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とても怪しいラブコメ短編集  作者: 流離の風来坊


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合コンで準ミス大学の美少女がやたら俺に優しい(タイムリープ)

幼馴染三人組の二人が良い仲になってしまった。俺は女子の方に片想いをしていて、親友に取られて失恋を感じていた。ある日、合コンに参加したところ大学で準ミスになった女子がいた。なぜか彼女は俺に優しくしてくれる。過去、俺の10歳加えた年齢に似たおじさんに救われたのだというのだが、謎である。そんなのは関係なしにいい感じになっていくのだろうか?


◇一年前に掲載した処女作タイムリープ物の長編第一話にするつもりで書き始めていたものです。”NTRから始まる悲哀”がこれにとって代わりました。

 俺には幼稚園から大学までずっと一緒の幼馴染が二人いる。

 一人は同級生の男で理学部、一人は文系の女の子。

 男の方は文武両道で女性にモテるイケメンで、女の方も美少女としてご近所さんに好評な娘。


 高校の頃から俺を除く二人は仲良くなり、二人だけで出かけたりするようになった。きっかけは高校一年の時に二人が同じクラスになり俺だけが別クラスという、否応なしに距離が離れたことだった。


 その後、三人揃って同じクラスになったものの関係が復活することもなく距離感だけがあった。彼らがどう感じているのかは分からないが、女の子からは毎年バレンタインチョコを貰えるし、誕生日も三人揃って祝ったりしていた。初詣や夏祭りも何故か三人だった。お邪魔虫だと思う俺がさりげなく単独行動をしようとしても彼らの優しさなのか友情なのか、毎年変わらず付き合っていた。


 それにしても、まさか大学まで一緒だとは思わなかったが、イケメンの男の方、(さとし)は目標の大学に落ち、同じ大学には滑り止めで合格した。女子の美子(みこ)は第一志望がここだったと言っていた。


 のけ者になっているかのような俺こと真治(しんじ)は合格が厳しかったものの何故か勉強したところばかりが受験で出題され奇蹟の合格と言われていた。


 大学に入り夏が過ぎ、秋。大学でのお祭りである学祭の最終日に大学ミスコンがあり、二年生になったら同じゼミになる予定の円加(まどか)ちゃんが準ミスに選出され学部生たちは『理系なのに画期的!』と騒ぎになった。


 ミスは女王系、準ミスは妹系かわいい系である。


 そんな学生らしい周辺と違って、俺は美子に対する片想いを燻らせたままだった。長い期間の片思いは益々重くなり、大学で美子を目撃しただけでドキドキして幸せを感じるまでに成長していた。


 もちろん、俺は美子と聡が相思相愛で俺には言わないものの恋人同士になっているのではないかと感じ取っていた。直接聞くには辛過ぎた。


 恋心を燻らせているより当たって砕けて他の女子に目を向けるというような、前向きな意識が芽生えず、俺は相変わらずヘタレ状態の理系のオタク的な地位や旧友の低い評判を維持していた。


 ある日、とぼとぼと大型書店へ足を運んだ。大好きなラノベの新刊が発売されるからだ。


 書店で手に取ったのは題名『片想いしている幼馴染の下着姿を見てしまいビンタされたので、次回は写真に撮って保存してやる!と覚醒した俺』であった。もちろん幼馴染である美子を投影して読んでいるから物凄く感情移入が出来る物語だ。


 タイトルが恥ずかしいのでうつむき加減に本を手に持ってレジに向かうと『いらっしゃいませ』と上ずった声で店員さんが迎える。下を向きながらブックカバーをお願いしますと伝えて清算しようと財布を出す。


 クルリと背を向けてブックカバーをする店員さん。『なにこれサイテー』という小声がした。


「えっ」と思って彼女の背中を見ると、なんとそこには美子がいた。


 バイトを始めると言っていたが書店だったのかとびっくりしたが、美子と遭遇したタイミングが急だったので驚きが遅れてきたのだろう、苦笑いしながら本を受け取ろうとした。


「しんくん、幼馴染である私にこんなタイトルの本を見せて精神大丈夫?」


 美子はひとこと言ってプイっと踵を返して他の店員さんとレジを交代した。


「あ、ごめ……」


 ヘタレであった。


 ◇


 その時を境に美子と話をすることもなく数週間が過ぎた。

 美子に避けられていたと感じる。


 聡は『喧嘩でもしたのか?』と聞いて来るので、美子は本のタイトルを聡には話していないと思った。


 題名


『片想いしている幼馴染の下着姿を観てしまいビンタされたので、次回は写真に撮って保存してやる!と覚醒した俺』


 やはり、これはダメだよね。

 なんて運が悪いんだろう。


 まさか本屋さんの店員のバイトで鉢合わせするだなんて。

 もしも俺のことを美子が好きなら、あんな本を買っても『しんくんのバカ』みたいに笑い話で済んだことだろう。


 最後にキッとした目で睨まれたのが特に気が滅入る。


「はぁ」


(いよいよ失恋と認識して美子に対して諦めないといけないなぁ)


