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記憶にない出撃

14年前、リアが製造されて5年ほど経った頃の事。

その頃にはもう戦争の意欲は薄れていた。

そんな時のとある日の出来事だ。


「よぉ、リア。今日は早いんだな」

この日も2人はこの場所へ集まった。

「今日も領土奪取作戦だなんて、ほんとやってらんねーよ」

出会ってすぐに愚痴をこぼしたリア、それに同情するアルフット。

「ほんとだよな。それに、俺みたいな一般兵は休暇があるけどお前はほとんどないもんな」

「強いからって毎日出撃させてるといつか疲労で壊れちまうってのによ」

機械人間でも疲れるという感覚はある。

過度の出撃によって壊れてしまった自軍の兵を何人も見てきたリアのその言葉は少し重みがあった。

「そういえば今日はなかなか面白い事が起こってよ、前衛で戦ってた仲間が味方が投げた爆弾を直に食らってありえないぐらい高く飛んだんだよ。それも垂直に飛んで行くもんだからみんな戦いを止めてそっちに目を向けるくらいのもんだったぞ」

真顔で笑い話をしながら、リアはアルフットの反応を見た。

「…」

アルフット顔をしかめていた。

「……アルフット?」

「なぁ、リア」

一気に空気が重くなる気がした。

「どうしたんだよ一体」

少し考えた後、アルフットは話した。

「お前が話したそれは……1週間前の出来事だ」

「は?」

「そしてお前は、一週間前にも今と全く同じ言葉を喋っていた」

「ちょっと待て、それは一体どういう事だ?この話は間違いなく今日起こった事だぞ」

「なら、その証拠としてその話の続きを言ってやろう」

「!?」

続きがあるなんて言ってないのに……

早速驚かされるリア。

「この話には続きがあってよ。その吹っ飛んだ奴が落下して地面に落ちた時に誰かが撃った流れ弾の小型ロケット弾が命中して今度は平行に飛んだっていうのもなんだ。笑えるだろ。 ……違うか?」

自信あり気に話したアルフットの言葉は、間違いなくリアが話そうとしていた言葉だった。

「どうして……」

「さぁな、そこんとこだが俺にもよくわからん」

少しの沈黙の後、アルフットが口を開いた。

「お前の今日の作戦の内容は、魔界の領土奪取作戦だ」

「魔界……?行った覚えなんてないぞ……」

「恐らくお前は、今回の出撃で記憶を失ったのかもな」

「なんで……」

「さぁ? まぁ、何かしらの事故があったんじゃねーの?」

必死に思い出そうとしても記憶がないためどうしようもできない。

「今日はもう整理つかなさそうだし帰るわ また明日な」

そういうと、リアは拠点に歩いていった。

「あぁ、おやすみ」

衝撃的な事を聞いた後だというのに、リアの表情は落ち込むという表情をしていなかった。

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