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 世にも恐ろしい連続殺人を解決した者が『名探偵』なのか。

 誰も解けなかったトリックを暴いた者が『名探偵』なのか。

 攻略不可能と謳われた密室を破った者が『名探偵』なのか。


 答えは――否、だ。


 だって、事件はもうすでに起きてしまっているのだから。

 当然そこには被害者がいて、加害者がいて、彼らの家族・友人・関係者がいて、その全員の人生が事件によってガラリと変わってしまうのだから。

 たとえ事件を解決したところで、被害者は被害者のままだし、加害者は加害者のまま。事実は決して覆らないし、消え去りもしないのだから。


 だから、そんな事件が起こらないように――事件発生を未然に防げる人物こそ、本当の『名探偵』ではないだろうか。


 そして、そう呼ばれるに相応しい探偵を、僕は一人だけ知っている。


 ――未然探偵。


 全ての依頼を事件化する前に食い止めてきた手腕に敬意を表し、呼ばれるその名前。

 業界内では知らない者は誰もいないと言われるそれだが、しかしその一方でもう一つの呼び名も、共に有名であった。

 その呼び名とは――




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