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「……二体、か」
ゲートを背に巨大な森熊が二体、低く唸りながらこちらを睨んでいる。
「いいかい、各パーティで一体ずつ頼む。俺は弓で双方の援護を行う。」
東間が手早く指示し、それに皆が頷き返す。
「よし、時間もない、行くぞ!」
その掛け声に、皆が敵に向けて駆け出す。
1番敏捷値が高い友希が右側の森熊の懐へ滑り込む。
森熊が二足で立ち上がり、爪を振り下ろす。
紙一重で半身でかわし、その勢いのまま回転を加えナイフを一閃。
与えたダメージは浅い。だが、それで十分だ。
「ほら、こっちだ!」
追撃せず、大きく右側に跳んで距離を置く。
森熊の視線が、完全に友希へ向き、友希の方へと走り出す。
もう一体も友希へと動こうとした瞬間、東間が放った矢が熊の足を射抜く。
「そっちには行かせないよ!」
怯んだ隙に、森熊の間合いへと潜り込んだショウコが槍で踏み込む。
「はぁっ!!」
槍が唸り、肉を抉る。
さらにソラタが正面からメイスで、ダイキが横から剣で斬り込む。
「こっちは抑える!行け!」
「お願いします!」
分断、成功。
左側をドミトリオに押さえてもらっている間に、右側の森熊を友希とほのかの二人で相手する。
ほのかが攻撃しやすいように、友希が奥側に回り込んで注意を引く。
そこに、森熊の後ろからほのかが剣で切りつける。
重い斬撃が入る。
確かな手応え。
だが、森熊は倒れずほのかの方へ振り返る。
「……っ!」
振り返りざまに、右前足の強爪がほのかに叩きつけられる。
速い。
盾で受け止める、が。
「ぐっ……!」
そのあまりの重さに、受け止めきれず片膝をつく。
更に掬い上げるように左前足の追撃がほのかを襲う。
盾越しに押さえつけられていて、避けられない。
「ほのか!」
友希が助けようと距離を詰めるが、間に合わない。
その瞬間、東間の放った矢が森熊の肩口に突き刺さる。
わずかに軌道が逸れる。
しかし、逸れながらも左爪がほのかを襲う。
「痛」
森熊の一撃で弾き飛ばされる。
「い……けど、大丈夫!」
が、なんとかこらえ、更に踏み込む。
友希もワイヤーの補助を使い上空に飛び上がる。
森熊がほのかに再度襲いかかろうと駆け出す瞬間、上空から友希が森熊の顔面へ一撃。
ナイフが肉を裂く。
さらにポーチから布を取り出し、離れ際に森熊の顔に投げ掛け視界を奪う。
一瞬、完全な隙ができる。
その布を払い取った瞬間、森熊が見たのは、ほのかの盾だった。
「はぁぁぁ!!」
ほのかが盾で叩き上げ、森熊の顔面が跳ねる。
さらにその勢いのまま剣を振り下ろす。
怯んだ隙に引き戻し、再び剣を突き刺す。
森熊の巨体が崩れ、淡い青い光となって消えていく。
「……っ、はぁ……!」
一体、撃破。
「あと一体!」
ドミトリオの方を振り向く。
まだ戦闘は継続している。
ソラタが防ぎ、ダイキとショウコが隙を見て攻撃を加えているが、決定打には至っていない。
堅実で時間をかければ勝てるだろうが、この状況ではそれを待っている余裕もない。
「くそっ、硬ぇ……!あまり時間もかけられねーってのに!」
「ダイキ、前に出すぎ!」
ダイキが焦りから、前に出て大降りに剣を振り下ろす。
その隙を森熊が見逃さず、ターゲットをダイキに変えて剣を前足で弾き、噛みつこうとする。
「危ない!」
東間が矢を放ち、森熊を怯ます。
剣を弾かれた衝撃で倒れたダイキに、友希がワイヤーを取り付け、ほのかが引っ張り、距離を離す。
「すまねぇ!助かった。」
「いえ、それより森熊を。あたし達も。」
全員で、残る一体に畳みかける。
ドミトリオが抑え、友希と東間が攪乱し、ほのかがダメージを与える。
そして、淡い青い光が弾けた。
「……っ、はぁ……!」
終わった。
「これで、ゲートは解放できましたね。」
「ああ、土屋達に知らせないと。」
「あたしが行きます。」
敏捷が高い友希が立候補する。
友希が行くならとほのかも立候補し、ドミトリオの3人はゲート周辺で待機することに。
森熊戦で減少したHPを回復させ、東間を含めた三人が門へと駆け出す。
遺跡の門の方から、絶え間なく戦闘音が響いている。
まだ終わっていない。
あれだけの物量差だ。
「全員……無事でいてくれ。」
東間の声は、小さく、それでもはっきりほのかと友希の耳に聞こえていた。
前回投稿した話で、累計PVが500を超えました。
ここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございます。
また、ブックマークや評価をしてくださった方々、とても励みになっています。
まったくの素人が趣味で始めた作品ですが、まさかここまで読んでもらえるとは思っていませんでした。
更新は不定期でゆっくりになると思いますが、完結まで書き切るつもりですので、
もしよければ、これからもよろしくお願いします。




