外出日時を記録して札を差し出した。


「ヴァルキリアスの4名様と、お連れの少女がお1人。記録完了です、どうぞ」

「ありがとうございます。夜番は大変かと思いますが、どうかお気をつけて、しっかりと村を守ってくださいね」

「いっ、いえ、とんでもない! 当然のお役目ですから! どうぞ、我々にお任せください!」

「ふふふ、頼りにしています」

「あありがとうござざいます!」


 受け取るついでに二言三言会話したサリーさんの微笑に、記録係の番兵は真っ赤になってどもってしまう。

 それをもう一人がうらやましそうに見つめていた。

 …ヴァルキリアスって言うか、美少女がすごいんだね。

 サリーさんは僕に札を渡し、失くさないようにと注意を述べてエミーさんの所へ行く。

 オレは受け取った札の、木製のささくれた感触を握って、これから足を踏み入れる場所を強く意識した。

 推奨Lv110、黄昏砂漠のナイトフィールド。

 話がまとまりオレを呼ぶエミーさんの声を追いかけて、闇にひそみ待ち構える、モンスターあふれる夜の砂漠へ歩き出した。




 松明はエミーさんからニナちゃんへ移り、エミーさん、オレとニナちゃん、ルゥさんとサリーさんの順で夜の砂漠を進む。

 小さな松明1つで照らされる範囲は、わずかに周囲数m。

 なだらかに続く村近くの辺りではモンスターの出現は少ないようで、何事も無く歩いて来られた。

 村を出る前から気になっていたけれど、こんな状況で、彼女たちはどうやって戦うつもりなんだろうか。

 ゲームだったら画面上にアイコンつきでモンスターは表示されるから、暗闇も洞窟も、どこでもモンスターの位置は確認できるし、遠隔からの攻撃もクリックやボタン1つ。

 でもここは、自分の目と耳と肌で感じて動くしかない、ゲームとは違う世界。

 見えない暗闇に対して、頼れるものは自分だけ。

 オレは内心で首を傾げつつも黙って歩き続けていた。

 村を出てから5分くらい経った頃、4人の空気に変化が現れた。


「サリー、ルゥ、索敵と補助魔法を」

「はい。水の波動、《アクア・サーチ》」

「構えよ、共有される意識、《センス・コモン》」


 あ、なるほど。

 エミーさんの指示を聞いて、オレは頭の中がすっきりした。

 《アクア・サーチ》は索敵スキル《サーチ》の属性強化で、湿度が高い場所で使うと《サーチ》よりも高い性能を発揮する。

 夜の砂漠は昼と環境が一変して水や氷属性を持つから打ってつけのスキルだ。

 そして《アクア・サーチ》をさらに活用させるのが、ルゥさんの支援スキル《センス・コモン》。

 コモンスキルは指定したステータスをまさしく共有するスキルで、《センス・コモン》はスキル効果で得た情報をパーティメンバー全員に公開させる。この場合は、サリーさんが《アクア・サーチ》で見つけた敵の位置が他の3人にも伝わると言うことだ。つまり、その都度口で指示をする必要がなくなる。

