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世界がアップデートされたって? 〜地球に突如現れた迷宮、13年以内に攻略しないと大魔王が攻めてくるらしいです〜  作者: 青井あげは


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 レベル上げ2日目、3日目も同じルートでレベル上げを行ったけど、結局ほのかのレベルは14のまま上がらなかった。


「むぅ~…上がらない…」

「そう簡単にレベルは上がらないって」


 そもそも平日は放課後の少ない時間しか迷宮に入れないから、そこまで経験値を稼げていない。レベルが高いほど上がりにくくなることもあわせて、仕方ないところではあるのだが。


「あとちょっとな気がするのに…」

「はいはい、むくれてないで行くよ。予定の時間に遅れちゃう。」


 そうやってほのかをなだめて、事前の予定通りに野良ゲートから入り塔の近くの村を目指す。


「友希ちゃん、スタンピードって50体くらいだっけ?」

「多くてね。村長のじいさんの話では。」

「…10人なら一人当たり5体ってことだよね。」

「そんな感じだね。でもま、あたしが動きを止めて、ほのかがサクッと倒してくれればイケるでしょ。土屋さん達もいるし。」


 確かに、土屋さん達はほのか達に比べてレベルも上でゲート解放のために一緒に行った時も余裕でモンスターを倒していた。

 そもそも、スタンピードは20~50体くらいという話だから20体くらいの可能性もある。


「うん、何とかなるよね。」

「最悪、無理なら逃げればいいからね。」

「確かに。」


 そんなことを話ながら進むこと3時間程。予定通り村に到着する。


「お、来たか。」


 村の宿で今日の宿泊用の部屋を取りに来たところで、声をかけられた。

 声のする方、宿の食堂を見るとそこには土屋さん達が晩御飯を食べているところだった。


「早いですね」

「あぁ、一応な。今日の朝から入ってる。」

「朝からって、今日は平日ですよ?」


 今日は金曜日、普通の学生や社会人なら日中は迷宮にはこれないはずだが。


「そりゃもちろん、休んだのさ。」


 何がもちろんなのか、当然とばかりに土屋さんが答える。ニヤリ、という良い笑顔付きで。

 ただ、他の大地の騎士団のメンバーはやれやれと言った感じで首を降って否定しているけど。


「朝からいたのは土屋(こいつ)と竹田だけさ。」


 一緒にしないでくれ、という感じで東間さんが補足してくれる。


「で、何か変化とかありました?予兆とか。」

「はっきりとしたものは特に無かったな。ただ、モンスターが少し少なくなっていたくらいか。」

「あー、確かに。」


 気にはならなかったけど、思い返せばさっき私達がこの村に来たときもあまりモンスターには出会わなかった。

 もう少し出てくれていれば、レベルが上がったかもしれなのに。


「何にしても今日はとりあえず休んで、明日予定通り塔方面に出てスタンピードを待ち受けようか。」


 それから、宿の部屋をとり晩御飯を食べたり、合流したドミトリオの人達と合わせて明日の事を話したりして、今日を終えた。


 翌日は朝からいくつかお店を回ってアイテム等を準備し、待ち合わせ場所の村の出口に向かう。


「うぅ~、緊張するね、友希ちゃん。」

「そう?まぁ集団戦はあまり経験無いけど大丈夫でしょ。あたしが翻弄してほのかがしっかり数を減らしてくれれば余裕で勝てるって。」

「そう簡単に行くかなぁ。」


 胸の奥に、引っかかるものが残る。

 実際、他の人と一緒に戦うのは塔での戦いでしか経験が無い。だがほのかはそっちよりも大量の敵相手という方が気になって仕方なかった。一抹の不安を覚えながらも、待ち合わせ場所に到着した。


「よし、それじゃ揃ったな。それじゃあ行くか。」


 土屋の号令で村から塔方面に進む。

 作戦としては、中央に大地の騎士団、左側にドミトリオ、右側に希望の花(仮)に配置、スキル鷹の目を持つ土屋さんが俯瞰視点でモンスターの動向を逐次監視し指揮を取り、各パーティーで数を減らしていく、と言うものだ。