 ◇


 秋が過ぎ、ハロウィーンやクリスマスというビッグイベントが見えてきた頃。


『真司、週末、合コンに行こうぜ。一人足りねーんだ』


 同学部の男から合コンに誘われた。いつも俺は引き立て役になるのだが、今回も同様だ。


「分かった、行くよ」


 ただ俺はいつも断らない。

 ほんの少しの時間だけでも女子と一緒に過ごせるというのは貴重な経験だと認識しているからだ。


「相手の女の子たちは文学部だから結構かわいい娘が揃ってそうだぞ、やったな真司」


『じゃぁ俺も行って良いかな?』と聡。


 聡が合コンに参加するとマズい。女の子たちが彼に集まってしまうからだ。あからさまな動きがなくても視線で聡ばかりを追うのですぐ分かる。誘った男は少し嫌な顔をする。


『いや聡、一人男が多くなるからお前は避けてくれ』


『でも真司が行くなら俺も……』


「うーん、女の子を増やせばよくないか?」と俺。


『ねぇねぇ、私も行きたい』


「「えっ?」」


 突然横から準ミスの円加が参戦してきた。


『なんと円加さんが数合わせでわざわざ来てくれるの? いつも誘っても乗らなかったのに』


 なるほど、円加ちゃんは聡狙いなのか……。


 聡には幼馴染の美子がいるから色恋沙汰となっても残念な結果にしかならないだろうけど、俺も円加ちゃんと話したりできるのは嬉しい。美子を吹っ切るためにも。


「じゃ、店の場所とか時間とか連絡入れてな、よろしく」と俺。


『週末、楽しみにしてるね♪』と円加。


 準ミスが合コンに来るだなんて珍しい。本当に珍しい。

 円加ちゃんを傍から見ていても、毎日、誰かが近寄ってきて少しでも親しくなろうという男連中、テニスサークルなど飲み会中心の連中、兎にも角にも囲まれている。


 安寧な大学生活が送れているのか心配になるほどだが、幸い理系の学部なので文系の危なそうな争奪戦よりも大人しいものが幸いか。


『真司、美子には伝えておいてくれな』


「俺は無理。聡が言ってくれ、頼む」


『まだ仲直りしていないのかよ』


「すまん」


 ◇


【合コンの日】


 壁側に女子が座って並び、六対六の大人数の合コンがスタートした。


 理系女子は円加ちゃんだけだが、すぐに他の女子達と打ち解けて会話をし始めていた。

 男連中は全員理学部なのでナンパした経験もない初心、女子達に圧倒されているものの、俺のように殻に閉じこもるほどではない。


 俺の正面に円加ちゃんが座っている。


『ねぇ、真司君。あなたって合コンによく行くの?』


「円加ちゃんよりはね。人数合わせで」


『まぁ、わたしは初めてだからよく分からないけど、合コンって学生ビジネスとか学問の交流会みたいなものでしょ? 何か場所がパーティ会場みたいなものと錯覚してたけど、こんな居酒屋でやるんだね』


 なるほど、円加ちゃんが珍しく参加するってなったけど、合コンの意味を取り違えていたのか。


「現実社会で出会いが少ない男女の希少な出会いの場が合コンなんだよ。俺も経験のために参加してるんで。円加ちゃんは余り気軽に参加しない方がよさげだよ」


 こそこそと他に聞こえないように声量を抑えて円加ちゃんに耳打ちするが、これだけで俺は嬉しさで大変だった。何か二人だけの秘密を持ったみたいで。


『ふーん……』と何かを考えている円加。


 俺と円加ちゃんが親しそうに会話していると思った他の男子たちが悔しげな顔をしていた。


 ◇


 どうして俺が円加に対して”円加ちゃん”と親しげなのかについては理由がある。


 入学時に理学部の教室に集められた際、円加が俺を見て『あっ!』と声をあげ、執拗に声を掛けてきた一幕があった。話を聞いてみると……


『わたしは幼少の頃に病弱で、生きる希望を与えてくれたのが真司くんの10歳上のそっくりさん』


 とのことだった。どうやら難病で入退院していた円加を勇気づけたか治療の取っ掛かりを与えたのか、俺に似たおじさんに救われたのだという。


 それ以来、円加は俺に『わたしのことは円加ちゃんって呼んでね』とお願いしてきたから、そう呼ぶようになっただけの話。


 俺が平気で親しくもない女の子にちゃん付けは無理。

 あくまでリクエストされたから出来るだけであって、やはり俺はヘタレなのだ。


 ◇


『はい、じゃぁ~、みんな馴れてきたみたいなので席替えをするぞ~~』


 席の端っこにいた俺が円加ちゃんとばかり会話をしているのを面白くなかった男性陣が席替えを促した。まぁ、俺としてはコレもいつもの事だった。


 誰かが狙ってる可愛い女の子と喋り始めて盛り上げると大体席替えになる。


 俺の場合、会話が成り立つぐらいまでに時間を要するので、せっかく馴れてきたのに席替えになるから残念なのだ。


 まぁ、いい感じになってお持ち帰りとか、閉会後に連絡先を交換して後日デート、とかいう美味しいイベントがあったことはないので、自分のレベルを認識している。


 俺としては合コンに参加して激しく弄られずに女子と会話が出来る体験だけで幸せなのだ。




 ……また席の端っこになった。クジがヤラセなのかは知らないが毎回だった。


 ポツンと一人で飲んだり食べたりしていると、正面には普通に軽い会話をしてくる女子が座っていたので、幸運なことに彼女の趣味とか自慢話とかを聞いているだけで楽しかった。こういう運が俺にはある。


