第二章 猫たちの夜会 1話:真夜中の訪問者
レオンさんがコーヒーカップを片付けながら、ポツリと呟いた。
「セレーネさんのメイドさん、凄かったね。」
私も、ローザさんの強烈な印象が忘れられず、頷いた。
「はい、本当に…。まるで軍人さんみたいでした。」
レオンさんは苦笑いした。
「でも、ローザさんのセレーネさんへの忠誠心は本物だった。」
私も、ローザさんの涙を思い出した。
ローザさんはセレーネさんの恩人であり、大切な人なんだ。
レオンさんは、私の名前を呼んだ。
「エリア。」
私は、レオンさんを見上げた。
「はい。」
「君もいつか、誰かの大切な人になれるよ。」
レオンさんは、優しく微笑んだ。
私は、レオンさんの言葉に、顔を赤らめた。
「そ、そんな…。」
照れくさそうに視線をそらした。
レオンさんは、私の反応を見て、楽しそうに笑った。
「ふふ…。」
「あ、そうだ。エリア、そろそろ閉店の準備を始めようか。」
レオンさんが言った。
「はい!」
私は、カウンターの中から、閉店作業を始めた。
椅子をテーブルの上に上げたり、床を掃いたり、猫たちのおもちゃを片付けたり。
レオンさんは、レジを締め、明日の仕込みを始めた。
「それにしても、今日は色々あったね。」
レオンさんが、そう呟いた。
「そうですね。」
私も、今日の出来事を思い返していた。
セレーネさん、ローザさん、そしてルナ…。
「ルナは、一体何者なんだろう…。」
私は、ルナのことを考えながら、窓の外を見た。
窓の外は、すっかり暗くなっていた。
「もうこんな時間か…。」
私は、時計を見た。
11時45分。
あと15分で、閉店時間だ。
その時、私は、窓の外にクロの姿を見つけた。
クロは、じっと私を見つめていた。
「クロ…?」
私は、窓を開けた。
クロは、スタスタとカフェの中に入って来た。
そして、私の足元にすり寄ってきた。
「クロ…どうしたの?」
私は、クロを抱き上げた。
クロは、私の腕の中で、喉をゴロゴロと鳴らした。
「何か、言いたげな顔してる…。」
レオンさんが、クロを見て言った。
「そうみたいですね。」
私は、クロの頭を撫でた。
クロは、私の腕から飛び降りると、床に何かを置いた。
それは、小さなドングリだった。
「ドングリ…?」
私は、不思議に思いながら、ドングリを拾い上げた。
すると、ドングリには、小さな文字で何かが刻まれていた。
《今夜12時に裏庭へ》




