第5話『朝、二度寝。』
「うんっ……」
9月25日、日曜日。
ゆっくりと目を覚ますと、薄暗い中で見慣れない天井が見える。一瞬、ここはどこなんだろうって思ったけど……あおいちゃんの部屋だ。お泊まりをしたり、旅行に行ったりしたときに味わうこの感覚が私は結構好きだ。あと、こういう感覚を自宅から2件隣のあおいちゃんの家で体験するのはちょっと不思議な感じがした。
今は何時だろう? そう思って部屋の中にある時計を見ると……今は午前6時半過ぎか。昨日、日付が変わってからみんなでパジャマトークをしてから寝たけど、結構早く目が覚めたなぁ。こういうお泊まりや旅行で早く目を覚ますことはままある。
寝息が聞こえるけど、みんなまだ寝ているのかな。誰か起きている子はいるかな。
まずは隣の布団で寝ている理沙ちゃんを見てみよう。そう思って体を理沙ちゃんの方に向ける。
「すぅ……」
理沙ちゃんは私の方を向いてぐっすりと眠っていた。寝顔がとても可愛い。
布団から出てベッドの方を見ると……あおいちゃんと美里ちゃんもまだ寝ている。あおいちゃんは美里ちゃんの方を向いて、美里ちゃんを抱きしめている体勢だ。2人とも可愛いなぁ。
そういえば、夏休みのお泊まり女子会でも、あおいちゃんは布団で隣同士に寝ていた理沙ちゃんのことを抱きしめていたっけ。
「写真、撮ろうかな」
夏休みのお泊まり女子会では、寝ていたあおいちゃんと理沙ちゃんのことをスマホで撮ったし。
私は枕元に置いてあるスマホを手に取り、布団で寝ている理沙ちゃんと、ベッドで寝ているあおいちゃんと理沙ちゃんのことを撮影した。……ふふっ、今回もみんなの可愛い寝姿を撮ることができて満足。早く起きられて良かった。
「……そういえば、今日ってリョウ君はジョギングするのかな」
ゴールデンウィーク前の頃から、リョウ君は休日を中心に朝にジョギングをするのを日課にしているから。
リョウ君の家の方にある窓のカーテンを少し開けて、外の様子を見る。今日もよく晴れているなぁ。
リョウ君の家の方を見ると……ジョギングウェア姿のリョウ君が家の前で体を伸ばしていた。かっこいいなぁ。
ジョギングを日課にしてから数ヶ月ほど経っているから、リョウ君の体は全身に程良く筋肉がついているんだよね。触ったり、抱きしめたりすると固さも感じられて。そこがいいなって思えて。……リョウ君の裸を想像したら体が熱くなってきた。
それからすぐに、リョウ君はジョギングを始め、あおいちゃんの家の前を通り過ぎていった。
「見られて良かった」
朝からリョウ君を見られて幸せだな。この時間に目を覚ますことができて良かった。
「お手洗いに行ったら、もう一眠りしようかな」
まだ、朝の6時半だし。学校のある平日だったらこのまま起きるけど、今日は休日だしね。それに、リョウ君の家にお邪魔するのは午前10時頃だから、まだまだ時間があるし。
お手洗いに行くために、私はあおいちゃんの部屋を出る。……家の中はとても静かだ。休日のこの時間だと、麻美さんと聡さんもまだ寝ているのかな。
あおいちゃんの部屋と同じ2階にあるお手洗いで用を足して、あおいちゃんの部屋に戻る。すると、
「愛実さん、おはよう」
美里ちゃんが起きていた。ただ、部屋を出る前と同じく、あおいちゃんに抱かれている状態だ。
「おはよう、美里ちゃん」
「目を覚ましたら愛実さんがいないからどうしたのかと思ったけど、水の流れる音が聞こえてきたからお手洗いに行っていたのね」
「うん。ついさっき起きて。まだ朝早いし二度寝しようかなと思って。その前にお手洗いに行っていたの」
「そういうことだったのね」
美里ちゃんは優しさも感じられる落ち着いた笑顔でそう言った。目を覚まして友達の姿がなかったら、何かあったのかって思っちゃうよね。
「あと、目を覚ましたら、横からあおいさんに抱きしめられていてちょっと驚いたわ。昨日、寝るときは仰向けの状態だったから。あおいさんってこういう寝相なのかしら」
「そうかもしれない。夏休みのお泊まり女子会では、隣同士で布団に寝た理沙ちゃんのことを抱きしめていたから」
「そうなのね」
ふふっ、と美里ちゃんは声に出して笑う。
「力弥君とお泊まりするときは、私が力弥君の腕や体を抱きしめて寝ることが多いけれど……こうして女の子に抱きしめられるのもいいわね。あおいさんは胸がそれなりにあるから柔らかいし、いい匂いがするし、温かいから。とても気持ちいいわ」
ニコッとした笑顔でそう言う美里ちゃん。
「良かったね、美里ちゃん」
「ええ。まだ朝早い時間だし、あおいさんに抱きしめられるのが気持ちいいから私も二度寝しようかしら。いい夢が見られそう」
「見られるといいね」
「ええ。おやすみ、愛実さん」
「おやすみなさい、美里ちゃん」
私は美里ちゃんにそう言い、さっきまで寝ていた布団に入る。朝も涼しいから布団の中に温かさがとても心地いい。あと、すぐ近くから定期的に聞こえてくる理沙ちゃんの可愛らしい寝息に癒やされる。
目を瞑ると……段々眠気が襲ってきた。これは気持ち良く二度寝ができそう。そう思いながら再び眠りに落ちていった。
明日公開のエピローグでこの特別編は完結します。
最後までよろしくお願いします。




