12話:メイドの登場
「…いらっしゃいませぇ…。」
私は、入口に立っている女性に、笑顔で声をかけた。
その女性は、メイド服を着ていた。
フリルがたくさんついた、真っ白なメイド服。
頭には、猫耳のカチューシャ。
まるで、アニメから飛び出してきたような、可愛いメイドさん…
…かと思いきや。
「…失礼しますッ!」
メイドさんは、背筋をピンと伸ばし、軍人ばりの敬礼で店内に入ってきた。
「…セレーネ様は…ご在宅でいらっしゃいますかッ!?」
メイドさんは、ハキハキとした口調で、そう尋ねた。
…あれ? 可愛いメイドさん…じゃなかった…?
「…セレーネ様…?」
私は、メイドさんの言葉に、聞き返した。
「…はいッ! セレーネ様に…緊急の…ご伝言が…ございますッ!」
メイドさんは、まるで上官に報告するかのような口調で言った。
「…ええと…セレーネさんは…さっき…帰られましたけど…。」
私は、メイドさんに、セレーネさんが帰ったことを伝えた。
「…なッ!? …帰られた…? …そんな…あり得ませんッ!」
メイドさんは、目をカッと見開き、声を荒げた。
…ちょ、ちょっと…怖いんですけど…。
「…一体…どこへ…行かれたのでございましょうかッ!?」
メイドさんは、拳を握りしめ、悔しそうに呟いた。
「…何か…ご用でしょうか…?」
私は、メイドさんに尋ねた。
「…ええ…。」
メイドさんは、私の方を見て、キリッとした表情で答えた。
「…私は…セレーネ様の…メイド…でございますッ!」
「…メイドさん…?」
私は、メイドさんの言葉に、驚いた。
セレーネさんの…メイド…?
「…はいッ! …ローザと…申しますッ!」
メイドさんは、胸を張って自己紹介をした。
「…ローザさん…。」
私は、メイドさんの名前を繰り返した。
ローザ…
…薔薇…
…なんだか…セレーネさんに…似合う名前…。
「…私は…セレーネ様のお世話を…させていただいておりますッ!」
ローザさんは、そう言うと、再び深々と頭を下げた。
「…あの…。」
私は、ローザさんに話しかけてみた。
「…はいッ!?」
ローザさんは、私の方を見て、鋭い視線を向けた。
…ひぃッ!
「…セレーネ様は…一体…?」
私は、セレーネさんのことが気になって、尋ねてみた。
ローザさんは、少しだけ目を細めると、答えた。
「…セレーネ様は…大変…お優しい方…でございますッ!」
「…優しい…?」
私は、ローザさんの言葉に、少し驚いた。
セレーネさんは…優しい…?
「…はいッ! …セレーネ様は…いつも…私のことを…気遣ってくださいますッ!」
ローザさんは、そう言うと、少しだけ顔を赤らめた。
…あれ…?
…意外と…
…可愛い…?
「…でもッ…!」
ローザさんは、言葉を続けた。
「…セレーネ様は…時々…とんでもないことを…なさる方でも…ございますッ!」
ローザさんは、拳を握りしめ、悔しそうに言った。
「…とんでもないこと…?」
私は、ローザさんの言葉に、興味津々だった。
「…はいッ!」
ローザさんは、力強く頷いた。
「…例えば…。」
ローザさんは、少し考えてから、答えた。
「…空を見上げて…独り言を…ぶつぶつと…仰ったりッ…!」
「…空を見上げて…独り言…?」
私は、ローザさんの言葉に、目を丸くした。
「…はいッ!」
ローザさんは、静かに頷いた。
「…まるで…誰かと…お話しているみたいにッ…!」
ローザさんは、少し呆れたように言った。
「…それにッ…!」
ローザさんは、言葉を続けた。
「…急に…姿を消したりッ…!」
「…姿を消したり…?」
私は、ローザさんの言葉に、驚いた。
「…はいッ! …それも…前触れもなくッ…!」
ローザさんは、ため息をついた。
「…まったくッ…セレーネ様は…お困りな方ですッ…!」
ローザさんは、そう言うと、拳をギュッと握りしめた。
「…いつも…突然…姿を消されるので…仕事に…支障が…!」
ローザさんは、顔を真っ赤にして、怒りをあらわにした。
「…お優しい方…なんですが…自由奔放すぎて…困りますッ!」
ローザさんは、テーブルをバンッと叩き、メイドらしからぬ迫力を見せた。
私は、ローザさんの剣幕に、思わずたじろいでしまった。
「…でも…仕方ありませんッ! …私が…セレーネ様を…お守りしなければ…!」
ローザさんは、気合を入れ直すと、キリッとした表情で言った。
「…私は…セレーネ様の…メイド…でございますッ!」
ローザさんは、胸を張った。
「…セレーネ様のためならば…武力行使も…いとわない所存でございますッ!」
ローザさんは、そう言うと、腰に下げた…
…まさか…
…あれは…
…日本刀…!?
「…こ、これは…?」
私は、ローザさんの腰に下げた日本刀を見て、驚いて尋ねた。
「…はいッ! これは…私の…愛刀…《三日月宗近》でございますッ!」
ローザさんは、誇らしげに日本刀を抜いた。
…キラリッ!
と、刃が光った。
「…こ、こわっ…!」
私は、思わず後ずさってしまった。
「…これで…何度…セレーネ様を…連れ戻したことか…。」
ローザさんは、懐かしそうに日本刀を撫でながら、言った。
…と、その時。
ローザさんは、おもむろに…
…メイド服の…
…スカートをめくり上げた…!
「…な、なにするんですかッ!?」
私は、ローザさんの行動に、目を丸くした。
…まさか…
…このメイドさん…
…変態…?
…いや…
…違う…!
ローザさんのスカートの中には…
…マシンガンが…
…仕込まれていた…!
「…こ、これは…?」
私は、ローザさんのスカートから出てきたマシンガンを見て、驚いて尋ねた。
「…はいッ! これは…私の…愛銃…《トンプソンM1A1》でございますッ!」
ローザさんは、誇らしげにマシンガンを構えた。
…カチャッ!
…カチャッ!
と、弾を込める音がした。
「…こ、こわっ…!」
私は、思わず腰を抜かしてしまった。
「…これで…何度…セレーネ様を…連れ戻したことか…。」
ローザさんは、懐かしそうにマシンガンを撫でながら、言った。
…って…
…日本刀で…
…連れ戻せてなかったんかいッ!
「…でもッ…!」
ローザさんは、言葉を続けた。
「…私は…セレーネ様の…メイドであることを…誇りに思っておりますッ!」
ローザさんは、そう言うと、胸を張った。
「…ええ…?」
私は、ローザさんの言葉に、驚いた。
「…だってぇ…。」
ローザさんは、軍人風の口調で、言った。
「…セレーネ様は…特別な方…なんですものッ!」




