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幼馴染みは色気がだだ漏れらしいのですが、私にはわかりません。  作者: 燈華


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100話記念SS アナスタシアとロンバルト、初遭遇

100話目なので記念SSにしました。

楽しんでいだけたら幸いです。

まだ幼い頃。

アナスタシアは兄に付き添ってもらってバレリ領へと遊びに来た。


アナスタシアはその頃はまだ一人で出掛けるのは認められていなかった。

兄もまだ学園に入る前のことで領地にいた。

だから兄に付き合ってもらってよくマティスのところに遊びに行っていた。


兄には嫡男としての勉強もあったのによく付き合ってくれた。

まあ、その分は馬車の中やバレリ領で勉強していたりはしていたが。


バレリ領に着き、兄の手を借りて馬車を下りる。

こういう時でもきちんとすることでそれは練習になるのだ。


だからいくらアナスタシアがお転婆でも馬車から一人で飛び降りたりはしない。

前にやって怒られてからはやっていない。

本当は走っていきたいがそれも我慢する。


兄にエスコートされてゆっくりと歩を進める。

その足が止まった。


扉の前には見慣れない男の子がいた。

歳の頃はアナスタシアやマティスと同じくらいだろう。

上等な服を着ていることからしても使用人の子供ということはないだろう。


男の子はじろりとアナスタシアとセスランを見る。


「おまえ、だれだ?」

「あなたこそ、だれ?」


警戒心丸出しで見据え合う二人の間に兄が割って入った。


「二人ともまずは名乗り合うのが礼儀じゃないのか?」


アナスタシアと男の子は兄を見上げた。

兄は二人の視線を受けて軽く頷いた。


「年長者だから私から名乗ろう。クーパー伯爵が嫡男、セスランだ」


兄が名乗ったのだから怪しい者ではないという判断なのだろう。

着ているものもよいものだし、バレリ家の屋敷の扉前にいるからの判断なのだろうか。


アナスタシアは兄の判断に従うことにした。

じりっとまだ警戒している様子を見てアナスタシアは自分がお姉ちゃんになって先に名乗ってあげようと思った。


「わたしはアナスタシア・クーパーよ。あなたは?」


まだじりじり警戒しているようで男の子は口を開かない。

アナスタシアは首を傾げた。


「あなたのおなまえは? マティスのおともだちかしら?」

「……ロンバルト・ダラス」


彼の名前を聞き、兄が居ずまいを正した。


「侯爵家の嫡男の方でしたか。失礼しました」


兄は名前を聞いてすぐにわかったらしい、。

アナスタシアにはわからなかった。


「……いや、かまわない」


悪い子ではないようだ。

アナスタシアにはそちらのほうが重要だった。


悪い子ならマティスに近づかないでもらいたい。

マティスに意地悪するならアナスタシアは許さない。


だけどどうやらこのロンバルトという男の子は違うようだ。

どちらかというとマティスを守っているような。


そこへ扉を開けてマティスが姿を現した。


「やあ、アナ、セスランいらっしゃい」

「……マティス、しりあいか?」

「うん、このふたりはだいじょうぶだよ」

「そうか」


ロンバルトは一応は退く姿勢を見せた。

だがとことことことマティスがアナスタシアたちに近づいてくるのを注意深く見ていた。


アナスタシアはにこにこと微笑(わら)ってその場を動かなかった。

兄は二歩三歩と下がる。

これはいつものことだ。


「なんだ、おまえもへいきなのか」


ロンバルトが拍子抜けしたように言う。


「アナはロンとおなじ」


ロンバルトもマティスと一緒にいても大丈夫なようだ。


「セスランはやっぱりえいきょうはうける」


ロンバルトが鋭い視線を兄に向ける。

やっぱりマティスを守ろうとしているようだ。


「セスランはだいじょうぶ。ぼくにきがいはくわえない」


兄ははっきりと頷いた。


「当然だ。友人を傷つけたりはしない」

「それに、まえにくらべたらなれてきたんだ」


マティスの言う通りだ。

兄はこれでも前よりマシになっているのだ。

初めて会った時にはその場でうずくまってしまったくらいだ。


「そうか」


マティスや兄の言葉を信じたのか、ロンバルトの視線が(やわ)らいだ。


「ロンはしばらくうちにとまっているんだ」


マティスは嬉しそうだ。

普段あまり人と接することができないので嬉しいのだろう。

ばっとアナスタシアは兄を見上げた。


「アナは駄目だな」

「どうして?」

「幼い令嬢が親戚でもない他家に家族と一緒ではなく泊まることはさすがに外聞が悪い。さすがに私もそこまでは付き合ってやれない」

「あのこはいいのに?」

「彼は令息だからな」

「ずるい」

「ずるいと言われても駄目なものは駄目だな」


兄がきっぱりと言う。

ずるい、ずるいとずっと言ってみたが、兄が首を縦に振ることはなかった。

それをロンバルトは呆れた様子で見ていた。






(のち)に二人は語る。


「あの時のアナは子猫が必死に威嚇しているようだったな」

「あの時のロンは生意気な男の子だったわ」


読んでいただき、ありがとうございました。


100話目になりました。

お付き合いいただいている読者の皆様、ありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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