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【第9話】闇の貴族との遭遇 前編

ハンター生活が決まったのは良いけど、要するにギルドで依頼(雑用含む)を受けるだけだしね。

因みに、ランクなんかはよくあるF→E→D→C→B→A→越えられない壁→S→Z(X)、Xランクは帝用のランクだそうだ。

Zランクで英雄レベル、下手すれば帝より強い。

大抵の人はC、どれだけ強くてもBかAランク辺りで引退する。

そんな中で、創設時から居るとは言え、片手間だけでZランクあるヴィーとサクラの実力は推してはかるべし。


そんなZランクな二人は、デートも兼ねての狂獣退治を選んで出発。

ルゥも何気にSランクだから二人が暴走しない様に監視する為に付いていった。


残ったのは僕とティエサちゃんとお姉ちゃん。

…あれ?

こ れ っ て 俗 に 言 う ツ ッ コ ミ 不 在 じ ゃ な い ?;


ティエサちゃんは常識人とは言え、ツッコミスキルは多分無いし、僕はひねくれ者、お姉ちゃんはブラシスコン。

…頑張れティエサちゃん…(震え声)


因みに、登録したばかりの僕のランクは当然Fで、

ティエサちゃんはほぼ登録だけとは言えDランク(定期的な魔界産魔法薬出荷による貢献でランクアップしたらしい、魔姫ブランドは安心安全だとか)。

お姉ちゃんは…何とBだった。

どうやらキュアポーション・Nを人間用に調整した物の功績が凄かったらしい。

それでもBランクなんだから、いかにSランク以降が人外魔境なのかがお分かりいただけただろうか?

…ってヴィー(ニャルラトホテプ)とサクラ(桜火龍)とルゥ(ショゴス)は元々人外じゃん…;




「さて~ゆぅちゃんのハジメテはどれにしましょ~ね~?」


「ハジメテって…何か別の意味に聞こえるけど!?;」


「あはは…;

そうですねぇ…Fランクだとそんなに大した依頼は無いですから。

…パーティーで受けるなら薬草採取を始めとした素材集め系…位ですね。」


「まぁ…本職のメイドさんと行くお使いとか…姫様と行く孤児院の1日シスター(今回は女性限定らしい)とかも面白そうだけどね。」


「…ユウキは子供が好きなんですか?」


「うーん…親戚の子を預かったりとかはしてたかな。

でも、パーソナリティーになるほどじゃなかったみたい。」


「いえ…パーソナリティーだけがその人の全てではありませんからね…?;」


「そうなの!?;」



どうやらパーソナリティーだけに囚われるのもダメな様で…;

そう言われればステラさんは過激な面があるのにパーソナリティーには無かったしね…;


―この世界の人間はキャラクター何かじゃない―


ステラさんならきっとそう言って怒るのだろうな…;


…と、お姉ちゃんは採取系の依頼を見て呟く…



「…でも~素材集めなら~ぜ~んぶ私の~手持ちで~足りちゃうのよね~…。」


「あの…それは手持ちを無視して探せば良いのでは…?;」


「…な~るほど~!

流石~魔姫様ね~♪」


「いえ…少し考えれば分かりませんか…?;」



…おお…。

ティエサちゃん、案外ツッコミ出来てる…?

って、常識人が基本的な訂正やツッコミが出来なかったら常識人じゃ無いよね…;




「じゃあこのゲッドクソーの採取で…


「ついでに薬草採取とキーチゴ採取も受けましょう。

この基本的な採取クエスト3つを完了させれば一先ずEランクです。

そしたら下位討伐クエストも受けれる様になります。」


「じゃあお姉ちゃんは受注をしてくるから~二人は待っててね~?」


「ありがと、お姉ちゃん!」


「~♪」



お姉ちゃんが受け付けに向かった後、僕はクエストボードにある1日シスター募集のクエストを見ていた。

孤児院か…そう言えば前世で…雪華の恋人の敦《あつし》さんは孤児…だったっけ…。

何時もクールで、優しくて…あの人なら、男でも信じることができたんだよなぁ…。



「うーん…ねぇねぇ、採取クエストが終わったらやっぱり孤児院のクエストも受けて良い?