 ゲームの中ではこの2つを同時がけなんて発想は生まれない、そもそも必要がない。

 生きている彼女たちだからこそできるコンビネーションなんだと思う。


「カリン、そろそろだ」

「、はい」


 後ろからルゥさんに声をかけられて、オレは緊張で唾を飲みこんだ。


「来ますよ」

「っふふーん、いっちょやっちゃいますかー!」


 松明を掲げたニナちゃんは、上機嫌で鞭を振っている。

 サリーさんはスキルがかかったうえでも、注意の一言を皆に伝えて、そして。


「見てなさいカリン。魔物の本性と、私たちの強さを」


 戦女神の粛清の宴が始まった。






「ふはははーっ! たやすい、たやすいぞーー!」


シュビシッ シュビシュシュビシィッ


「ニナ! 私の真似はやめよ!」


ゴキャ ゴキャ


「だって面白いんだもーん、てへ」


シュビッ シュビッ


「もんではな、い!」


ゴキョッ


 オレからつかず離れずの辺りでニナちゃんは、ルゥさんの口真似でスティールウィップを振るっていた。

 鈍い金属の光沢が、松明の灯りを反射させながら鋭くモンスターを叩き落として行く。

 ルゥさんはニナちゃんの口真似に怒りながらも、隙なく腕を、身体を動かして、杖と呼ぶのがためらわれるような厳ついヘヴィーメイスでモンスターを砕き潰していた。

 細い女性の腕で行われていると思えないような、重い破砕音が響き渡る。

 ルゥさんの少し後ろでは遠目でも何故か分かるあの笑顔で、サリーさんが魔法とバヨネットをうまく使いこなし、殲滅に徹していた。

 ダメージを受け地面でうめくモンスターたちに《アクア・ボール》でとどめを刺し、近づく影には油断なく刀身を走らせ、離れた相手には鉛の雨を注ぐ。


ガウンッ


「慈雨の一滴、《アクア・ボール》」


シャキン


「慈雨の一滴、《アクア・ボール》」


ガウンッ


「ふふ、慈雨の一滴、《アクア・ボール》」


 お姉様とお呼びするべきなのかも知れないと思いました。

 3人の盛り上がりに乾いた笑みを浮かべつつ、オレは少し前で1人戦うエミーの姿を目で追いかけた。


「ふっ、はっ、せい!」


キイン ギイン


「はあっ! っや!」


ギイイン キンッ


 自信の表れだと思う、夜に避けるべきシルバーランスを携え、踊るように鮮やかな動きでなおかつ正確に、モンスターの急所めがけて切先を突き立てる。

 「舞闘」と表現したくなる、そんな戦い方だった。

 一部見ないふりしたくなる所は合ったけれど、誰も彼も、美しき戦士の顔をして戦っていた。


 村からおよそ10分は離れた所で、オレたちはモンスターの集団に囲まれていた。

 現れたのは夜行性ばかりで、スタミナバット、アイスリザードの2種類。

 スタミナバットは蝙蝠型の小型モンスターで、体長は30cm、鋭い爪と牙を用いた通常攻撃と風属性の魔法攻撃を行う。そして特殊攻撃、吸血。

 バットの吸血はHPを削るだけだけれど、スタミナバットはSPも一緒に削られるので、攻撃を受けすぎるとスキルが使用できなくなって戦いが厳しくなる。

 もちろん、吸血なので吸われたHP、SPは相手に吸収され回復されてしまうので、厄介な相手だ。

 アイスリザードは蜥蜴型の中型モンスターで、体長は1.5m、同じく鋭い爪と牙を用いた通常攻撃と氷属性の魔法攻撃を行う。

 日中の黄昏に現れるフレイムリザードの属性違いとも言えるけれど、アイスリザードの方が強い。

 体が大きい分バットよりも攻撃力が高く、比例して受けるダメージも大きい。さらに問題なのが氷属性の魔法攻撃で、それが当たると一定確率で氷結の状態異常になってしまう。

 氷結は回復魔法、回復アイテム、全HPの25%以上のダメージで解ける。

 説明だけ聞くととても厄介な相手が、それぞれ18体と6体、オレたちを緩い円状に取り囲んで襲いかかっていた。

 未熟な冒険者ならば命からがらに逃げ出そうとするところを、彼女たちは英気をみなぎらせて武器を取り戦闘に繰り出して行った。

 ニナちゃんは片手を松明でふさがれているのに、狂いなく鞭の先を宙を飛ぶスタミナバットに当てていく。鋼鉄製の鞭は、そのしなやかなシルエットから想像できない威力で持って標的を叩く。

 重そうな、実際重いのだろう戦杖を軽々と振り回しているのに、ルゥさんの体は一度もバランスを崩すことなく、確実にアイスリザードの頭部を粉砕する。たった一撃の時もあった。

 サリーさんの射撃は4体のアイスリザードを相手にするルゥさんを援護して、魔法攻撃の待機姿勢に入った個体めがけてピンポイントで放たれ、1体たりとも氷属性魔法を使わせはしなかった。

 一突きがスタミナバットの頭部を貫き、一薙ぎがアイスリザードの爪を切り落とす。

 リーダーとして道を開き、リーダーとして戦いに臨む、エミーさんの揺るがない1つ1つの攻撃のラインは、神聖と破邪の真っ白な銀の輝きでなぞられていた。

 松明の灯りに揺れるかの所たちの勇姿をすべて見守っていたオレは、だからこそ、気がつけたのだと思う。

 エミーの足元、戦闘で踏み荒れた砂漠の砂地が、息を吸うように沈んで行くのを。




 初めの1歩の怖さも大切さも、オレはよく知っている。






ご指摘、ご感想、お待ちしております。



引き続きアンケートにご協力お願いします。

他者視点による番外について。


1.番外よりも本編優先!

2.本編もいいけど番外気になる!

3.その他意見がありましたら。

:例:本編で他者視点入れれば?


ご意見いただけましたら幸いです。

現在、

1:1票

2:なし

3:章ごとのインターバルに入れるべき、他者視点は本編に混ぜない

と頂いております。

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