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23・感謝

 だとすれば、説明がつく。

 ストーカークラブは、もっとも近くの獲物に付きまとっていく。

 俺たちのいる6時方向の大通りに隣接する、5時か7時の小路からおびき寄せれば、誘導は可能だ。

 だが――

「いまのリュウズに無敵はない! 囮なんで危険すぎる!!」

「だーかーら、もう心配はないってば……」

 呆れるように言った彼女の真意は、図らずも直後にわかった。

「そっちじゃありませーん!!」

「くっそ、しまったァ!!」

 背後でけたたましく響いた声に振り向くと、そこにはリュウズと、例のヤンキー少年のプレイヤーがいた。

 彼女たちが蟹に追い立てられていたのだ。

「リュウズ……それに君は……」

「ケッ!」

 少年は悪態をつくと、剣を振り回して蟹を押し返した。

 その後ろを、リュウズがついていく。

 彼女は、一瞬、俺に親指を立ててグッドサインを送ってきた。

 はは、だからそんなモーション用意してないんだってば。

「いちおー言っとくけど、彼だけじゃないよ。あちこちの小路で、たくさんのプレイヤーが蟹を誘い込んでくれてる。マジメな話ね」

「……」

 ブルッと、体が震えた。

「リュウズさー、教会にいたあーしたちを説得に来たのね。あーたを助けてくださいって。それでも正直、みんな迷ってた。死ぬような目に合ってない人なんていないしさ。あーしたちはあーたを知ってるから、まだいいよ。最後の最後、一押しがほしかっただけだからさ」

 でも、と続ける。

「でも、他の人はそうじゃない。本気であーたを恨んでいるし、今でも許してないと思う。そんな人たちにリュウズは一人一人に土下座してさ……みんな来てくれたんだねえ」

 胸の中から湧き出してくる、この気持ちはなんだろう。

 締め付けられるようで、それでいて温かいこの感情。

 わかりきってる。

 感謝だ。

 素晴らしいプレイヤーたちへの、感謝だ。

 リュウズへの、感謝だ。

 俺は、暴動に巻き込まれないようになんてことを考えて、逃げていたっていうのに。

 ちゃんと向き合っていなかったのに。

 彼らは、今助けてくれているんだ。

 感謝が、胸からあふれ出してくる。

「みんな……ありがとう……!」

「なにボーッとしてんのよ、おたんこなすびっ!! さっきからほとんどアタシ一人で対応してるんですけど!!」

 一番感謝をしないといけない相手を忘れていた。

「そうそう、クロスなんかリュウズに頼まれるより前に、もう飛びだしてたんだヨ。だったらもう最初から一緒に戦えばいいのにネ☆ よっ、ツンデレ中二病☆」

「う、うっさい! 今そんなこと言うなあ!!」

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