 ちなみに、ボスが出てきたら大地の騎士団が受け持ってくれるそうだ。


「さて、この辺りでいいか。今日明日はこの辺りで待機し、モンスターを迎え撃つ。」


 待機場所に選んだのは木々が少なく開けた場所、遠くには木々が密集した場所もあるが、この辺り一帯なら視界がとれてモンスターが来ても接敵前に見つけられる。

 邪魔になる木々も少なく戦いやすいという判断からだ。

 しばらくは塔の方向を警戒しつつ各々自由に行動して待つことになる。


 程なくして、丸太に腰かけてた土屋さんが立ち上がり声をあげる。


「来たな。正面、三十……いや、四十弱ってとこだな」


 土屋の言う方向に目を向ければ、遠くの木々の切れ目から集団が駆け出し、地を駆ける音に混じり、低い唸り声が耳に届く。


「森狼に森熊、蜘蛛もいるな。」

「何だあのでかい森熊は。」


 スタンピードのモンスターはこの辺に出るモンスターだけのようだが、一体物凄くでかい森熊が混じっている。おそらくこの一団のボスだろう。


「予定通り、各自配置についてくれ!」


 土屋の指示に従い、三つのパーティーが素早く配置につき、友希が芳香庭園のローズマリーを展開する。

 配置は中央に大地の騎士団、左にドミトリオ、そして右側にほのか達。

 そうこうしてる間にもモンスターが迫ってくる。


「それじゃ、いっちょやりますか!」

「「「あいさ~!」」」


 土屋の掛け声に大地の騎士団がモンスターに向かって駆け出す。

 それを見て、ドミトリオの人達も駆け出す。


「あたし達もいくよ、ほのか」

「うん!」


 友希が駆け出すと同時に手からワイヤーを出し、上空に飛び上がる。更にもう一本、斜め前方に出し振り子の要領で加速しモンスターの群れに突っ込んでいく。

 先頭を走っていた森狼をすれ違いざまにナイフで切りつける。

 そのまま勢いを落とさず、後にいた蜘蛛を蹴りつけることでブレーキをかける。

 その反動で空中で一瞬動きが止まった友希に森熊の強爪が襲いかかるが、ワイヤーを更に出し回転して回避しつつ顔に向けてナイフを投げ牽制する。

 更に前方の別の森熊と森狼にワイヤーを取り付け、引っ張り、その反動で加速して最前方にいた森狼を蹴り出す。


「まずは、一体!」


 蹴り出された森狼の前方には、詰めてきたほのかが待ち受けていた。

 ほのかは左手の盾で森狼を打ち上げ、そのままの流れで右手の剣を振り下ろし、一閃で断ち切る。


 青い光が弾け、魔晶石とドロップアイテムが地面に落ちた。


「次!」

「任せて!」


 友希のワイヤーをうまく使い、確実にほのかが一体と対峙するように立ち回り、ほのかが確実に一体ずつ屠っていく。


 一体、また一体と光になって消えていく。


 視界の端で、土屋さん達が別の一団を押さえているのが見えた。土屋さんと竹田さんが前で押さえ、他のメンバーがそれを倒していく。

 その動きには無駄がない。まるで訓練された部隊みたいだった。

 東間さんに至っては弓矢で正面のモンスターを射抜きつつ、左右の他のパーティーのフォローまでしている。


「右、二体、回り込んでいる!」


 土屋の指示がとぶ。


「了解!」


 友希が振り向きざまにワイヤーを撃ち、飛び出してきた森狼を空中で引っかけ転ばす。

 その隙を見逃さず、ほのかの勢いの乗った剣が森狼に振り下ろされた。

 青い光が弾けドロップを落とす。


「よし!もう一体!」


 回り込んできたもう一体の森狼を倒そうと振り向いた瞬間、矢が飛んできて森狼の眉間を貫く。


 「すご……これ、いけるかも。」


 思わず声が出る。

 友希ちゃんの芳香庭園の効果か、頭がクリアになってる。

 動きがはっきり分かって、体もよく動いた。


 気づけば、最初に見えていた群れは半分以上が消えていた。


「いいぞ、そのまま押し切れ!」


 土屋の声に背中を押されるように、全体が更に前に出てモンスターを屠っていく。


 大半を倒したあと、中央の残った一際大きな森熊が咆哮を上げて突っ込んでくるが、すかさず竹田が正面に出て盾で受け止める。動きが止まったところに土屋の槍や他の大地の騎士団の攻撃が振るわれ、体勢が崩れたところに東間の放った矢が森熊の顔に突き刺さる。

 仰け反ったところに、駄目押しとばかりに土屋の槍が喉元を穿つ。

 光が弾け、静寂が戻った。


「……終わり、か」


 誰かの呟きが、やけに大きく響いた。

 周囲を見渡す。


 さっきまで押し寄せていたモンスターの姿はもう無く、地面には、散らばるドロップだけが残っている。


 呼吸を整えながら、ほのかは剣を下ろした。


「……いけたね」

「でしょ?楽勝だって!」


 友希が何でもないような感じで軽く笑い、それを見てほのかの肩の力が抜ける。

 楽勝、なんて言うわりに、二人ともかなり削られていた。ほのかは三割ほど、友希は六割ほど。

 決して楽勝ではなかったのだが、何とも友希らしい。


「……な?」


 土屋の声が、わずかに震えた。


「……嘘、だろ」


 鷹の目で周囲の安全確認をしていた土屋から驚愕の声が漏れた。

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