0. アールガルダ帝国は、滅亡してしまいました
あとから読んでも大丈夫です。
むかしむかし
アールガルダ帝国という大きな国がありました。
魔法技術が発達し、人々はとても豊かに暮らしていました。
しかし、いつからか魔法の力が少しずつ弱くなっていきました。
そして、あちこちで瘴気が発生するようになりました。
瘴気からは恐ろしい魔物が生まれました。
普通の獣も瘴気に狂わされ、人々に襲い掛かりました。
人々の暮らしは、瘴気によってどんどん苦しくなっていきました。
皇帝は、臣下に原因を調べさせました。
そして、闇の邪竜ノクトルヌスが瘴気を操っていることを突き止めました。
魔法の力が弱くなったのも、ノクトルヌスが魔法の理を乱したからに違いありません。
闇属性の魔力を持つノクトルヌスを倒せるのは、光属性の魔力を持つ者だけです。
皇帝は、邪竜ノクトルヌスの討伐を、光の大聖女アレッサンドラに願いました。
聖女アレッサンドラは、アールガルダ帝国で唯一、光属性の魔力を持っていました。
月明かりのような白銀の髪に金色の眼をした、姿も心も美しい女性でした。
アレッサンドラは瘴気を浄化する聖魔法で人々を救いました。
そしていつしか、光の大聖女と呼ばれるようになったのです。
人々の苦しみに心を痛めていたアレッサンドラは、皇帝の願いを聞き入れました。
アレッサンドラは神殿騎士と聖竜セレスディアスの力を借りて、邪竜ノクトルヌスの討伐に成功しました。
しかし、激しい戦いで、みんな魔力が尽き果てました。
そこへやって来たのが、破滅の魔女でした。
破滅の魔女は、聖竜セレスディアスも、大聖女アレッサンドラも、みんな殺してしまいました。
ほんの少しの神殿騎士だけが、なんとか逃げて生き残りました。
破滅の魔女は、ボサボサの黒い髪に黒い眼の、とても醜い女性でした。
闇属性の魔力を持ち、邪竜ノクトルヌスを崇拝していました。
醜い心で世の中の全てを憎み、世界を滅ぼす機会をうかがっていたのです。
聖竜セレスディアスが死んでしまい、魔法の理は大きく乱れてしまいました。
魔法の力はとても弱くなり、世界中が瘴気に覆われました。
しかし、聖魔法で瘴気を浄化していた大聖女はもういません。
思い通りにうまくいって、破滅の魔女は大喜びです。
神殿を破壊しても、もう誰にも止められません。
帝国中の全ての神殿を破壊しました。
皇宮もめちゃくちゃに破壊して、皇帝も皇族もみんな殺しました。
こうして、アールガルダ帝国は、滅亡してしまいました。
破滅の魔女は、破壊の限りを尽くしました。
その後、魔力が尽き果てたところで、生き残りの神殿騎士に倒されました。
破滅の魔女は、死ぬ間際に復活の予言を残しました。
魔女を倒した神殿騎士は、名乗りをあげることもなく姿を消してしまいました。
大聖女アレッサンドラを守れなかった後悔から、栄誉を受け取らなかったのです。
やがて復興が進み、かつての帝国はいくつかの国に分割されました。
これが、現在のアールガルダ大陸にある国々に共通する、建国前のおはなしです。




