シードラへ向けて、出発だ!
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翌朝、王城の広間に集合した。
既にクランのメンバーは集まっているようだ。
フィーネさんが引き連れてきた魔物達が目立つ。
「おはようございます、フィーネさん。今回は三人連れてきたんですね。」
「ユーリおはよう。そうなの!足の速いハウンドウルフのウーちゃんと、力持ちなゴーレムのゴー君とレムちゃん!」
フィーネさんの紹介に、ゴーレムたちがむんっと腕を上げた。
「みんな元気そうで良かったです。」
「私たちはね。でも…。」
フィーネさんが気まずそうに周囲を見渡す。
そろそろ出発の時間だが、昨日より人数が少ないように思える。
「フリーの冒険者たちがほとんど来てないの。昨日の説明を聞いて、しり込みしちゃったみたいで…。」
「作戦中に逃げられるよりはましだな。」
団長が腕を組みながら話に混ざってくる。
「それに、骨がありそうなのが残ってくれたからな。」
「ガルムだ。よろしく頼む。普段は別の町で冒険者として活動している。今回の依頼の報酬は、病気の妹に渡すように交渉している。逃げたくても逃げられんよ。」
背中にバスターソードを背負った大男が、笑い飛ばしながら挨拶してきた。
「ガルムさん、よろしくお願いいたします。」
「ドラゴン討伐の啖呵を切った『郷里の憧憬』のメンバーだろ。こちらこそよろしく頼む。どれくらい力になれるか分からないが、俺も微力を尽くそう。」
ガルムさんと握手を交わしていると、騎士団長のカーマインさんが現れた。
「皆、よく集まってくれた。シードラまでの道のりは長い。細かい作戦の詰めは、道中で行う予定だ。今日からよろしく頼む。冒険者やクランの面々は、我々の後に続いてくれ。それでは…。出発だ!」
騎士団が先導して行進していく。僕たちはその後ろに続いて歩く。
王城から出て大通りを歩いていると、シードラへの遠征の話を聞いていたのか、王都の住民たちが見送りに来てくれていた。
しかし、その顔色は一様に暗く、多くの人数がいるのにシンと静まり返っていた。
ただただ、僕たちの足音だけが響いていく。
まるで、僕たちが死に向けて行進しているかのようだった。
居心地が悪くなり、近くの団長の顔を見上げると、団長が不機嫌そうな顔をしている。
お手洗いに行きそびれたのだろうか。
強面の彼が、いつも以上に迫力のある表情をしている。
「我慢ならねぇ…。」
王都の門に差し掛かった頃、団長がポツリと漏らした。
その後、王都中を見るように後ろを振り返り、団長が吠えた。
「しみったれた顔してんじゃねぇ!俺たちは死にに行くわけじゃねぇんだ!ちゃんと前向いて見送ってくれや!」
団長が通りのわきを指さした。
「おいジョンソン!ドラゴンぶっ飛ばして帰ってきたら、一日酒を奢るって約束、忘れてねぇだろうな!お前の財布軽くしてやるから、楽しみにしておけよ!」
続いて、団長は病院がある付近を指さした。
「シードラの住民たち!お前らをこんな目に合わせたドラゴンの野郎は、俺たちがぶん殴って、シードラを取り戻す!何も心配は要らねぇ!」
最後に、王城に向けて指をさし、団長が叫んだ。
「王国の国民たち!俺たち『郷里の憧憬』がドラゴンを討伐し、ディオドラ王国の危機を吹き飛ばしてやる!縮こまって声も出せねぇような軟弱者、王都にはいねぇよな!分かったら声出せ!」
「「「おおーーー!シードラを頼んだぞー!!」」」
団長の言葉に堰を切ったように、周囲の住民たちが腕を掲げ、声を上げる。
団長は満足そうに首を振りながら、前を向いて進み始めた。
団長の近くに騎士団長のカーマインさんがやってくる。
「やってくれたな。国としては討伐ではなく、撃退の依頼なのだが。しかし、王国国民を勇気づける演説、感謝する。」
団長が照れくさそうに片手をあげた。
さあ、シードラへ出発だ!