 ふと円加ちゃんの方を観ると、何人もの男が凄く近くに寄り会話に花を咲かせていた。身体の半分がくっついているほど近い。円加ちゃんは笑顔でいるので嫌がってはいないようだ。すごいな。


 嫌がっていたら柄でもなく聡に助けに入るように言うのだが(自分が助けるわけではない)、嫌がっていないのなら余計なお世話である。聡は真ん中辺で正面の複数の女子から言い寄られている雰囲気だった。モテる男は良いなぁ、羨ましい。


 そうこうしている内に正面の女子は席を立って化粧室へ、その後、帰ってきたら聡の方へ移動してしまった。俺の正面は空いており、独りで肉串を食べ、緑茶を飲む。いつもの風景となった。


 円加ちゃんが化粧室に行くために立った。すると彼女に群がっていた男たちと聡の正面にいた女子達が合体してワイワイと騒がしくなった。


『あのさ、真司君って子、根暗なのかな?』


 小さな声なのに聞こえる。聞こえてしまった。


(はぁ、こういうのは聞こえない時に言うよう、お願いするよ)


『真司は俺の幼馴染で、理系だから根暗は仕方がないぞ許してくれ』


「「あははー」」


(聡の声も聞こえた。ナイスフォローとは言えないな)




 円加ちゃんが化粧室から真っ直ぐ俺の方へ歩いてきて、途中で聡に何かを言われて一言二言話して頷き、それから俺の正面の席に座った。


『真司君、二次会のカラオケ行く?』


「いや俺は帰るよ」


『そう……、じゃ、二人でカフェにでも行かない?』


「えっ?」


『二人だけでカフェにでも行きませんか?』


「へっ?」


『じゃ、行こうね』


「う、うん」


 ヘタレな難聴系主人公になった気がした。なりたくない筆頭だったのに。

 居酒屋は音が煩いので、そのせいにしておく。


『おトイレに行った時、狭い通路で声かけられて触られそうになった。もう合コンには二度と行かない!』


 なぜか円加ちゃんは怒っていた。

 というより、そんなことがあったのか。話にはよく聞くけど無法地帯だな。


 ◇


 居酒屋の前で全員が集まって


『次はカラオケに行きまーす!』

「「おおーーーっ」」


 などと奇声が木霊する状況。


「あ、俺は止めておくよ」と俺。

『わたしも今日は帰るね』と円加。


「「えー! 円加ちゃん帰るの!? うそーっ」」


 その時


『聡くーん! しんちゃーん!』


 振り返ると美子が合流しに来ていた。

 聡が今日のことを伝えておくと言っていたから迎えに来たのか、カラオケだけ合流するのだろう。


「美子、俺は先に帰るけど聡はカラオケだって」


『えっ、じゃ……しんくんは』


 声をかぶせるように


『美子、こっち、こっち』と聡


 困惑顔の美子だったが、聡に呼ばれてカラオケ組に近寄り、男子たちに『かわいいねー』などと声を掛けられていた。


 美子はチラチラと俺の方を気にして振り返ったりしていた。


 俺はそんな美子を寂しそうに見つめていた。


 心にぽっかりと穴が開いた感じがしていた。俺と一緒に合流する、帰宅するという事があり得ないのは分かっていたが、平等だった幼馴染三人組としては寂しいのだ。


 そんな俺の横に来た円加ちゃん。

 左腕の裾を引っ張り、小さな声で『カフェ行こ』と耳打ちされた。


 ◇


 十年後、俺は理学研究の際に偶然、円加ちゃんの幼い頃に罹患(りかん)していた難病を治す薬成分を発見した。


 更にある時空についてのアルゴリズムを調べていた際にタイムマシンも発明してしまう。そして過去に戻り円加ちゃんを治療、融解(ゆうかい)させ命を救うのであった。


 円加ちゃんが俺の顔を朧気ながら記憶していたのはこのためだった。


 この話はまた別の機会に。


 一方、美子については……

主人公が治療薬の発見やタイムマシンの発明をするほどの人物・賢さ・鋭さが表現できていない事、あまりにも展開が無理っぽいと匙を投げてボツにしていました。短編にするにしても、かなり加筆しないと尻切れトンボになりそうですよね。


美子については「しんくんを選べばよかった」という大物になった真司に対するお約束のザマァを予定していたのですが、あまりにも分岐点や物語のバージョンが頭に浮かびすぎて自滅してしまった(作者が)という感じです。


幼少期の円加におっさんになった真司が声を掛けて治療の役に立つ薬を担当医と話したりする場面もあったのですが、ロリコン臭が抜けずに断念。最早、事案ですよねぇ。

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