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34.決着!!

読んで頂きありがとうございます。

この章から読まれた方は、是非【ユキア・サガ 航海① ネフシュタンの魔片 第一巻 第1章】から読んで頂けますと、幸甚です。

続きの方は★★★からとなります。

 ドクター・ポイズンの手術刀の連続攻撃は、

 ロックが指摘していた以上に厄介でござった。


 薄暗い熱帯林の中でオイラは手こずり、苦戦しているでござる。


 大きさと形の異なる手術刀を、両手で1本ずつ投げつけたり、

 時には右手に2本左手のに3本だったりと

 色々な組み合わせで投撃。


 おまけに凄まじい猛毒が塗布されている。


 オイラは片時も息をつけられない程、

 防戦一方でござったが鍛え上げた忍者の目と

 二刀流剣術とで、猛毒がついていない柄を狙い、

 弾き、叩き落す、時にはかわす。


 何れ弾切れになるでござる。


 それまでは、忍の一文字でござるな。


 遂にドクターの動きが止まった隙を見逃さず、反撃に転じようとした

 その時だった。


 ドクターは逆十字をきって

「堕天神ルキフェル様、私のリベルを届けたまえ」

 もごもご短く魔術のリベルを出現させた。


 加えて背中に背負ったよれよれの黒い鞄から、

 斧と鋸を取り出している。


「我が主堕天神ルキフェル様」

 ドクターはオイラからの攻撃を警戒する素振りもなく

「私を救い、仇なす敵の魂を喰らい、堕天神の翼よ我が武器に

 魔獣の翼を与えたまえ。堕天界の湖水よ、我が武器に

 我が武器に魔獣の毒を与えたまえ」


 オイラはドクターに幻惑されそうでござった。


 オイラの攻撃を気にしてないってことは、

 まだ手術刀は残っているのでござろうか?


 それとも、はったりでござろう?


 オイラは二振りの短剣を握りしめて身構え、迷っていた。


 が、突如名状し難い不吉な感覚に襲われ、後ろの樹に駆け登る。


 ドクターが「ヘルズウィング」と術を唱えると、

 斧と鋸がその手を離れ、ふわりと宙に浮かぶ。


 更に「ヘルズポイズン」術を唱えると

 それぞれに粘りついていてドロドロになったなった黒緑の

 液体が、刃先からぽたぽた滴り落ちている。


――ジュゥーッ!


 という肉が焼けるような音と喜色の悪い匂いがして、

 そこには穴が出来上がっていた。


 それを眼にしてオイラは大慌て。


――まーた毒でどざるかっ! と警戒した。


 ドクターの骨ばった指がオイラを指す。

「はい。あの珍獣を解体しなさい毒斧、毒鋸は、

 回転して毒をまき散らし オイラに襲い掛かった。


 オイラは必死で逃げ回る。


 あの毒を一滴でも喰らえば万事休すでござる。


 そこは腐って崩れ全身に広がってしまうでござろう。


 然さりとてこのまま逃げ合わって許りという訳には

 いかぬでござる。


「兵、裂」急いで印を組み、刀・結とツナゲ三字をきって

「獣遁、猿分身ノ術」術を発動。

 樹飛び回るザザの影から分身が現れ、

 分身の影から分身が現れを繰り返す。


 先頭を飛び跳ねるザザの本体と6体の分身体が

 ドクターを囲い、樹々を跳躍している。


「はい。素晴らしい」ドクターが狂喜した。


「7匹になった!」


 だがその狂喜によって毒斧と毒鋸の制御が乱れ、

 分身体が増えたことで、ドクターの武器は混乱し、

 結果最後に現れた分身体だけを追い始めている。


 最後の出現体は、自ら囮になって戦列から離脱。


 毒斧と毒鋸はその後を追う。


 オイラと分身体は一気にドクターとの距離tpの

 距離を狭めていく。


 ドクターは右手に3本、左手に2本の手術刀を鋭く放つ。


 然れどオイラも分身体もそれをそれぞれかわす。


 同時にオイラは「陣・在」と印を組み刀・結とつなげ一字をきった。


「土遁、土影ノ術!」

  

