表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/113

ドラムの屋敷にて 5


時間を少し戻す。

昨晩、その圧倒的な迫力の下、ヒノク、ベス、悪魔の三人を従えたギクリは全員を前にして一つ相談をした。


ギクリの相談はノイエとの距離感であった。

目覚めてから、ノイエにどうにも避けられているようにギクリには感じられた。


実際には確かに恐れられていたのだが、マイナスの印象だけをノイエは抱いていたわけではない。

ニックと共にいたいという想い、強い愛の告白を素直に伝えてきたギクリに憧れめいた感情も持っていた。


しかし、ノイエの想いとは裏腹に、ギクリは強く後悔していた。


急ぎすぎたのだと。

初対面の人から急に、“貴方のお祖父さんをずっと好きだったの、これから一緒の家族になりましょ!”なんて言われてどう考えるだろうか?


きっと、警戒されている。いや、むしろ敵視されている。

きっと、ノイエもこんな素敵なニックを大好きなはずだ。それを奪おうとする泥棒女だと嫌悪しているかもしれない。


何とか、扉ごしに話をしてもノイエはこちらからの問いに心を閉ざしていた。


私はニックと一緒にいたい。共にいて幸せを感じたい。

ノイエはニックのただ一人の孫娘、私の家族なる子供だ。

この子にも、幸せを感じて共にいてほしい。


どうすればいいのか分からずに、それでも次の約束を取り付けて、ギクリはヒノクに泣きついた。



「つまり、お義姉さんはノイエになついてほしいわけね。」

「うん、ヒノちゃんみたいにもっと家族のように見てほしい。」

「ノイエは、あの子は人見知りするからね。もう少し待ったら?いまは、ほら、いろいろあってそんな余裕ないでしょ?」

「分かってるわよ。ノイエちゃんが落ち込んでいるのは、でも、いえ、だから、私は家族としてあの子をね、」

「あ、はい!はい!ヒーちゃん、私ももっとノイエちゃんと仲良くなりたい。で~す。」

「…、ベス姉、ごめんなさい。今はちょっと真面目に話すわ。悪魔ちゃん、相手してあげて?」

「あ、はい。あの、こちらにおつまみとお酒ありますからどうぞ」

「え~、せっかく一緒に考えようていうのに!い~だ!悪魔ちゃんほらお姉~さんと飲みましょ!」

「」

「お姉さん。」

「はい。」


悪魔とベスは少し離れた場所に移動する。さすがに、これ以上茶化すのは失礼すぎる。

それでも、興味深い話題を聞き逃さないように声が聞き取れる程度に離れて、乾杯と合図を送る。


「はぁ、で、ギクリ姉、家族としてノイエとどうしたいの?」

「…、それは、そのね、ヒノちゃん、私ね、」

「はい、はい、聞いてますから、ゆっくり、落ち着いて話して、」

「ノイエちゃんにお母さんと呼んでほしいの。」


部屋にいた一同が黙る。

どういった話の流れだったかのか、もう一度思い出そうと頭の中で考える。


「ニックの奥さんになって、ノイエちゃんを娘としてそばに置いてね、」

「えっと、ごめん、お義姉さん」

「なに?」

「兄さんの奥さんだよね?」

「?そうよ。」

「なら、お婆さんじゃないの?」

「?」

「いや、分かんないって顔しないで!私より年上でしょ!」

「いいじゃない、私子供いないし、産んだことないのにお婆さんて言われたくないもん!」

「いや、いやいや、もんって、さすがにそれは、」

「いいの!とにかく、お母さんって呼んでほしいの!ママでもいいわ!」

「いや、さすがに、いきなりそんなの無理よ。」

「そうよ、ヒノちゃん。きっかけを作りましょ!」

「はい?」

「今から、ノイエちゃんのところに行くわよ!」

「なんで、どうして?」

「ヒノちゃんが悩みを聞いて、私が優しく抱きしめる。ほら、これで解決するわ!」

「いや、無理だと思うけど?」

「さあ、行きましょ!ノイエちゃんが寝る前に!」


いろいろぶっ飛んだ会話を終わらせて、二人がノイエの部屋に向かうと残された。悪魔とベスはその光景をただ眺めていた。


「ねえ、悪魔ちゃん?」

「はい」

「ギクリちゃんのあれって本気?」

「わかりません。全くわかりません。あの人って、魔術もそうですけど不器用すぎるんですよねぇ、頭いいはずなんですけど、」

「…そう。うふふ、じゃあね、悪魔ちゃん。行くわよ!」

「?」


ギクリとヒノクが満足そうにノイエの部屋から離れるの確認して、悪魔とベスは物陰から姿を現した。


「止めません?」

「ダメ!ノーちゃん?起きてる?部屋はいるね?」


ノイエの返事も聞かずに、悪魔が部屋の鍵を開ける魔術を使い、ベスはノイエの部屋に入る。


「え?」

「は~い。こんばんわ。ノイエちゃん」

「あ、あの、鍵をかけていたはずですが、貴女は」

「うふふ、私はここの主よ。」

「あ、」


悪魔は自分がやったと言いたかったが押し黙る。ノイエも都合のいいように勘違いしてくれたみたいなので、ベスにお任せる。


「ノイエちゃん、ノイちゃん、う~ん、ノーちゃん?うん、ノーちゃん」

「はい?」

「今から、ノーちゃんて呼んでもいいかしら?」

「え、あ、あの、ベス様?ベス様ですよね?」

「ノーちゃん、明日早起きして、一緒に畑に行きましょ!」

「は?あ、え、えっと、」

「じゃあ、ほら、もう寝ないとだめね。ほら、来なさい。」

「あ、あの、ベス様ですよね?あ、あの、畑って?」

「…、貴女、今悩んでいることあるでしょ?」

「!?」

「もしかしたら、明日答えが見つかるかもしれないわよ?」

「ほ、ほんとうですか!?」

「じゃあ、一緒に寝ましょ。ほら、ちょっと狭いけどいけるでしょ。」

「、あ、あの、いいんですか?」

「いいのよ。じゃあ、悪魔ちゃん見張っていてね。」

「へーい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