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第20章

「二人とも、けっこう形になってきてるじゃん」

「あ……タクマ。あんまり私に近づいたら、その、舞がすごく怒るよ」

「野球のこと教えるんだから大丈夫だって。心配しないで、蘭ちゃんも聞いててな。ゴロを捕る時はあらかじめ低い位置にグラブを下げておいて、そこから掬うように手のひらを合わせてあげればいいんだ。ちょっと転がしてみて。下から、こんな感じ」

「すごい。グラーヴはめてないのに」

「ボールをグラブに入れるって言うより、その中の手で捕る意識を持ってたほうがいいよ。特にゴロはね。じゃあ二人でやってみて。投げるのは、ちゃんと捕れた後ゆっくりでいいから」


 リズは何とかなってきた。ただ蘭ちゃんが難しい。つい焦ってグラブを早く上げてしまう。トンネルする度に耳まで真っ赤にしてボールを追いかける蘭ちゃんは可愛いし速いんだけど、このままだと中堅は長谷川に交代か。


「蘭ちゃん、大丈夫。次はもう少し、ボールが来るまで落ち着いて待ってみよう」

「あ、あの」

「ん?どした?」

「すみません。私だけ全然成長できてないし……なんか、すみません」

「何も焦らなくていいよ。まだ二回目なんだし、それでも前回よりずっと上手くなってるよ」

「ほ、ほんとですか?」

「うん。一つ一つでいいから、着実にできるようになっていこう。その脚があるんだから、捕ると投げるさえできれば劇的に上手くなるって」

「あ、ありがちゅ……ござましゅっ」


 たぶんいつものことなんだろうけど、噛みすぎ。


 ノックに移る。遊撃と中堅に集まり、内野は前田で外野は姉がお手本。


 前田のゴロ捌きは芸術的で、捕ると投げるの空隙がない。捕球姿勢がそのまま送球動作に繋がっている。


 ただ、見るぶんには素晴らしいが、いざ口を開いて他人に指示するのを見るとぶっきらぼうすぎて、喧嘩を売っているのかと思うほどだ。その度に僕がフォローしてるつもりではあるけど、みんな内心いらいらしてるだろうな。


 かと言って姉も動作は奇麗だけど、天才肌で表現が擬音ばかり。


「たたたっと行って、正面やや斜めからぱっと入って、そのまま下からぱすっ、あとは全身でしゅばって。ほら、みんなもやってみ」できるかよ。


 でも今日はみんなの集中力が違う。長谷川や前田あたりが鬼の形相で練習してるし、みんなそれにつられて頑張っている。これなら、何とかチームになりそうだ。

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