 術を唱えたオイラは自らの影にスーッと吸い込まれて行く。


 残りの分身体は、再びじりじりとドクターとの距離を

 詰めていく。



 どうやら手術刀は弾切れになった用でござる。


 それ故形勢不利と判断したのでござろう。


 ドクターは両手を挙げ

「はい、この通り降参します。珍獣さん」

 おどおどきょろきょろと分身体を見ているでござる。

 接近戦闘が苦手なのでござろう。


「誰が珍獣でござるかぁーっ!」


 ドクターの足下に伸びる薄い影からオイラは飛び出し、

 魔術のリベルを二振りの短剣で上下左右に切り裂く。


 それは黒緑の泡を吹き出し溶け、崩れ落ち消滅。


 分身体を追い続けていた毒斧と毒鋸も腐敗して損壊。


「幻怪な術を操る珍獣……」

 独魔術医は陶酔しているでござる。

「はい。是非バラバラに解剖したい……」


「させないでござるよーっ!」


 オイラは狂気の滲むドクターを睨みつけ、

 跳躍(ジャンプ)して、短剣を持ったまま放つ強烈な下突き(アッパー)


 到頭ドクターは、口から赤黒い血の混じった

 泡をブクブクと吐き、後目を剥いて倒れた。


 ザザの完勝だったが、ハッと大切なことを思い出し大慌て!


「しまったでござる。

 ネフシュタンの魔片のこと、まだ何も聞いてなかったでござるな。

 あっ、ちょっ、起きるでござるよ!

 まだ寝ちゃ駄目でござるよーっ!」


――緋炎海賊団特攻隊長、ザザ・ヴォラーレ、

 ウルティオー海賊団船医ドクター・ポイズン・グリンヴィールを

 撃破!


 ウルティオー海賊団幹部残り3人。


「おーいっ! 起きるでござるよーっ!

 お願いでござるよーっ!!」


 焦りまくるオイラだった。



 ※※※※※



 ★★★「何故、ガイアを護衛してるんだ?」

 フライは露骨に怪訝な顔をしている。

「あの女はトレジャーハンターだろ?

 海賊を名乗ったお前達と何の関係があるんだ?」


 血塗れのオレに、スライは疑問を投げた。


「クレブリナ海賊団からその女を救ったのは、

 偶然同じ船に乗っていたからという話だった。

 今はどんな理由があるのか教えてくれ」


 夕日に包まれた練兵場にはおれの血の匂いを含む

 涼風が流れ、やけに爽やかさを感じさせる。


 が、夕陽が降り注ぐ城は飾り気もなく寂莫としていた。


「船長、こいつは馬鹿なんすよ。

 べロッソが決めつけると、チャベも鼻で笑う。


「キラは、オレの、大切な、友人だ」

 オレは乱れた呼吸を調えながらゆっくり話した。


「オレは、お前達が持っているという

 ネフシュタンの魔片を奪いに来た。

 お前達に持たせておくと危険この上ない。

 でも、どうやらネフシュタンの魔片の情報は

 がせねただったようだな。

 本当の目的はキラを捕らえることだろ?」


「で、結局この様か」

 フライはpレを見下し嘲笑した。

「今頃気付くとか遅すぎるだろ。

 それに、ネフシュタンの魔片が仮に存在したとして、

 具体的にどんなものかわかってんのか?

 じゃなきゃ奪えないだろ?

 それからよ、俺達が持ってたら危険この上ないだと?

