〜限りない日常と日常の崩壊〜
「『赤ずきん』…切ないね。」
「呪いの効力は恐ろしいねぇ。」
「いやはや、呪いの効かない神に生まれてよかった。」
三人は狼達の睡眠を見守っていたが、徐々に目をそらす。もう見ていられないのだ。みんな目に涙を浮かべている。ハニの神に至っては既に泣いている。
余命宣告。どうやらこれがピークだったようだ。
「あー疲れた。」
空気を読まず、入ってきたのはやはりシの神。
「おお、これはシの神。相変わらず仕事がお早いですね。」
涙目になった顔を手でこすり、ホヘトの神は向き直る。
「まあな。」
念のため言うが、ホヘトの神は断じて褒めていない。どちらかというと皮肉だ!
「命は奪わないと言ったでしょ!」
イロの神が待ってましたとばかりに、シの神に言う。そしてシの神も言う。
この中で一番頭のいい自分に、口答えする奴は全員ウザいと考えてしまうタチなのだ。
「あなたも、既に身をもって知っていると思うけど、神にも逆らえない法則があってですね…」
「生まれる、死ぬ、呪いなどの近い範囲の決定事項。」
シの神の言葉を遮るように、イロの神が言う。
「神の誕生。」
ハニの神。
「世界の破滅。」
ホヘトの神。
「戦争。」
イロの神。
「簡易精神干渉魔法を除く、感情。」
ハニの神。
「輪廻、以上。」
ホヘトの神。
「わかってるじゃないですか。」
これらに干渉した者は、対価を払わなければならない。しかしそれらの力は強すぎて、ほとんどの神はそれをしないと心に決めている。
「もちろん。それらに干渉して命を落とした間抜けが歴代で何人居たことか。」
そう、死んでしまうからだ。
「あれ?何人だっけぇ?」
「あなたは歴史書を読み直しなさい。」
ホヘトの神が棚から歴史書全18巻を、ハニの神の頭上に浮かばせ、一冊ずつ落としていく。
ハニの神は一冊キャッチしていく。あっという間にハニの神の左手には本の山ができた。
「呪いの解除は手遅れだったわけか。」
「まあ彼らの場合は転生してから、すぐに始まるほど強力な呪いですから。」
「じゃぁ、もうすぐっていうのは定かじゃないんだね?」
ハニの神が歴史書片手に、身を乗り出す。
「いいえ。明日は狩人が来る日です。」
「じゃあもうそろそろ?」
「そんな酷いよぉ〜!」
普段おとなしいハニの神が、シの神に爆弾魔法を投げつけ、部屋を半壊させそうになる。それを周りの神々がなんとか止める。
ホヘトの神が爆弾処理。イロの神がハニの神を押さえる。シの神は何も知らないように水晶玉を覗く。
これも日常茶飯事。
いや、非日常茶飯事だ。




