3話:調律者、そして猫の導き
「…僕は…《調律者》…。」
男性は、そう名乗った。
調律者…?
聞き慣れない言葉に、私は首を傾げた。
「…調律者…? …一体…?」
私は、男性に尋ねた。
男性は、静かに微笑むと、答えた。
「…僕は…この世界の…調和を…保つ者…。」
世界の調和を…保つ者…?
…一体…どういうことだろう…?
「…でも…どうして…?」
私は、男性がここにいる理由がわからなかった。
「…どうして…ここに…?」
男性は、私の質問に答える代わりに、夜空を見上げた。
その時だった。
ルナが私の足元から飛び上がり、男性の肩に飛び乗ったのだ。
「…ルナ…?」
私は、ルナの突然の行動に驚いた。
ルナは、男性の肩の上で、喉をゴロゴロと鳴らし始めた。
まるで…
…男性に…
…甘えている…
…みたい…?
男性は、ルナを優しく撫でながら、私に言った。
「…君には…特別な力がある…。」
特別な力…?
…私が…?
「…ああ…。」
男性は、静かに頷いた。
「…君はその力を使って…世界を…救わなければならない…。」
世界を…救う…?
…私が…?
…そんな…
…大それたこと…。
「…あの…。」
私は、恐る恐る男性に尋ねた。
「…世界を…救うって…どういうことですか…?」
男性は、私の質問に、真剣な表情で答えた。
「…この世界は…今…危機に瀕している…。」
「…危機…? …どんな…?」
「…邪悪な力…が…この世界を…闇に染めようとしている…。」
邪悪な力…?
闇…?
…なんだか…
…よくわからないけど…
…怖い…。
「…そして…君だけが…その邪悪な力…を…止めることができる…。」
男性は、私の目を見つめ、力強く言った。
…私だけが…?
…そんな…
…私に…
…できるの…?
「…でも…私には…そんな…。」
私は、言葉を詰まらせた。
その瞬間、ルナが男性の肩から飛び降り、私の足元にすり寄ってきた。
ルナは、私の足に頭をこすりつけ、甘えたように鳴いた。
まるで…
…「大丈夫だよ」…
…と…
…言ってくれている…
…みたい…。
「…できる…。」
男性は、私の目を見つめ、力強く言った。
…その言葉に…
…嘘はない…。
…なぜか…
…そう思えた…。
「…君なら…できる…。」
男性の言葉に、私は、不思議な力強さを感じた。
…でも…
…世界を救うって…
…一体…
…どうすれば…?
「…あの…。」
私は、もう一度、男性に尋ねた。
「…具体的に…私は…何をすれば…いいんですか…?」
男性は、私の質問に、少しだけ間を置いてから、答えた。
「…それは…まだ…私も…わからない…。」
「…わからない…?」
「…ああ…。…でも…。」
男性は、少し困ったように微笑んだ。
「…いずれ…わかる時が来る…。」
「…え…? …いつ…?」
男性は、私の言葉に答えず、夜空を見上げた。
「…そろそろ…時間だ…。」
男性は、私に背を向けると、歩き始めた。
「…ちょ、ちょっと待って…! …まだ…何も…!」
私は、男性を引き留めようとした。
でも…
男性は…
…振り返ることなく…
…闇の中に…
…消えていった…。