 口にきき方に気をつけろっ!」


 即座にオレは反論する。

「じゃあ言い方をけてやろう。

 平和に暮らしていたアヴィス群島の亜人族の人達を

 強制労働させたり、

 お前達の上官だったマンゾを罠に嵌めて、その新鋭艦を

 海帝に売り渡す連中が、ネフシュタンの魔片を手にしたら、

 悪用するに違いないからだ」



 ※※※※※



 私はは国旗掲揚柱台の裏に自ら出現させたトンネルの陰で、

 ユキアとフライトの話を聞いて愕然ちし、悔悟の情に襲われ、

 唇を噛み締め涙で目が滲んだ。


 その肩でチュチュは静かに目を閉じている。


 私はネフシュタンの魔片について自分自身が

 引っ掛かっていた真実を知った。


 ネフシュタンの魔片取引のの動きが、神聖ロムルス皇国と

 ウルティオー海賊団の間でなかったこと。


 その理由が私を捕らえようとする海帝が仕組んだ罠だったなんて。

 

 ということはユキアが言っていた通りネフシュタンの魔片の情報

 それ自体偽りであったに違いない。


 ユキア達を巻き込んでしまったことを、

 私はどう償えばいいんだろう……。


 私に心魂に後悔と失望をかき混ぜた、大きく深い悲しみが

 広がっていく。


 それは例えられない程、苦い。重い。

 

 私を追う海帝の狙いは何なんだろう?


「ベロッゾの言う通りだぜ」

 フライはさげずんだ目で

「お前は馬鹿だろ?

 オレ達の策に陥って血反吐出して

 まだそんな生意気なことができるのか。

 大したもんだぜ。

 ロックスや仲間達が救ってくれると信じているのか?

 だが、お前を仲間がお前を救いに来ても、

 せいぜいお前をガイアと引き換えにするしかねぇのが

 そこらのガキでもわかることだぜ」


 フライは煙草に火を点けた。

 然もおいしそうに煙をお吐出し話を再開する。


「俺達は予定通りガイアを海帝に引き出す。

 神聖ロムルス皇国とすっぱり手を切り、

 フェリクスも一緒に海帝艦隊の一翼として海賊稼業に励む。

 このアヴィス群島は海帝領土としてオレ達の支配下にく。

 お前等から、領民の亜人族達をオレ達がどう扱おうが、

 お前達に文句言われる筋合いはねぇっ!」


 ★★★私は強い危惧の念を抱く。


 もし海帝がアヴィス群島を支配下に置けば、神聖ロムルス皇国は

 テュッレーニア海に危険な爆弾を抱えることになってしまう。


 私はユキア達緋炎海賊団と海帝艦隊を図らずも対決左折してしまった。


 その責任は私にある。


 その責任を取らなければならない。


 私も命を賭けて!


 振りの話は続いている。


「マンゾの奴も同じだ。奴もオレ達に罠に落ちた。

 お前にとやかく言われる筋合いはない。

 マンゾもお前も敗者だ。

 いいか、一つ教えてやっかトーク聞いとけ。

 敗者には正義を語ることは赦されてねぇ。

 勝者だけに正義を語る資格がある。

 悔しいだろうが……」


「違うっ!」

 凛然としたユキアの叫びがフライの驕慢を斬る。


「正義を語る資格は勝者にも敗者にもない!

 真実の正義を語れるのは、勝者と敗者の間で

 苦しみに耐えている弱者だけだ!!」


 私はユキアの心魂の咆哮に、自らの心魂を揺さぶられ、

 じん……と、目頭が熱くなる。


 その通りだと私は共鳴した。


 弱者にとっては勝者も敗者も強者なのだから。


 私はユキアと出会ったことを、心から神に感謝したい。


 ユキアはこの時代の申し子になると思う。


「お前さ」

 べロッソがユキアを小馬鹿にして

「殴られすぎて頭がイカたんじゃね?」


「どうやらそうらしいな」

 フライは煙草を踏み消し

「こいつは弱者が語った歴史は強者によって、

 自由に書き換えられることを知らないらしい。

 弱者の正義が残っている歴史は、勝者によって

 伝えられてきた歴史だけだ。

 それを正しく呼べるかは別だが」


■第34章まだ続きます。

読んで頂きありがとうございます。

駄作ですが、批評も含め、ご感想を頂けると喜びます!

評価✩✩✩✩✩やブクマをして頂けると更に喜びます!

長い物語ですが、様々な要素で楽しんで頂けるよう努力してます。

これからの物語も是非読んで頂けますように・・・。 m(_ _)m

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