こう言うのって何時も人手不足だよね。」


「…ユウキはやっぱり子供が好きなんですね?」


「うん、それもあるよ。

だってクソ兄貴より1000倍マシだし。

それに何故か僕は子供に好かれ―

Σはっ!?まさかティエサちゃんがすぐに僕になついたのも―

「わたしは一応120歳ですけど…?」



ティエサちゃんがジト目で僕を睨んでくる…うん。

可愛いだけだねっ!!

だから僕は冗談半分にかえす。



「ダークエルフの120歳は人間で言う所の12歳と一緒でしょ?」


「そんな単純な話じゃありませんよ?

わたしの場合、見た目が10歳当時で止まっているだけで、本来は20歳までなら人間とほぼ同じ様に成長するものですからっ!!」


「なるほどなぁ~。」


「なんですか、その気の抜けた返事は。

…まさかユウキ…知っててわざと聞いてませんか…?」


「知識としてはあるよ、但し、世界によってエルフやダークエルフの身体の成長速度は違うみたいだからね。」



これは嘘じゃない。

他の世界(物語)によっては、エルフの成長速度が人間の1/10な世界もある。

見た目の成長が極端に遅い世界もある。

エルフは何も無い空間で、最初から成人で誕生する…とかだったりもするね。


そんな僕らを見るお姉ちゃんは何だか楽しそうに微笑んでいる。

と言うか何時の間に戻ってきたの…?;



「あらあら~仲が良いわね~二人共~。」


「いや~僕と姫様の仲ですから~♪」


「仲が良いのは否定しませんが、ユウキのその態度にはムカつきます。

わたしだって!女なんですからねっ!」



そう言ってぷくっと頬を膨らますティエサちゃん。

うんゴメン。

ティエサちゃんのその見た目や素振りだとやっぱり…

子 供 が 背 伸 び し て 大 人 ぶ っ て る 様 に し か 見 え な い !!



「…もう良いですよ…。

どーせわたしはお父様に成長を止められた、永遠の 10歳児なんですからね~っ!!」


「ありゃりゃ…



僕がそんな微笑ましげな顔をしているのに気付いたティエサちゃんはそっぽを向いてしまった…

ちょっとやり過ぎちゃったかな…?;



「申し訳ありません姫様。

では、クエストに参りましょうか。」


「ひゃうっ!?///」


「あらあら~♪」



僕はティエサちゃんをお詫びを兼ねた横抱き…所謂“お姫様抱っこ”にして指定された森へ向かった―













―ふぅっ…こんな所かな…?」


「結構~あっさり~終わったわね~。」


「まぁ低級の薬草と普通に出回っている木の実ですからね。」



因みに、キーチゴの実はまんま木苺な見た目だった。

味 は 凄 く 酸 っ ぱ く て 苦 か っ た け ど ね 。

どうやらこのキーチゴの実は、ジャムにしたら苦みがコクになって凄く美味しいらしい。

…木苺のジャムか…。

久しぶりにクッキー、焼いてみようかな…?


ついでにジャムにする分もボックスにしまって、

さぁ街へ帰ろうか、となったその時…!




『GYAOOOO!!』


『―。』


『GUGAAAA!!』




「は?」

「ふぇ?」

「あら~?」



僕達は遠くの方で大型の魔物(?)と誰かが戦う様な声と音を聞いた。



「…今の声…もしかして大型の魔物…?」



…と、ティエサちゃんが目をつむり、すぐに目を開いた。



「…。

魔力を感知してみました。

そうですね、この魔力は…『狂獣:ストームタイガー』かと。」


「ストームタイガー…?」



おや?

それはタイガー戦車の事かな??

冗談はさておき、そいつは一体なんぞや?

…と、何故か眼鏡をかけたお姉ちゃんが説明してくれた。



「は~い!

