〜狩人の放つ銃弾[悲劇の結末]〜
今回は若干、十五禁の描写が出てきます。
苦手な人は最初の四行程を飛ばして読んでください。
血が飛び散る。
赤ずきんと狼が倒れる。
狩人の放った銃弾が、狼をかばった赤ずきんのか細い肩を貫き、狼の体に食い込んで致命傷に至らしめた為だ。
「これは最悪の事態なのではないでしょうか」
「これで、死んでしまうのか?」
ハニの神とホヘトの神が、呟く。
「シの神のもうすぐは本当に短かったね」
イロの神も面食らっている。
「シの神…。シの神?」
シの神はドアを閉め、外へ出た。
「逃げ足が速いというか…」
その頃、ドアの後ろには死にそうなくらい高速でピヨ助が来客していた。
「ピヨピヨ」=シの神様ぁ…。
ピヨ助は泣いた。とても仲のいい狼が死んだことを。
「知ってるよ。呪いのかかった狼と赤ずきんだよね?」
シの神はそっけなくいう。
ピヨ助は面食らった。
「ピヨ…」なぜ知っているの…?
「イロの神もハニの神もホヘトの神も知ってるよ。ここの館の水晶でみんな篭って見いていたもの。」
ピヨ助の独り言に、なんて事ないと話す。
「ピヨピーヨ?」=狼と赤ずきんは、いや狼は生きてますよね?
「ううん」
ピヨ助は唖然とする。
シの神の冷たさに。狼の死に。
「さてと、この仕事の山場だ。」
「ピヨ?」=狼に会える?
「会えるが、来るとお前は死ぬぞ。もう数年待っていれば、狼達の来世でまた会える。」
「ピヨォ…ピヨォ」=本当にぃ?本当に会えるのぉ?
「本当だ。だからそう泣くな」
シの神を素直に受け取ったピヨ助は、また山小屋まで急降下して行った。
ピヨ助を館の窓からそっと見送り、部屋へ戻る為、廊下を歩く。
******
狩人は赤ずきん肩を揺すった。だが頭巾はさらに赤く染まっていく。息もかすかだ。
赤ずきんは横を見た。初めて繋がれた手。
赤ずきんは泣いた。本当ならふたりで生きたかったと。
狼は泣いた。赤ずきんまで巻き込んでしまったと。
赤ずきんは笑った。この時間がどんなに待ちどうしかったか、あなたは知っているのかと。
狼は笑った。俺のほうが何倍も嬉しいと。来世ではまた出会えるかと。
赤ずきんは笑った。きっと会えると。そして、ごくごく普通に幸せになりたいと。
狩人は再度赤ずきんの肩を揺すった。だが、息はない。
狩人は後悔に暮れ、呟いた。
「なんてことをしてしまったのだ。」
しかしもう遅い。
諦めた狩人は、狼と熊の死骸を袋に詰めていた。
部屋の隅でおばあさんが起きた。
狩人は一言で言う。
「ごめんなさい。そんなつもりはなかったんだ。」
そして家を出ていく。
おばあさんは全てを悟った。
赤ずきんはもういない。自分ももうすぐ死ぬ。
おばあさんは赤ずきんの母達に手紙を書いた。
その様子を夕焼けが儚く照らす。
******
「そう怒らないでくださいよ。」
部屋に戻ったシの神は、早くも修羅場を迎えた。
「特にホヘトの神は、赤ずきんと狼が遅くなったとはいえ無事、エンディングを迎えて嬉しいんじゃないですか?」
「それはそうだが、これはいくらなんでも…」
「酷い?」
「まあ。」
「…ひとつ聞いてもいい?」
「どうぞ。」
「二人はもう死んだってこと?」
ハニの神が聞く。
「ええ。」
「ではこれで呪いは終わりましたよ」
イロの神が本を片手に口を開く。
そうだ、ここは馬鹿ばかりでない。
ちゃんと得意分野とまとめ役がいるから、調和して成り立っているのだ。
シの神はなんだかんだでこの職場と、この仕事が好きだった。
「そういう事です。」
シの神は得意顔で手を叩く。
「さてと、私は輪廻の輪まで赤ずきんさんと狼を案内しますかね。」




