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幼馴染みは色気がだだ漏れらしいのですが、私にはわかりません。  作者: 燈華


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カティラス侯爵家の夜会当日ー主催者への挨拶

「そろそろ挨拶に行こう」


カティラス侯爵家一家の周りから人が退()けてきた頃に兄が告げた。

招待されたからには一度はきちんと挨拶しなければならない。


「そうだな」


すっと出してくれたロンバルトの肘に手をかける。

同じようにヴィクトリアは兄がエスコートする。

そのままうまく人の間を縫ってカティラス侯爵家の面々の近くまで移動する。


ユリウス・カティラス侯爵令息がアナスタシアたちに気づいた。

親しそうな微笑みを向けてくる。

それから近くにいた壮年の男性に声をかけた。

恐らく父親のカティラス侯爵だろう。


他にユリウス・カティラス侯爵令息より年上の男性とルリア・カティラス侯爵令嬢もいる。

だけど一人足りない。

ユリウス・カティラス侯爵令息とルリア・カティラス侯爵令嬢にはもう一人兄がいるはずだ。

聞いた性格からしていないのは次男の方だろう。


仕事だろうか?

それともこういう場は苦手でもともと不参加なのだろうか?

あるいは所用で離れているか遅れているのだろうか?


会ったこともないのでその辺りはわからない。

母親は領地で療養していると聞いているからこの場にいなくても不思議ではない。


カティラス一家は話している人たちに「失礼」と声をかけてからこちらに向かってくる。

何故か人波が割れて自然と道ができている。


まさか三男がマティスにご執心という噂を聞きつけて様子見をしようとしているのだろうか?

マティスは来ていないが、アナスタシアたちがマティスと仲が良いことは知れ渡っている。たぶん。


そう考えると好奇の視線を向けられているような気がしてきてしまう。

どのみち挨拶をするつもりだったので逃げ出すような真似は勿論しない。


カティラス侯爵一家が目の前で立ち止まった。

友好的に見える微笑みを浮かべてカティラス侯爵が口を開く。


「本日は来ていただき、ありがとうございます」


丁寧な言葉遣いなのは初対面だからだろうか?

それとも同じ侯爵家のロンバルトがいるからだろうか?


「ご招待いただき、ありがとうございます」


兄が礼を執るのに合わせてカーテシーをする。


「楽にしてほしい」


そう声をかけられて体勢を戻す。


「初めまして、かな。私はヴィーラント・カティラス、隣は長男のアルフレート、それから三男のユリウスと長女のルリアだ」


やはり次男の方はいないようだ。


「前に一度お目にかかりました。ダラス侯爵が嫡男、ロンバルトです」


爵位の順からロンバルトがまず名乗る。


「ああ、そうだったね。ご両親は元気かな?」

「はい。お陰様で恙無(つつがな)く過ごしております」

「それはよかった。王都のほうにはいらっしゃるのかな?」

「いえ。ですがあと一月(ひとつき)ほどもすれば父は王都に来るはずです」

「そうか。それならその頃にまた会えるな」


用事があるのか、知己なのか。

とりあえず家としての交流があるのは間違いないようだ。


「父に伝えておきます」

「ああ、頼む」


ロンバルトとの挨拶が済んだ侯爵の視線が兄に向く。


「お初にお目にかかります。クーパー伯爵が嫡子セスランと申します。こちらは私の妹のアナスタシアと本日のパートナーのヴィクトリア・モワ嬢です」


兄が如才なくアナスタシアとヴィクトリアを紹介してくれる。


「クーパー家とは付き合いがなかったのに急に招待してしまって申し訳なかったね」

「いえ、光栄でした」

「迷惑でなければよかった」


それだけ言葉を交わしてするっと侯爵が視線を動かした。

侯爵の視線が先にヴィクトリアに向く。


「招待いただきありがとうございます。モワ伯爵が二女ヴィクトリアです」

「先日モワ伯爵夫妻にはお会いしたよ。ご兄弟はお元気かな?」


どうやらモワ家と家としての付き合いがあるので先にヴィクトリアに視線を向けたようだ。

ヴィクトリアはにこやかに答える。


「お気遣いをありがとうございます。兄と弟は元気ですわ。嫁いだ姉も恙無く過ごしていると聞いております」


ヴィクトリアは姉兄弟の四人兄弟なのだ。


「そうか、よかった」


侯爵の視線がアナスタシアに向く。


「お招きいただきありがとうございます。アナスタシア・クーパーです」

「君が、か。ユリウスとルリアが是非招待してほしいと言っていたのだが二人と面識が?」


カティラス侯爵は困惑しているようだ。恐らくだが今までの二人の交友関係の系統から大きく外れているのだろう。

アナスタシアは敢えて困惑した表情をする。


「それぞれ一度だけ、お目にかかり挨拶したことがあります」


カティラス侯爵令嬢にはもう一度顔を合わせているが、あの時アナスタシアのことは無視していたから数えなくていいだろう。


「そう、か」


ますます困惑した様子で侯爵は自身の三男と娘に視線を向けた。

読んでいただき、ありがとうございました。

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