顔合わせ
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今日は王城で騎士団の面々と顔合わせの日である。
騎士に案内された広場には、見慣れない冒険者をちらほら見かけた。
依頼の報酬を見て、王都以外の各地からやってきた者たちだろうか。
さらに周囲に目を向けると、有名なクランの一団を発見した。
護衛依頼に特化したクラン「ディオドラの盾」だ。
「ディオドラの盾」は、引退した元騎士や、騎士の家系の者たちで構成されている、特殊なクランだ。
その身元の安全性から、重要な物資の護送や、貴族の護衛依頼など、信頼性が求められる依頼を多く受け持っている。
その経歴から、騎士団との連携が求められる今回の依頼は、彼らの人選はベストといえるだろう。
しばらく観察していると、初老の男性がこちらに気が付き、声をかけてきた。
「『郷里の憧憬』の面々じゃな。国の一大事に、依頼を受けてもらって感謝する。わしはマーゼル。騎士を引退して『ディオドラの盾』に入った者でな。今回の依頼も前線に出る予定じゃ。」
「団長のグラディオスだ。大御所のクランが参戦してくれるとは、こちらとしてもありがたい。今回はよろしく頼む。」
団長とマーゼルさんが硬い握手を交わした。
ちょうどその時、広場の正面に騎士団が現れた。
「今回の作戦指揮を執る、騎士団長のカーマインだ。今回依頼を受けたのはこの場にいる者たちが全員だ。顔合わせは各自で行うように、よろしく頼む。」
騎士団長のカーマインが、毅然とした声で語り掛ける。
「調査の結果、国は対象の魔物をドラゴンと認定した。大きさは一般的な二階建ての建物、三つ分といったところだ。奴は炎の息吹を操る。シードラの町はたった一息で壊滅したと報告を受けている。ドラゴン相手には物の数など無意味ということだ。」
カーマインの言葉を聞いて、見知らぬ冒険者たちはうめき声をあげていた。
詳しい情報を知らないで依頼を受けていたらしい。
「我々の役目は、ドラゴンの注意をひいて、手つかずの北の森へやつを引き付けることだ。可能な限り、人里から離れるのが望ましい。ルートはこの地図を参照してくれ。」
皆の眼前に地図を広げ、カーマインは道中のルートを指示した。
シードラからかなり離れたところまで、ドラゴンを引っ張っていくことを想定しているらしい。
「そのほか、疑問や質問はあるか。」
カーマインの言葉に、団長が手を挙げる。
「国は討伐をあきらめていると見えるが、そこのところはどう考えている?」
「シードラの被害をみれば、正面から当たるのは国力を削ぐ結果となるだろう。討伐を目的とし、国中の騎士を犠牲にするよりは、騎馬が得意な少数の騎士で作戦を実行したほうが、被害が少ないと判断した。」
「『郷里の憧憬』は、根本的な解決策として、討伐目的で動きたい。騎士団と足並みを揃えなければならないが、許可をもらえるか。」
団長の言葉に、カーマインが思案する。
「騎士団は動かせない。適切な場所に配置して、ドラゴンを釣り上げる役割を放棄することはできないからだ。しかし、ドラゴンの注意を引くため、奴に攻撃を入れる必要がある。その役目をそなたたちにやってもらおう。討伐が可能ならば、そのまま押し切ってもらいたいが、無論、討伐ではなく撃退がメインの作戦だ。討伐が難しいなら予定通り、ドラゴンを引き付けて森へ引いてもらうぞ。」
「十分だ。寛大な対応に、感謝する。」
団長がカーマインに向かって頭を下げた。
「他に質問はあるか。…無いようなら今回の集まりはこれにて終了だ。この作戦に、王国国民のすべての命がかかっていると思え。当日は騎士団との連絡を密に取るように。出発は明日の明朝となる。皆体調を整えておくように。以上。」
カーマインはマントを翻して、騎士団とともに去っていった。




