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勇者とメイドさん その65

今も刺すように痛い。

「貴様か! 魔王を倒した勇者というのは!」


「そうだけどさ、まず不法侵入やめて?」


「我が父から聞いたぞ! 何やら謀反を企てているらしいな! この場で成敗してくれよう!」


「ええ……」



 謀反って……。何がどうなって、そんな情報が王様から出てきたのか。恐らくどこかしらでの伝達ミスだろうが、この人すごい激情してるあたり、聞いてくれそうもない。


「何の騒ぎですか? ご主人様」


「なんかあの人曰く、俺が謀反を企ててるそう」


「中々面白いことを言う方ですね」


「でしょ?」



 メイドさんも騒ぎを聞きつけて見に来たと言うよりかは、どこか出かける様子。


「フン! その従者も同罪だ! 一緒にしょっぴいてやろう!」


「ご主人様、これから歯医者の予定なので、一時間程度家を空けますね」


「わかった。いってらっしゃい」


「私を無視するな!」



 無視されてご立腹の様子。これはとりあえず、立場をわからせる必要があるか。


 一一一一


「メイドさんおかえり」


「ただいま戻りました。縛られてるその人はどうでしたか?」


「なんでも誤解だったらしい。後から聖女様が来て、ちゃんと説明してくれたよ。でもってこの人は城からお迎えが来るらしいから、逃げられないよう縛って待機してる」


「では全て解決ですね」



 勇者に比べれば王様の息子程度、歯牙にもかけない強さだしどうにでもなった。迎えが来るまで退屈で仕方ない。


「それより歯医者はどうだった?」


「……控えめに言って今もすっごい痛いです。前回とは桁違いの痛みです」


「にしては平気そうに見えるけど」


「二回目にして内心はこの上なくダウナーですよ。早いとこ何か食べて、前回もらった鎮痛剤使いたいくらいです」



 そうは言うが、一見普段通りのメイドさん。前回と何が違ったのか。


「前回は主に虫歯箇所の除去+消毒だったと思いますが、今回は消毒のみらしいです。麻酔をしてからですが、歯に鉄の棒か何かを突き刺されるような感覚でした。麻酔がなんだと言わんばかりの激痛です。あと差し込まれながら、横でピッピッピッと機械音がしてました。拷問ですかねあれ」


「メイドさん何言ってるの? 歯医者でしょ?」


「まあこれだけで伝わらないのは当然かもしれません。しかしこの言葉通りです。行けばわかります、行かないとわかりません。後半は痛みに慣れたような感覚でしたが、最後に神経に直接何か差し込まれた感覚か、今もなんか」


「よし、メイドさんがいっぱいいっぱいなのは、ここまでの反応でよく理解出来た。以降虫歯には注意しようね」


「何回も歯に棒を抜き差しされたり、前回と同じように隣接する歯か虫歯かはわかりませんが、歯をかりかりされたりとか。この間約二十分、終わってみればあっという間でした」


「少し休もうか」



 珍しくメイドさんが追い込まれてる。虫歯は発見次第、早期に治療するのが重要らしい。




 その日の夕飯はロールキャベツ作った。

麻酔ってなんだっけ。

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