モンスター
お立ち寄りありがとうございます。
今回少しばかり、雰囲気が変わります。
では…
車から降り立った人物は、今この国で最も権力のある政党、国民平和党の幹部、小沢代議士である。
何故、政界の大物が《のほほ~ん》とした小さな村なんぞにわざわざやって来たのか…
理由の一つとして、この村が小沢氏の生まれ故郷と言う事も挙げられる。
しかし、小沢氏の本当の狙いは、ただの帰省ではない。
氏の傍らに立つ第一秘書の鞄には、この大物代議士の思惑と欲望の全てが詰め込まれている。
実際、革製の鞄の留め金は、今にも弾け飛びそうな程限界ギリギリな位置でどうにか止まっている。
小沢氏一行は、大幅に遅れた事を詫びるでもなく、出迎えた村長と幸薄女を一瞥すると、さっさと役場内へと入って行った。
村長と幸薄女は、下げていた頭を上げると顔を合わせて溜め息をつき、ご一行をもてなす為に後について行った。
この日を境に、この村は大きく変わってしまう。
小沢氏は、首都圏と他の大都市を繋ぐ、高速道路建設とそれに伴う土地開発計画案を、村長を始めとする気のいい村民達に提案してきたのだった。
このままではさほど遠くない未来、廃村という現状のこの村にとって、いかに莫大な利益と人口の増加を及ぼすかを切々と唱えた。
それは、見事な口上であった。
しかし、そのプロジェクトが及ぼす利益は、ただ一つこの村の為にではなく、小沢氏のこれからの政治家としての地位を更に大きく偉大な物とし、
そして勿論、一番大事な小沢氏個人に莫大な利益を産み出す物であった。
人を丸め込み己の欲望の為に人を動かす。
まさに、政治家という名のモンスターと言える。
村民は皆、穏やかな性格の為にあまり気の進まないながらも賛成し、小沢氏の思惑道理全て事が運ぶ事となった。
極一部の反対派もいたが、相手にされなかった。
さて、小沢氏があの日やって来た時、氏は秘書以外の者も一緒に連れて来ていた。
村役場に到着した時、居なかったその者は、役場に向かう途中の小沢氏の生家に下ろされていた。
小沢誠二
小沢氏の1人息子である。誠二は、その日から古くとも立派な父親の生家で、先に来ていた執事と家政婦数名と一緒に暮らし始めた。まだ、9歳になったばかりの小学3年生で、まだまだ両親に甘えたい年頃の誠二が何故、家族と離れて生活する事になったのか…。
小沢氏は、息子に自分の仕事振りを見せてやりたい。
自然に恵まれた土地で育てば豊かな心が育まれ、親と離れて暮らしていても将来、自分の後継者として、逞しく成長出来るだろう。
と人々に語っていたが、実際のところ、村民の前で開発計画案を演説した日以来、小沢氏がこの村を度々訪れる筈もなく、そんな小沢氏に対して村民から不満が出ない様にカモフラージュとして、誠二をこの地に置いただけの事だった。
読んでくださいました皆様、ありがとうございます。
筋肉痛が治りませぬ。
ふて寝をしてたのに…治りませんでした。
体力の限界です。
今回はここまでっ!
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