じゃ~ストームタイガーについて~お姉ちゃんが教えるね~?」


「お願いします。」


「こほん。

…ストームタイガーとは、黒色の毛を持つ大型の魔獣です。

系統はウルフ系ですが、その名の通り虎の様な頭を持ち、尻尾にも刃が生えています。

性格はとても狂暴かつ狡猾、近距離では爪や体当たり、尻尾の刃での斬撃を、遠距離からは尻尾に付いた刃を飛ばしたり、風系の魔弾を練り上げて発射する為、とても厄介です。

この狂獣が出現した場合、王国の戦力に換算して、特務騎士4名以上での討伐となります。

ギルドで例えればB~Aランクの冒険者4名以上です。

滅多に現れる事は無いですが、一度現れれば1日で中規模の街が滅びます。

因みに、我等が姫様の戦力であればヴィクトル様一人か龍形体のサクラ様一人で討伐可能ですね。

因みに、現在この森にはヴィクトル様もサクラ様も居られません。」


「…やっぱりヴィーはチートなんだね…;

後、眼鏡をかけたお姉ちゃんも可愛いよ!」


「ありがとうございます。」




そもそも、狂獣対邪神or龍ならその結果は納得だけどさ…;

それはともかく、戦いに行くか無視するか…それが問題だ。

正直、今の僕じゃあ足手まといだよね…。


…と言うか、お姉ちゃんの雰囲気が何か違う…?

こう…凛とした雰囲気に…

なるほど…これがメイド長の時の『ノエルさん』なんだ。



「それでは姫様、参りましょうか?」


「ええ、そんな狂獣は放っては置けませんし…それに、一緒に感知した魔力に知り合いが…と言うか、今はその方達が戦っています。」


「わぉっ!?;

因みに、誰?」


「…闇帝《やみてい》と治癒帝《エンジェル》です。」


「治癒帝《エンジェル》!?;

なにそのジャンルッ!!;」


「ご説明致しましょう。」


「知っているのかい!?ノエルさん!」


「勿論です。

私を誰とお思いですかユウキ様。」


「僕の自慢の姉!!」


「…ありがとうございます///

ユウキ様も私の大切な妹ですよ。

では、ご説明を。

治癒帝とは、その名が示す通り治癒魔法に特化した帝です。

呼び名が『ナイチンゲール』では無く『エンジェル』なのは、男性の治癒帝も存在するからです。

因みに、今代の治癒帝がまさに男性になります。

ステラ様の弟君ですね。

治癒帝は主に治癒魔法が苦手な闇帝と行動している事が多いです。

…理由はそれだけではございませんが。」


「なるほどなぁ~。」


と言うか、リアさんが『白衣の天使リアちゃん』って呼ばれてるのは治癒帝《エンジェル》だからなのか…納得。

…つまりそれは帝としての名前がほぼ無意味じゃん!!;

…と、ここでティエサちゃんが割り込む。



「あ、因みに闇帝(♂)と治癒帝(♂)は夫婦ですよ。

旦那は闇の貴族の方なのです。

ステラがシナリオをねじ曲げた結果ですね。」


「む し ろ そ っ ち が 理 由 じ ゃ な い の !?;」



しかも薔薇カップルだった!!;

僕の周りは同姓カップルしか居ないのか!?;

あ…当然自分も含めるよ?

け ど 男 は い ら な い 。



「…ねぇ、二人共帝なら助けにいかなくて良くない?

きっと依頼を受けて討伐してるんだよ。」


「この人でなしっ!!」


「姫様の友達を助けにいかないなんて、私は悲しいですよ。」


「Σええっ!?;

だってギルド最強の称号を持った帝だよ!?;

それに二人共僕の男嫌いは知ってるでしょ!?」


「…こ の 人 で な し 。」


「見損ないました、ユウキ様。」


「…男は死ねば良いと思うよ?

第一、僕には関係無いし。」


「…最低ですね。」


「…姫様、こうなったらユウキ様に“アレ”やります。」


「構いません、やっちゃって下さい。」


「…?」



“アレ”?

…と、眼鏡を外したノエルさんが、僕を抱き締めてきた。

…こ れ は ま さ か ?



「…ゆぅちゃ~ん♪

お姉ちゃんに~従うよね~?」


「…。」



あ…やっぱり…甘えん…坊…












うん、ユウキが只の最低な駄々っ子だね。

大人気ない………

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